
令和5年度稅制改正
資産課稅に関する改正について
公開(kāi)日:2023/03/29
POINT!
?令和5年度の稅制改正により、暦年課稅制度の生前贈(zèng)與加算が死亡前3年から7年に延長(zhǎng)される
?相続時(shí)精算課稅制度に新たに「年110萬(wàn)円の基礎(chǔ)控除」の枠が加わり、2024年1月1以降、相続時(shí)精算課稅制度を選択した人への贈(zèng)與でも、年110萬(wàn)円までなら贈(zèng)與稅が課稅されない
?相続は人によって異なるため、専門家に相談するのが良い
令和4年12月23日に令和5年度の稅制改正大綱が閣議決定されました。その中でも、不動(dòng)産オーナーの方々にも大きくかかわる、相続稅や贈(zèng)與稅といった資産稅関係の改正內(nèi)容についてご紹介します。
元來(lái)、贈(zèng)與稅は、相続稅の累進(jìn)回避を防止する観點(diǎn)から、相続稅よりも高い稅率構(gòu)造となっていました。そのため、相続稅がかからない方、相続稅がかかる方であっても多くの方にとっては、相続稅の稅率よりも贈(zèng)與稅の稅率の方が高いため、若年層への資産移転が進(jìn)みにくくなっていました。
ただし、相続稅がかかる方の中でも相続財(cái)産の多いごく一部の方にとっては、相続稅の稅率よりも贈(zèng)與稅の稅率の方が低いため、財(cái)産を分割して贈(zèng)與する場(chǎng)合、相続稅よりも低い稅率が適用されていました。つまり、相続稅がかからない方々にとっては、贈(zèng)與稅を支払ってまで贈(zèng)與することを選択する人は少ないため、資産家の方に有利な稅制になっていたともいえます。
國(guó)としては、ご高齢の方々が所有する財(cái)産を早期に若い層に渡していくために、相続稅がかからない方々にとっても、贈(zèng)與がしやすいように改正をする必要がありました。
図1:相続稅と贈(zèng)與稅の関係
令和5年2月財(cái)務(wù)省資料より
暦年課稅制度の生前贈(zèng)與加算が死亡前3年から7年に延長(zhǎng)
資産の大きさによる不公平さや生前贈(zèng)與しにくい狀況を改善するために、令和5年度稅制改正では、暦年課稅制度における生前贈(zèng)與の相続財(cái)産への加算期間が、3年から7年に変更されました。
暦年課稅制度では、死亡日以前3年間に贈(zèng)與した財(cái)産は、相続の際、相続財(cái)産に持ち戻すこととなっていました。贈(zèng)與した金額が年110萬(wàn)円以下の基礎(chǔ)控除の範(fàn)囲內(nèi)でも、贈(zèng)與者の死亡日以前3年間であれば、相続稅の対象になるというものです。
暦年課稅とは
贈(zèng)與稅額は、年ごとに贈(zèng)與を受けた財(cái)産の合計(jì)額を基に計(jì)算されますが、110萬(wàn)円の基礎(chǔ)控除を超える部分が贈(zèng)與稅の対象となり、110萬(wàn)円までの贈(zèng)與は課稅されません。生前贈(zèng)與により、相続時(shí)の財(cái)産を減らすことができますが、贈(zèng)與者の死亡前3年以內(nèi)の贈(zèng)與財(cái)産は相続稅の計(jì)算に含まれます。これが生前贈(zèng)與加算です。贈(zèng)與財(cái)産110萬(wàn)円の基礎(chǔ)控除以下の贈(zèng)與についても、死亡前3年以內(nèi)であれば加算対象となりますが、加算の対象となるのは相続人と遺言などで財(cái)産を取得した人だけです。
この「3年」という期間は、諸外國(guó)と比較すると非常に短いため、諸外國(guó)にならって3年から7年に延長(zhǎng)されました。適用時(shí)期は、2024年(令和6年)の1月1日以降に贈(zèng)與した取得財(cái)産に関する相続稅から適用されます。
亡くなる前の3年間に贈(zèng)與された財(cái)産の扱いはこれまでと同じです。しかし、それより前の4年間に贈(zèng)與された分については、全體から100萬(wàn)円を差し引いた金額を相続財(cái)産に含めて計(jì)算する必要があります。
2027年(令和9年)の1月1日以降、加算される年數(shù)が伸びる
2024年1月31日に亡くなった場(chǎng)合、生前贈(zèng)與加算の対象となる贈(zèng)與は、2021年1月31日~2024年1月31日の3年間の贈(zèng)與です。ですから、2017年1月31日~2021年1月30日の贈(zèng)與は稅制改正前の贈(zèng)與ですので、対象になりません。2027年以降から、加算される年數(shù)が3年より長(zhǎng)くなります。
ただし、2027年(令和9年)の1月1日以降、いきなり7年間に延ばしてしまうと、法律と実態(tài)が合わなくなることから、2027年(令和9年)から2031年(令和13年)まで持ち戻しの期間が、3年から4年5年6年7年と1年ずつ増やす形で計(jì)算されます。年が進(jìn)むにつれて徐々に加算される年月が長(zhǎng)くなり、2031年1月以降の相続から、まるまる7年加算されるようになります。
たとえば、相続人である子ども2人に毎年110萬(wàn)円贈(zèng)與を行ってきた人が亡くなり、相続開(kāi)始日が2027年(令和9年)6月1日になったとします。
その場(chǎng)合は持ち戻しの期間が4年になります。
現(xiàn)行では3年間の持ち戻し期間として660萬(wàn)円が持ち戻しとなりますが、加えて令和6年の1月1日の金額も持ち戻しの対象となります。
図2:生前贈(zèng)與加算の金額 具體例
ただし、相続開(kāi)始前3年から7年の贈(zèng)與については、贈(zèng)與の相手1人100萬(wàn)円は控除できることになっていますので、この220萬(wàn)円から100萬(wàn)円×子ども2人分、計(jì)200萬(wàn)円を差し引いた20萬(wàn)円をプラスして生前贈(zèng)與の加算額を決定します。つまりこの場(chǎng)合、660萬(wàn)円プラス20萬(wàn)円の680萬(wàn)円が生前贈(zèng)與の加算となります。
相続時(shí)精算課稅制度の改正
もう1つ、「相続時(shí)精算課稅制度」が大きく変わるのも、令和5年度稅制改正の大きな點(diǎn)です。
相続時(shí)精算課稅とは、2,500萬(wàn)円の特別控除額までは贈(zèng)與稅がかからず(特別控除額を超えた場(chǎng)合は一律20%の稅率で贈(zèng)與稅がかかります)、贈(zèng)與を受けることができるものの、贈(zèng)與者が亡くなったときに贈(zèng)與でもらったものもすべて相続財(cái)産に加えて計(jì)算されるという制度です。そのため、生前贈(zèng)與により相続時(shí)の財(cái)産を減らすことはできません。
多くの方は暦年贈(zèng)與を使って贈(zèng)與を行われますが、この相続時(shí)精算課稅制度を選択することも可能です。
2024年の贈(zèng)與から年110萬(wàn)円までなら贈(zèng)與稅が課稅されない
今回の改正で相続時(shí)精算課稅制度に新たに「年110萬(wàn)円の基礎(chǔ)控除」の枠が加わります。 2024年1月1以降、相続時(shí)精算課稅制度を選択した人への贈(zèng)與でも、年110萬(wàn)円までなら贈(zèng)與稅が課稅されません。
図3:相続時(shí)精算課稅制度の見(jiàn)直し 改正內(nèi)容
これまでも、暦年贈(zèng)與については、毎年110萬(wàn)円までは贈(zèng)與稅の控除として基礎(chǔ)控除がありましたが、相続時(shí)精算課稅制度を選択すると、その110萬(wàn)円の基礎(chǔ)控除というのが適用できませんでした。
今回の改正によって、110萬(wàn)円の基礎(chǔ)控除ができるようになりました。またこれまでは、相続時(shí)精算課稅制度を使うと、すべての贈(zèng)與が相続稅の対象になっていましたが、年間110萬(wàn)円のこの基礎(chǔ)控除の金額は相続稅の対象から外すことができるようになりました。つまり、金額が安い贈(zèng)與であれば相続時(shí)精算課稅を使った方が、稅額が安くなるわけです。
図4:相続時(shí)精算課稅制度の見(jiàn)直し 改正前後の比較表
改正前と改正後の計(jì)算方法を比較してみます。
改正前の內(nèi)容ですと、贈(zèng)與額から2500萬(wàn)円を差し引き、20%の贈(zèng)與稅を申告納稅する必要がありました。2500萬(wàn)円までは贈(zèng)與稅がかからず、贈(zèng)與することができます。
2500萬(wàn)円を超えた部分についても、相続時(shí)に精算課稅をしますので、相続時(shí)にその贈(zèng)與した金額を合わせて相続稅の計(jì)算をします。支払った贈(zèng)與稅はその相続稅から差し引くことができますので、結(jié)論として贈(zèng)與稅というのはかかっていない形になります。これが相続時(shí)精算課稅制度です。
この相続時(shí)精算課稅制度は、すべての財(cái)産が相続稅の対象になりますので、一度、相続時(shí)精算課稅制度を使うと、それ以降の贈(zèng)與はすべて相続稅の対象になってしまいます。
通常、贈(zèng)與というのは相続稅が減ることを前提に使うことが多いため、この相続時(shí)精算課稅制度を選択してしまうと、すべて相続稅の対象になってしまいますので、あまり使われることはありませんでした。使われるケースとしては、相続財(cái)産に加算する贈(zèng)與財(cái)産の評(píng)価額は、贈(zèng)與時(shí)の評(píng)価額で行う必要がありますので、現(xiàn)在の評(píng)価額で相続稅の評(píng)価をしておく必要があります。例えば將來(lái)値上がりが期待されているような資産であれば、今100の評(píng)価で贈(zèng)與できて、將來(lái)1000になることが予測(cè)されるのであれば、評(píng)価額が低いうちに相続時(shí)精算課稅制度を選択し、贈(zèng)與をしておくことによって、相続稅の対象の評(píng)価額を低く抑えることができます。將來(lái)収益をもたらすもの、あとは値上がりするもの、そういったものはこの相続時(shí)精算課稅制度を使うことが今でも行われております。
また、將來(lái)、資産価値が上がることを予測(cè)した相続という意味では、これまで、相続時(shí)精算課稅制度は、事業(yè)承継対策として使われるケースがありました。オーナー経営者が自社株を時(shí)価の低いときに贈(zèng)與すれば、相続時(shí)に株価が上昇していたとしても、贈(zèng)與時(shí)の価値で計(jì)算されるため、將來(lái)かかる予定の相続稅を抑えることができます。
これまでは少額の贈(zèng)與であっても申告が必要であり、手続き面での負(fù)擔(dān)がありましたので、相続時(shí)精算課稅制度の利用件數(shù)はそれほど多くありませんでした。しかし、110萬(wàn)円までであれば贈(zèng)與稅も相続稅もかからず、申告も不要となれば、利用者側(cè)のメリットは大きくなります。
高齢者から若年層への早期の資産移転は、日本の経済にとっても大きな課題です。高齢化が進(jìn)むなか、日本銀行の「資金循環(huán)統(tǒng)計(jì)」によれば、家計(jì)金融資産は60歳以上が約6割を所有しているとされており、高齢者が持つ資産を若年層へ移転させることで、消費(fèi)や投資を促し、ひいては日本経済を活性化させることにつながることが期待されます。
暦年贈(zèng)與と相続時(shí)精算課稅の使い分けをどうするか
ここまで紹介した、暦年課稅制度と相続時(shí)精算課稅制度ですが、どのような方がどちらを選択すれば稅制上、有利に働くのでしょうか。
まだまだお元?dú)荬?、相続まで生前贈(zèng)與の持ち戻し期間7年よりもまだ時(shí)間があるという方は、これまで通り年110萬(wàn)円までなら非課稅になる暦年贈(zèng)與の基礎(chǔ)控除を活用して、時(shí)間をかけて次世代に資産を移転させるのが良いでしょう。
また、相続人や受遺者ではない人は、生前贈(zèng)與加算は適用されない點(diǎn)を活用すれば、孫や甥(姪)のために、暦年課稅制度を活用するのが良いかもしれません。
一方、余命わずかなご高齢の方が『子に生活資金を少しでも前渡ししたい』とお考えの場(chǎng)合は、相続時(shí)精算課稅制度が良いかもしれません。
亡くなる直前であっても年110萬(wàn)円までなら、贈(zèng)與稅が課稅されません。
前述の事業(yè)承継においても、株価の低い時(shí)點(diǎn)で贈(zèng)與したうえで、110萬(wàn)円の控除枠を活用しながら、事業(yè)資金の贈(zèng)與を行うケースが考えられます。
いずれにおいても、相続は人によってすべて異なり、同じケースは2つとしてありません。複雑な計(jì)算が必要なケースもありますので、公認(rèn)會(huì)計(jì)士や稅理士などの専門家へ相談されることをお?jiǎng)幛幛筏蓼埂?/p>
監(jiān)修:稅理士法人朝日中央綜合事務(wù)所 公認(rèn)會(huì)計(jì)士?稅理士 小平康弘