
稅理士リレーインタビュー 第四回(後編) 「法人での相続対策には専門家の視點(diǎn)が不可欠」 竹本守邦稅理士事務(wù)所 稅理士 竹本守邦様
公開日:2017/03/20
インタビュアー(以下I):平成27年から小規(guī)模宅地の特例が改正になって、相続稅の基礎(chǔ)控除が減額されました。これを受けて「初めて相続対策を行う」という方も増えていくと思いますが、そういう皆さんに対してはどのようなアドバイスをされますか。
竹本(以下T):この1年の統(tǒng)計(jì)を見ると、稅金を払わずに済む方が増えています。それにはきちんと申告する必要があるので、これまで稅理士とは縁のなかった方も「どうかお?dú)葺Xにご相談ください」と申し上げたいですね。100%金銭的に得をするとは限りませんが、少なくとも、殘された方々が爭(zhēng)わなくて済むように、いろいろな工夫をさせていただきます。それが私たち稅理士の仕事ですから。
どこに相談したらいいのかわからない場(chǎng)合、お付き合いのあるハウスメーカーさん、たとえば大和ハウスさんだったら、その営業(yè)さんから會(huì)計(jì)事務(wù)所を紹介してもらうのがベストだと思います。大和ハウスさんとしても下手な人を紹介できないでしょうし、紹介された側(cè)もおかしな仕事はできませんから(笑)。
「知識(shí)がないけど大丈夫なのかな」とか「相談料が高いんじゃないかな」と、尻込みされる方も多いと思いますが、基本的にはかかった時(shí)間で決まりますので、慣れた人がやればそんなに高くはならないと思います。稅理士に相談料を払っても、それだけの価値はあると思います。
I:會(huì)社を経営されている方のように會(huì)社の事業(yè)承継が絡(luò)む相続と一般の相続では、かなり違いがあるのでしょうか。
T:ありますよ。まず會(huì)社には、その會(huì)社が使う土地建物が必要です。我々がお付き合いしているような中小規(guī)模の同族會(huì)社の場(chǎng)合、最初は個(gè)人から始まって、個(gè)人で購(gòu)入した土地に建てた建物を會(huì)社に貸していることが多いので、事業(yè)を承継しない他の相続人にそれを持っていかれてしまうと、事業(yè)を行う場(chǎng)所がなくなってしまうわけです。ですから、経営者が遺言で「財(cái)産は事業(yè)を承継するこの人に渡す」という意思表示をしておくことが揉め事を回避する第一の方法です。
もう一つ、土地と建物を個(gè)人から法人の所有にしてしまう方法もあります。実際の事例ですが、一部の土地と建物は法人のもの、一部の土地と建物は個(gè)人の所有、その両者が地続きになっている、というややこしいケースがありました。
ただ、運(yùn)のいいことに、その近くに駐車場(chǎng)として使われている別の法人所有の土地があったんです。鑑定評(píng)価をしたところ、個(gè)人所有の土地と時(shí)価がほぼ一緒だったので、土地の交換を行った結(jié)果、法人は地続きの広大な土地に連結(jié)した工場(chǎng)を新たに建てられるようになりました。
それでも、いろいろな稅金の問題がありました。駐車場(chǎng)のあった土地はバブル時(shí)に高額で買ったもので、時(shí)価が下がっています。一方、法人は業(yè)績(jī)が良く利益が出ているので、法人稅の負(fù)擔(dān)も大きいわけです。個(gè)人と法人の両方で「交換の特例」を受けてしまうと意味がないので、あえて法人の方は交換の特例を受けずに「譲渡損失」を出すことにしました。こうすると損失分だけ稅金を払わなくて済むのです。一方、個(gè)人のほうには交換の特例を使い、課稅の繰り延べを受けました。こうした工夫は、稅理士でないとできないことだと思います。
I:片方は特例を受けて、片方を受けないということもできるのですね。
T:できます。それは私がそういう稅法の専門家だからできるわけで、あまり勉強(qiáng)していない稅理士がやると痛い目に遭います(笑)。
よくあるのが、個(gè)人が土地を持ち、同族會(huì)社が建物を持って土地の賃借をしているというケースです。この場(chǎng)合、借地権課稅の問題が生じないように「土地の無償返還屆出書」という書類を出せば済む話なのですが、それすらやらない稅理士もいて、これを放置しておくと非常に危険です。単に稅務(wù)署が見落としていて課稅を免れているだけの話ですから、いつ発覚するかわかりません。
I:中小企業(yè)における相続問題で、特に気をつけるべきポイントがあれば教えてください。
T:中小企業(yè)が順調(diào)に推移していくと株価が上がっていきます。當(dāng)然、事業(yè)承継者がその株を相続しますので、そこで相続対策が必要になるわけです。
たとえば、生前贈(zèng)與を株で行う際には「株価を下げる工夫」が有効です。どういうことかといいますと、業(yè)績(jī)には良いときも悪いときもありますから、赤字になってガクンと株価が下がったタイミングを見計(jì)らって、一気に株の贈(zèng)與をするわけです。
経営者の個(gè)人所有の土地建物を同族會(huì)社に貸していた実際の事例を説明しましょう。
非常に古い建物だったので、それを取り壊して會(huì)社が建物を建て替えることになりました。
しかしそうすると、先程の借地権の問題が発生するので、この事例では「定期借地権」の設(shè)定をして問題を回避しました。
その同族會(huì)社は優(yōu)良企業(yè)だったのですが、數(shù)年後にいろいろあって、稅務(wù)上の「繰越欠損金」が累積で5億円ほどに膨れ上がっていました。そこである対策をとりました。その対策とは、會(huì)社が賃借している経営者個(gè)人所有の5億円の土地を會(huì)社に贈(zèng)與することでした。つまりタダであげたわけです。そうすると、會(huì)社は法人稅の関係で「時(shí)価で譲り受けた」という扱いになるので、土地代にあたる5億円の利益が出ます。しかし、累積赤字が5億円ありますので、それと相殺すると法人稅がかからないのです。さらに、経営者の個(gè)人資産が10億円以上あったものが5億円減って數(shù)億円になったので、かなり相続稅が減りました。同族會(huì)社の株式も、株価がマイナスのときに次期経営者に全部生前贈(zèng)與したので、事業(yè)承継と節(jié)稅対策が一気にできた事例です。
相続財(cái)産が減ったので、実はうちの報(bào)酬もかなり減りました(笑)。放っておけば倍以上の報(bào)酬をもらえたかもしれませんが、古いお付き合いのお客様で、會(huì)社の狀況もよくわかっているだけに対策はしやすかったですし、喜んでいただけたので何よりでした。稅理士というのは、基本的にそういう仕事なんです。
I:法人の相続対策では「死亡退職金」の準(zhǔn)備も有効だということですが。
T:はい、課稅額がまったく変わってきます。
たくさんの土地をお持ちの方で、特に事業(yè)をされていないケースでは、不動(dòng)産管理會(huì)社をつくることをお?jiǎng)幛幛筏皮い蓼埂€(gè)人が所有する賃貸用土地建物のうち建物だけ會(huì)社に譲渡し、「土地の無償返還屆」を出します。そうすると、會(huì)社が賃料収入を得ることができ、相続人である子どもたちが社長(zhǎng)や役員として不動(dòng)産管理會(huì)社から役員報(bào)酬をもらうことができます。これも財(cái)産移転という相続対策の一つです。
その不動(dòng)産管理會(huì)社の契約で死亡退職金準(zhǔn)備のための生命保険も掛けておくわけです。被相続人が亡くなると、會(huì)社がいったん保険金を受け取り、それを元に退職金を払いますが、ご本人が亡くなっていますから、受け取るのはもちろん相続人である子どもたちになります。この死亡退職金には、死亡保険金と同じように、法定相続人1人當(dāng)たり500萬円の非課稅枠があり、保険金ではなく退職金という形になるので、別で非課稅枠が使えます。非課稅の500萬円が2種類ですから、合わせて1,000萬円。つまり「1,000萬円×法定相続人の數(shù)」だけ納稅資金に回せるというわけです。これは無稅で使えるお金です。
會(huì)社に資金的な余裕があれば、保険にしなくても死亡退職金を払えば同じことです。退職金を払ったほうが會(huì)社の法人稅も安くなりますから、借金をしてでも退職金は払うべきです。ただ、保険をかけておけば借金をしなくて済みますから、やはりそのほうがいいですよね。
I:固定資産稅の節(jié)稅についても、少しご説明いただけますか。
T:まず、ハウスメーカーが積極的に進(jìn)める対策として賃貸建物の建築がありますよね。これの意味を説明しましょう。仮に土地が1億円だったとすると相続稅の評(píng)価額が8,500萬円くらいになり、建物を1億円で建てると同じく評(píng)価額が6,000萬円くらいになります。さらにそれを貸家にすると6,000萬円が4,200萬円くらいになります。
これは、あくまで「相続稅評(píng)価」における計(jì)算方法のマジックですから、資産の実際の価値は変わりません。ただし、賃貸に使う割合が100%であることが前提になるので、管理會(huì)社に一括借り上げをしてもらうのがベストな方法です。長(zhǎng)い期間借り上げてもらえば、賃料収入が低くなっても安定するので、そういう契約をお願(yuàn)いするといいでしょう。
このような賃貸建物が全て居住用であれば、1世帯當(dāng)たり200m²までは課稅標(biāo)準(zhǔn)が1/6になる固定資産稅の「小規(guī)模住宅用地」の特例があります。また、200m²をオーバーすれば課稅標(biāo)準(zhǔn)が1/3になる「一般住宅用地」の特例もあります。しかし、全てが居住用でなくても、たとえば2階建ての1階部分が店舗または事務(wù)所であっても、全部「住宅用地」になります。不思議ですが、固定資産稅の計(jì)算方法ではそうなっているんですね。
では、5階建てだとどうなるかというと、1階が全部店舗であっても、2階以上の世帯が全部居住用であれば、すべて「住宅用地」として扱われます。これを知っているのと知らないのとでは大違いです。つまり、建てる前にご相談いただければ、このような対策ができるわけです。
不動(dòng)産を所有している以上は固定資産稅がかかってきますから、対策ありきでとにかく建ててしまえというのではなく、建てた後の負(fù)擔(dān)も考えなければいけません。そこは、お客様とハウスメーカーさんと稅理士と、皆で協(xié)力して考えていくのがベストだろうと思います。
I:ただ、不動(dòng)産以外にもいろいろな財(cái)産の形があるでしょうし、自分でも知らずに所有していたり、譲り受けたりした財(cái)産というのもあるのではないでしょうか。
T:そうなんです。ご本人でもそういうことはありますが、相続人の方にとっては手に負(fù)えない部分だと思いますから、やはり稅理士にご相談いただくのがいいと思います。
とはいえ、専門家である私たちも、いろいろな資料から被相続人の財(cái)産を推定するしかありません。まずはお金の動(dòng)きから推定しますので、大変申し訳ないのですが、古くからの通帳を全部出していただいて、大きなお金の動(dòng)きがあったところから解明していきます。結(jié)局、稅務(wù)署がやることと一緒なんですね。そういうことをしてもわからないときは、仕方がないので何も申告をしないことになります。
ただ、それで昔、大変なことがありました。相続が発生して、その7年くらい前に大きなお金が動(dòng)いているのに、調(diào)べても、相続人の方に伺っても、その詳細(xì)が分からなかったのです。仕方がないので、それは抜いて申告したところ、そのことだけで稅務(wù)調(diào)査が來ました(笑)。実は、被相続人が兄弟の方にお金を貸していて、その方は借りたお金を有価証券に運(yùn)用していたそうなんです。そのことは誰も知らなかったのですが、稅務(wù)署が調(diào)べて教えてくれたというわけです。確か、5,000萬円ほどでした。稅務(wù)署のように強(qiáng)制的な調(diào)査を行う権限が稅理士にはありませんから、私たちでは追いかけるにも限度があるんです。結(jié)果的に貸付金の返還交渉は私がやりました。稅金は追加払いすることになりましたが、思いもよらない財(cái)産が入ってきたわけで、相続人の方は喜んでいました。
中にはこういうケースもありますが、通常は預(yù)金通帳を見れば、ある程度のことはわかります。保険料を払っているとか、配當(dāng)金が入ってくるとか、そこから見えてくるものから判斷していくしかありません。
I:生前贈(zèng)與の一環(huán)でよく行われる「暦年贈(zèng)與」も、気をつけるべき點(diǎn)があるようですね。
T:「暦年贈(zèng)與」は、大変簡(jiǎn)単で年數(shù)をかければ対策の効果が大きいのですが、けっこう厄介です。毎年、暦年贈(zèng)與をコツコツ続けて、贈(zèng)與をしたつもりでいる被相続人が多いのですが、民法上、その所有権がまだご本人にある場(chǎng)合が多いのです。稅理士としては「贈(zèng)與契約書」などを作成したうえで、預(yù)金証書や通帳をきちんと贈(zèng)與した相手に渡しておくようお話しします。
巷でよくあるのが、おじいちゃんが孫のために500萬円の定期預(yù)金をつくるような例です。預(yù)金通帳や証書を?qū)Oに渡すと使ってしまうから、それはおじいちゃんがずっと持っていて、「孫のために贈(zèng)與した」と思っています。しかし、この預(yù)金は単に孫の名義になっているだけで、所有権はお金を出して実際に管理しているおじいちゃんにあります。「自分が管理、運(yùn)用、処分ができる」ものでなければ、その人の所有財(cái)産とは認(rèn)められず、このように、名義は別の人であっても、名義人に管理、運(yùn)用、処分ができない預(yù)金を「名義預(yù)金」と呼び、おじいちゃんの相続財(cái)産になってしまいます。
この名義預(yù)金の判定には非常にデリケートな部分もあって、そういう話をできるだけわかりやすく解説するのも、私たち稅理士の役割だと思っています。
I:この場(chǎng)合も、暦年贈(zèng)與と同じように、きちんと契約書をつくっておけばよいのでしょうか。
T:契約書があっても、おじいちゃんが抱えていたらダメですね。あくまで、お孫さん自身が実質(zhì)的に管理する必要があります。
そうすると使ってしまうから困るというのであれば、まず現(xiàn)金を贈(zèng)與して、そのお金でお孫さん名義の保険をかける、という方法もあります。當(dāng)座は自由に使えませんが、將來、確実にお孫さんのところに入るという生命保険の一種です。
このように、生命保険にはいろいろな使い道がありますから、稅理士とよく相談していただけるといいのではないでしょうか。
I:ご自身のケースではどんな保険が使えるのか、それをまず稅理士さんに相談してみるのも、相続対策における最初の一歩としては気軽にできていいかもしれませんね。
T:相続対策のメニューは無限にあるわけですが、そのお客様にとって必要な対策は限られてきますから、まずは相続稅の試算を依頼していただくのが一番いいのではないかと思います。
試算をした結(jié)果、「爭(zhēng)いがなければこれで十分です、何もする必要はありません」と申し上げる方も中にはいらっしゃいます。
相続対策で重要なのは、「爭(zhēng)族を避けること」「納稅資金に不足がないこと」、そして「相続すべき人のところにきちんと財(cái)産が行くようにすること」です。ご自身の思いをかなえるためにも、よりスムーズな相続のためにも、ぜひ稅理士を積極的に活用していただければと思います。
I:本當(dāng)に「何もない」に越したことはありませんよね。そうなるためのお手伝いをしてくれる心強(qiáng)い味方が稅理士さんだということがよくわかりました。本日はありがとうございました。
- 【サブリース會(huì)社による一括借上げ計(jì)畫における注意事項(xiàng)】
- ○賃貸住宅を賃貸する場(chǎng)合、借主(サブリース會(huì)社を含む)による一定の條件があります。
- ○賃料は、契約開始日以降、賃貸借契約に基づき一定期間経過時(shí)およびそれ以降も契約に定める期間が経過するごとに、貸主借主協(xié)議の上、賃料の改定を行う場(chǎng)合があります。
- ○また改定時(shí)期にかかわらず、物価?経済狀況の変動(dòng)や近隣賃料の著しい変化等により賃料が不相當(dāng)になった場(chǎng)合も、貸主借主協(xié)議の上、賃料の改定を行う場(chǎng)合があります。
- ○賃料改定の協(xié)議が、賃料の改定期日以降に整った場(chǎng)合は、改定期日に遡って改定されます。
- ○賃貸借契約においては、契約の定めに従い、賃料の免責(zé)期間が適用される場(chǎng)合があります。
- ○また、建物や設(shè)備の維持修繕等においては、建物の所有者としてご負(fù)擔(dān)いただく費(fèi)用があります。
- ○賃貸借契約期間中においても解約になる場(chǎng)合があり、また、貸主から更新の拒絶をされる場(chǎng)合には正當(dāng)な事由が必要となります。