
稅理士リレーインタビュー 第23回 「資産稅に特化して、基本的な提案を著実に続けていきます。」 みどり稅理士法人 代表社員 稅理士 新谷達(dá)也様
公開(kāi)日:2019/06/28
更新日:2019/09/12
個(gè)人の資産稅関連に特化
インタビュアー(以下I):個(gè)人の資産稅に特化されているとお聞きしています。
新谷(以下S):私どものお客様のほとんどが個(gè)人の資産家の方です。法人ではなく、個(gè)人の資産稅に特化している事務(wù)所は、大阪ではまだ少ないと思います。法人と個(gè)人の資産家の方では、お客様の考え方がまったく違います。経営者の方は商売を伸ばしていきたいという気持ちが強(qiáng)く、成長(zhǎng)を第一に考えていらっしゃいますが、個(gè)人の資産家(地主様)は「伸ばす」というより「守る」、「いかに減らさないか」という考え方です。
個(gè)人の場(chǎng)合、実際、ご自分の財(cái)産を正確にわかっていない地主様も多く、中には自分にどれくらいの財(cái)産があってどれくらいの相続稅がかかるのか、見(jiàn)當(dāng)もつかないという方もいらっしゃいます。
そもそもお客様自身がまだ相続が発生するとは思っていませんから、お客様から相談されることはあまりありません。また、自分がこうしたいという思いがないまま相談に來(lái)られる方も多く、「どうしていいのか教えてください」とお尋ねになるのですが、こちらも意思がわからないとプランも立てられず、逆に「どうしたいのですか?」とお聞きすることになってしまいます。
I:その場(chǎng)合は、どのように対応されるのですか。
S:そのようなときは、まずは現(xiàn)狀を知っていただくことから始めます。現(xiàn)狀分析をして、相続稅の計(jì)算をして、相続稅が払えるかどうか検証するというところから対策を始めます。そもそも納稅ができないケースも多くあります。納稅がきちんとできる方であれば、いかに相続稅対策をするかということになりますが、地主様の場(chǎng)合は不動(dòng)産の割合が9割以上で金融資産が1割以下という方もたくさんいらっしゃいます。
そこで、納稅資金が不足する分をどうするかとなるわけです。売卻するのか、賃貸物件等を建てて納稅額を減らすのかと進(jìn)めていきます。お客様のニーズがあればハウスメーカーさんにお聲がけします。建てたらこうなるというお話(huà)は當(dāng)然しますが、建てることありきで提案することはありません。今は建てるだけが活用ではなく、駐車(chē)場(chǎng)の場(chǎng)合もあれば、土地を貸す場(chǎng)合もあります。また、立地だけではなく地主様のリスクの許容度もあります。絶対に借り入れしたくないという方であれば、基本的に建てるという選択肢はなくなります。
I:相続において感じられる変化はどのようなことですか。
S:S:家督相続の考え方は確実に薄れてきています。20年前は、亡くなる方も相続人の方も戦前生まれということが多かったのですが、今は相続人のほとんどが戦後生まれですから、(権利があれば)自分がもらえることはわかっているわけです。親が戦前生まれの場(chǎng)合は、もめないだろうと思っていますから遺言書(shū)を書(shū)いていません。しかし、相続人は自分に権利があることをわかっていて、権利を主張するわけです。
今後、戦前生まれの方が少なくなっていき、今はちょうどその境目なのだと思います。今回の民法改正もありますので、これからは遺言書(shū)を書(shū)く方が増えていくでしょう。また、今後の相続において、地主様に関していえば、土地に対するこだわりがだんだん薄れていくと思います。
高齢の方は、不良資産は処分して優(yōu)良資産だけ殘すという考え方をなかなかできないものです。土地は預(yù)かりものだから、減らしたくないと。しかし、若い方は手放すことに対する抵抗が薄れてきているので、不動(dòng)産の活用や売買(mǎi)の動(dòng)きが出てきています。條件の良い土地は活用して収入を上げるべきですし、収入が上がらない土地は手放していかないと負(fù)擔(dān)になるだけです。
相続対策としての土地活用
I:相続対策としての土地活用についてどのようなアドバイスをされていますか。
S:今は不動(dòng)産価格が高いので、手放すのであれば今がチャンスですというお話(huà)は必ずしています。活用して収入が上げられる土地であれば、積極的に、一刻も早く活用するべきです。地主様が土地を守るためには、次の相続の発生までに、相続稅の納稅資金相當(dāng)額を貯めなければいけません。貯まらなければ、納稅資金が足りなくなって処分せざるを得ないわけです。相続発生までに不動(dòng)産を活用して、そこから収入を得てお金を貯めないと、次の代には承継できません。そこは意識(shí)してもらうようにしています。
たとえば、1世代を平均30年と仮定すると、「その30年間に次の相続稅を貯められますか?」ということです。ですから、既にお持ちの賃貸住宅などの物件が老朽化しているのであれば、新しくして収益性を上げる必要もあるでしょうし、収益が見(jiàn)込めないのであれば、売卻したほうがいいわけです。30年間で貯められなかったら、自分が働いた収入を取り崩して相続稅を払わなければなりません。仮に30年間で5000萬(wàn)円を貯めようとすると、1年で約160萬(wàn)円、月に10數(shù)萬(wàn)円積み立てて用意しておかなければなりません。きちんと計(jì)畫(huà)しておけば、月に10數(shù)萬(wàn)円の貯金は、地主様であれば無(wú)理なことではないと思います。ただ、それをせずに相続が発生して、30年後にいきなり5000萬(wàn)円といわれると、「払えません」という話(huà)になってしまうのです。この點(diǎn)を認(rèn)識(shí)することで、その間にいくら収益を上げなければならないかという話(huà)につながり、今の収入で足りるかどうかという話(huà)にもつながっていくのだと思います。
I:賃貸住宅などの建築施設(shè)による不動(dòng)産活用が主な対策ということになりますか。
S:やはり、相続と建築は密接な関係にあります。特に地主様の場(chǎng)合、稅金も収入もすべてがそこと連動(dòng)していきます。地主様は不動(dòng)産を活用して収益を上げないことにはお金は貯まっていきません。土地を守るために新しく物件を購(gòu)入する地主様もいますが、まだまだ少數(shù)派です。基本的には、何もしなければ相続のたびに資産は減るだけですから、不動(dòng)産の活用がやはり大事です。そこからどれだけの収益を上げることができるかということが、資産を守れるかどうかにつながっていきます。収益を増やすという考え方の地主様はまだ少ないので、これからは経営の意識(shí)を持つことが大事だと思います。
最低でも固定資産稅プラスアルファくらいの収入がないと、収支がマイナスになってしまいます。できれば30年後の相続までに、固定資産稅プラス毎年の所得稅、住民稅、プラス將來(lái)の相続稅分の収益まで確保したいところです。ですから、収益を上げるという努力は常にしていかないとならないはずです。しかし、そうした意識(shí)で賃貸業(yè)をされている方はまだ少ないですね。
I:そうした視點(diǎn)でご覧になったとき、この20年間で土地活用のやり方の変化はありますか。
S:最近は高齢者住宅や店舗など、賃貸住宅の他に定期借地権契約で土地を貸すケースも増えています。そうしたバリエーションは以前より増えました。昔は賃貸住宅、マンションを建てるという提案が大半でしたが、今はそれ以外にもいろいろあります。コインパーキングも20年前にはなかった活用方法ですが、今は住宅街にもあったりします。また、昔はコンビニエンスストアに貸すことができれば安心でしたが、今はそういう時(shí)代ではなくなってきました。
そうなると、提案の幅、守備範(fàn)囲の広さをお持ちの大和ハウス工業(yè)さんが一番だと思います。店舗経営や流通では大和ハウス工業(yè)さんが圧倒的に強(qiáng)いことは、稅理士には良く知られていることです。
法人成りするケースが増加
I:事業(yè)承継も今増えていると聞きますが、個(gè)人の相続との違いはありますか。
S:個(gè)人の地主様が會(huì)社を持たれていて、その會(huì)社での承継が中心ですが、法人と個(gè)人では相続対策の考え方も異なります。
例えば、相続対策の提案をしたとき、地主様に対する提案は、地主様が理解され決斷していただければ、採(cǎi)用され実行に移すことができます。しかし、會(huì)社の経営者の方に対する提案は、會(huì)社の経営そのものに影響してくるので、経営者個(gè)人の決斷だけではなかなか前に進(jìn)みません。例えば、會(huì)社の株価を下げようと思えば、他の株主からの反対が出る可能性もあります。利益を下げて株価が下がるのは相続対策としてはいいのですが、本業(yè)のことを考えれば、もっと利益を出して役員報(bào)酬や従業(yè)員の給與を増やしたほうがいいわけです。そこがどうしても相反するので、経営者に対する提案では、個(gè)人的な部分と會(huì)社の部分の両方を考えないといけません。
I:個(gè)人が法人化されるケースもありそうです。
S:個(gè)人の地主様が法人化するケースも増えています。私どもの事務(wù)所では以前からそういった提案をしていますが、特に近年は個(gè)人の稅負(fù)擔(dān)は上がって法人の稅負(fù)擔(dān)が下がっているので、法人化したほうが有利なケースが増えています。ある一定の規(guī)模になったら、毎年の所得が高い方、將來(lái)の相続稅がある程度かかる方は、法人成りするケースが多くなりました。個(gè)人の物件を法人に移して、法人に収入が貯まるようにして、そこから給料でお子様方に分配していきますので、將來(lái)の相続対策も兼ねることができます。
法人化するとき、相続前がいいのか相続発生後がいいのか、タイミングは見(jiàn)きわめないといけません。新しい物件は個(gè)人で建てて、築年數(shù)が経ってきた段階で法人に移すというサイクルが基本です。個(gè)人で相続稅対策を目的に建てている方が多いので、その物件を法人に移してしまうと、個(gè)人の相続稅対策の効果が消えてしまうことになります。もともと個(gè)人名義だった比較的新しい物件を法人に売卻すると、相続稅はむしろ上がってしまいますから、何でも法人がいいというわけではありません。新築するときの計(jì)畫(huà)として、當(dāng)初は個(gè)人で建築して相続稅対策につなげ、相続後は相続稅の稅務(wù)対策効果は期待しなくていいので、法人に売卻するという長(zhǎng)期的なスケジュールを、最初から組むようにしています。
I:これから取り組んでいきたいことはございますか。
S:基本的には変わりません。まずは現(xiàn)狀分析をして、きちんと納稅ができるように準(zhǔn)備をして、収益を上げられるように提案をしていく。これがベースです。私どもの事務(wù)所は資産稅特化といいながらも、町醫(yī)者のような役割を擔(dān)っていると思っています。大きな外科的な手術(shù)をするのではなく、このベースを守っていきたいと思っています。私の師匠である山本和義先生も、「特別な提案をする必要はなく、基本的な提案を著実にするのが一番良い提案。お客様が理解できないような提案はしないほうが良い。」と昔からおっしゃっていました。本當(dāng)にその通りだと思います。奇抜なテクニックを駆使して、お客様が理解できないようなことはやらないほうがいいのです。