ロイヤルシティ宮城蔵王リゾート
「森の暮らし」を支える/感じる
ロイヤルシティ宮城蔵王リゾート/2025.02.27
蔵王連峰の東の麓に広がるロイヤルシティ宮城蔵王リゾートは、カエデの仲間をはじめコナラ、クヌギなどの落葉樹と、アカマツやカラマツなどの針葉樹に覆われています。訪れたのは11月中旬。森は晩秋を迎えていました。紅葉する落葉樹が多いため森は黃金色に染まり、ところどころに赤く紅葉した木々が彩りを添えています。そんな中を歩き始めると、林縁に黒くて丸いチゴユリの実を見つけました。木の枝から垂れ下がって風に揺れていたのはカエデドコロの種子です。
林床でショウマの仲間の葉が黃色く染まっていました。紅葉するのは木々だけではなく美しく紅葉する草も多く、「草紅葉(くさもみじ)」と呼ばれ、秋の季語にもなっています。そんな草紅葉や落ち葉の間では木々の幼木が育っています。オレンジがかった赤い葉のツタウルシの幼木を見つけました。鮮やかに紅葉するツタウルシは紅葉が早く、木の幹に絡んだ成木はどれも葉を落とした後でした。落ち葉や枯れ草の中、青々とした葉を広げていたのはフユノハナワラビです。他のシダ類が枯れる冬でも枯れず、越冬します。胞子をつけた葉を立ち上げている株もありました。
チゴユリの果実
春には、尖った6弁の白い花を莖の先端に1、2個つける。果実は秋に黒く熟す。小さく愛らしい花から「稚児百合」とついた
カエデドコロの果実
ヤマノイモの仲間だが、根は苦く食べられない。莖に珠芽(ムカゴ)はできず、種子につく3枚の翼は細長く上を向く
ツタウルシの幼木
つる性落葉樹。3枚1組の葉で幼木には切れ込みがあるが成木の葉にはない。秋早くから紅葉する。かぶれの原因となる成分が強い
ヤマユリの果実「蒴果(さくか)」
夏に芳香のある大きな白い花を橫向きに多數(shù)つける。蒴果は円柱形で3室あり、薄い翼のついた種子がびっしり入っている
ウバユリの果実「蒴果」
夏に直立した莖にユリに似た花をつける。葉は卵形?ハート形で、花の時期には枯れることが多い。蒴果はヤマユリに比べ丸い
テンナンショウの仲間の果実
棍棒狀の花の塊を「仏炎苞 (ぶつえんほう)」という花のように見える1枚の苞(ほう)が包み込む。トウモロコシのように果実をつけ、秋に赤く熟す
長く伸びた莖に、蒴果(さくか)と呼ばれる円柱形の果実をつけているのはヤマユリです。熟して割れると薄い翼をつけた300個以上もの種子が、風に乗って遠くに運ばれます。少し進むとヤマユリより丸いウバユリの蒴果がありました。東北地方では大型で花數(shù)が多いオオウバユリが分布していますが、この株は草丈や花の數(shù)からウバユリと思われます。近くではテンナンショウの仲間が真っ赤な実をつけていました。黃色い葉が遠くからも目を引くのはオオバクロモジです。枝先に尖った葉芽と丸い花芽をつけ、春に淡い黃緑色の花を咲かせる準備を始めています。
落葉樹の種類が多い宮城蔵王リゾート。中でもカエデの種類が豊富です。ヤマモミジやイタヤカエデ、ハウチワカエデ、ウリハダカエデ、メグスリノキなど、果たして何種類あるのでしょうか。葉や花の形、樹皮、紅葉などを見比べながらの散策は楽しそうです。また落葉樹の森は木々の葉が落ち、草の地上部が枯れると景色が一変し、見通しがよくなります。そうなると、木々の形や樹皮の特徴を観察する絶好の季節(jié)。枝に止まる鳥も見つけやすくなります。どんぐりのなる木やガマズミの仲間、マユミなど実が餌になる木も多いので、バードウォッチングにもおすすめです。
オオバクロモジ
枝や葉に芳香があり高級な楊枝の材料となる。新緑とともに淡黃緑色の花をつける。果実は9?10月に黒く熟す。クロモジの変種で大型
ハウチワカエデ
葉が大きく直徑10cm以上になるものもある。名は天狗の持っている羽団扇に形が似ていることから。紅葉は赤やオレンジ、黃とさまざま
メグスリノキ
カエデの仲間だが葉に切れ込みはなく、3枚の小葉がセットで1枚の葉を構成する。紅葉はサーモンピンク。古くから目の薬として用いられた
マユミの果実
晩春に緑白色の4弁花をつける。ピンク色の果実は秋に熟すと4裂し赤い種子が顔を出す。紅葉が美しい。ニシキギの仲間
関口 亮子
自然観察指導員/1級造園施工管理技士/グリーンアドバイザー
400年以上の歴史を誇る遠刈田(とおがった)溫泉郷をはじめ、冬にはスキーやトレッキングなど、蔵王連峰の自然を日常的に謳歌できるロイヤルシティ宮城蔵王リゾート。入り口近くの管理事務所には、テレワークや散歩中に自由に利用していただける「蔵王シェアサロン」を併設しています。ここでは、毎月1回のストレッチ講座のほか、半年に1回のペースで蔵王町と連攜した「蔵王町生涯學習出前講座」を開催。これまで、森林住宅地を別荘利用されているオーナーさまに向けた蔵王町のゴミの分別?収集の説明や、地元消防署の方を招いてAEDの使い方などのレクチャーを受けました。これからも毎日の暮らしや健康に役立つ情報を提供していきます。
蔵王シェアサロンにはフリードリンクコーナーをご用意しているほか、散歩やトレッキングに出かけられる方を対象に、熊鈴の貸し出しも行っています
取材撮影/2024年11月18日
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