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      コラム vol.463
      • 不動産市況を読み解く

      環境意識の高まりと不動産オーナーに求められるESG、SDGs

      公開日:2023/09/29

      昨今、企業経営において、「ESG/SDGs」への取り組みの必要性が提唱されています。 ESGとは、Environment:環境問題、Social:社會問題、Governance:組織統治問題、の頭文字をとったものですが、ESGは投資家や企業経営の問題であり、大企業が取り組むべきものだと感じている賃貸住宅オーナーも少なくないかもしれません。
      しかし、ESGに関する諸問題は、不動産投資や賃貸住宅経営に深く関連してきます。
      たとえば、E(環境問題)においては、気候変動や二酸化炭素排出量の増加などによって環境悪化が進んだり、風水害や雪害が起こったりすれば、修繕コストの増大、原材料の高騰といった問題が起きます。
      また、S(社會問題)においては、地域?社會問題が原因で、地域の雇用悪化やご入居者の経済環境の悪化となれば、賃貸住宅経営の収益悪化に直結します。
      G(組織統治問題)においても、2017~2018年にかけて起こった「かぼちゃの馬車問題」やタワーマンションを利用した相続稅の裁判例などは、耳に新しいところです。賃貸住宅経営は、こうした法整備にも深くかかわっています。

      SDGsへの取り組みが、ESG経営に直結

      現在、一般的に認知度が高いのは、ESGよりもSDGsでしょう。SDGsとは、2015年9月の國連サミットで加盟國の全會一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す國際目標です。SDGsとESGは密接にかかわっており、SDGsの活動に取り組むことで、ESG問題への取り組みにつながります。
      民間の調査によれば、SDGsの認知率は81.9%で、年々増加しています。また、女性の40-60歳代で大きく増加しています。(「SDGsに関する調査〈2022年6月〉認知?興味関心編」株式會社クロス?マーケティング)
      SDGsの17の目標のなかで、賃貸住宅経営に直結するのは、「SDGs7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「SDGs11 住み続けられるまちづくりを」「SDGs13 気候変動に具體的な対策を」などでしょう。
      同調査結果でも、それぞれの目標に対する興味関心度合は、「4位.エネルギーをみんなにそしてクリーンに(23.8%)」「7位.気候変動に具體的な対策を(22.5%)」「8位.住み続けられるまちづくりを(21.9%)」と上位にランクされています。
      これらの傾向は、商品やサービスを購入する際に「社會貢獻」や「環境問題の改善」「省エネルギー」を判斷基準とする方が増えることを示しています。
      ご入居者のSDGsへの意識が高まるにつれて、SDGsの取り組みは必要となってきます。すでに取り組みを始めている賃貸住宅経営者も少なくなく、「ご入居者に選ばれやすい」「事業を通してSDGsという社會貢獻を果たす」など、さまざまなメリットがある取り組みです。

      また、金融機関や投資家も、ESGやSDGsに取り組む企業に対して、注目しています。金融機関が「環境?社會」に関する事業への融資制度を設けたり、投資家の中にはESG、SDGsに取り組む企業を支持したり、投資したりする人も少なくありません。

      賃貸住宅経営における具體的なSDGsへの取り組み

      では、賃貸住宅経営におけるSDGsへの取り組みとは、具體的にどのようなものがあるでしょうか。
      まず挙げられるのは、太陽光発電の導入です。太陽光発電は、SDGsの目標7-2「2030年までにエネルギー生産に占める再生可能エネルギーの割合を大幅に向上させる」を達成するための有効な方法です。また、各戸に蓄電池を設置すれば、停電が起きた時でも電気がある程度使えるようになり、ご入居者にとっても利便性、安全性が増します。
      また、斷熱性の高い屋根や壁、高性能の省エネ設備などの採用、さらには、効果的な空調や明るさを可能にするような間取りにすることも省エネというSDGsの取り組みにつながります。
      その結果、ご入居者は光熱費の削減、夏は涼しく冬は暖かい快適な溫熱空間、停電に備えることができる災害時の安全?安心などのメリットを享受することになり、ご入居者に選ばれる賃貸住宅につながるわけです。

      こうした省エネルギーへの取り組みは、國を挙げて推進されています。住まいの斷熱性?省エネ性能を上げ、太陽光発電などでエネルギーを創ることにより、年間の一次消費エネルギー量の収支をプラスマイナス「ゼロ」(もしくはゼロに近づける)にするマンションや賃貸住宅などの共同住宅を「ZEH-M」と呼び、補助金やさまざまな優遇措置が用意されています。

      ※「ZEH-M」とは、Net Zero Energy House Mansion(ネット?ゼロ?エネルギー?ハウス?マンション)の略。
      ZEH-Mに関する詳しい內容は、コラム「これからの賃貸住宅経営の潮流、ZEH-M」も併せてご覧ください。

      SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」にも、賃貸住宅は大きく関連してきます。比較的大規模の賃貸住宅であれば、災害時でのスペースの提供、食料や水の備蓄などの協力もできるかもしれません。

      SDGsへの取り組みは、日本におけるエネルギー問題や環境問題などを考えれば、避けては通ることのできない重要な課題であることは間違いありません。
      ただし、費用がかかるものも多く、収益面とのバランスを考えることが必要になってきます。「ZEH-M」の採用をご検討の際は、大和ハウス工業等の専門家に相談されることをおすすめします。

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