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      コラム vol.428
      • 不動産市況を読み解く

      ZEH仕様賃貸住宅の融資優遇処置について

      公開日:2022/10/31

      2025年からすべての新築住宅において、省エネ基準適合が求められます(令和4年法律第69號:令和4年6月17日公布)。我が國は、2050年にはカーボンニュートラル、その20年前には2030年度溫室効果ガス46%削減の実現目標を掲げています。そのために、2050年には住宅?建築物の全ストック平均でZEH?ZEB基準の水準の省エネルギー性能を確保、2030年には新築建築物はZEH?ZEB水準の省エネ性能の確保を目指すことになっています。
      こうした動きに呼応して住宅融資も変化が見え始めました。
      ここでいう「変化」は、「條件に省エネ基準が付加されること」と「條件を満たす物件への融資には金利や手數料を優遇すること」の2つになります。建築分野では溫暖化ガスの排出抑制が遅れていると言われていますが、義務化(2025年)の前に、住宅金融での優遇を行うことで、スムーズに導入を図りたいという背景があると思われます。

      新設されたフラット35の優遇金利

      國土交通省は住宅ローン【フラット35】の新築住宅への融資について、2023年4月から斷熱性能などで一定の省エネ基準を満たすことが新しく條件に加わります。それに先駆けて、2022年10月1日からは、ZEH基準を満たす住宅に対しては、優遇金利(當初5年間-0.25%もしくは-0.5%)が適用される【フラット35】Sの申請ができるようになりました。
      【フラット35】Sには、技術水準に応じて、【フラット35】S(ZEH)、【フラット35】S(金利Aプラン)、【フラット35】S(金利Bプラン)の3つがあります。

      【フラット35】S(ZEH)とはZEH水準の住宅を取得する場合に既存の【フラット35】の借入金利を一定期間引き下げる制度で、この【フラット35】Sは、賃貸併用住宅(賃貸部分が50%未満)むけ融資でも適用することができます。
      また、『ZEH』又は『ZEH-M』以外のZEH Oriented、Nearly ZEH、ZEH-M Ready のどの區分のZEHでも、適用條件(寒冷地、階層數等、詳細は住宅金融支援機構ホームページ參照)を満たす場合は【フラット35】S(ZEH)が適用できます。
      ただし、ZEH Oriented 又は ZEH-M Oriented を除き他の區分では、太陽光発電等の再生可能エネルギーの導入が必要です。適合証明検査においては、ZEH Oriented 又は ZEH-M Oriented を除き、BELS 評価書(建築物省エネルギー性能表示制度)の提出が必要となります。

      ※ZEHについては、コラム「賃貸住宅におけるZEH化の取り組み」、「これからの賃貸住宅経営の潮流、ZEH-M」をご參照ください。 賃貸併用住宅を含む集合住宅系の條件は、以下のようになります。

      表:一戸建て以外(共同建て、重ね建て又は連続建て)の場合

      區分 斷熱等性能 一次エネルギー消費量
      (対省エネ基準)
      <適用條件>
      再エネ除く 再エネ含む
      『ZEH-M』 強化外皮基準
      (斷熱等性能等級5相當)
      ▲20%以上 ▲100%以上 住宅用途の階層數が1~3層
      Nearly ZEH-M ▲75%以上▲100%未満
      ZEH-M Ready ▲50%以上▲75%未満 住宅用途の階層數が4層又は5層
      ZEH-M
      Oriented
      (再エネの導入は必要ない) 住宅用途の階層數が6層以上

      ※再エネとは「再生可能エネルギー」をいう。

      フラット35S ZEHの融資を利用する稅制メリット

      【フラット35】S(ZEH)を利用することで、【フラット35】の金利引下げ(前述)に加えて、稅制の特例措置の対象になります。
      所得稅では、「住宅借入金等特別控除」がZEH水準省エネ住宅の場合、控除対象限度額3000萬円→4500萬円(控除率0.7%、控除期間13年、最大控除額409萬円)となります。
      また、贈與稅では、「住宅取得等資金に係る贈與稅の非課稅措置」が、非課稅限度額500萬円→1000萬円となります。
      *稅制度は、個人の狀況により適用できない場合がありますので専門家などにご確認ください。また稅制度は変更の可能性もありますので、最新の情報を入手してください。

      補助金の適用

      また、ZEH住宅の建築においては、國からの補助金が利用できます。
      國からの補助金制度は、いくつかあります。
      「地域型住宅グリーン化事業」では、中小工務店などによる木造住宅のZEHに適用され、上限140萬円/戸が支給されます。
      また、「戸建住宅ネット?ゼロ?エネルギー?ハウス(ZEH)化等支援事業」では、注文?分譲住宅におけるZEHに適用され、定額55萬円/戸が支給されます。
      「こどもみらい住宅支援事業」では、子育て?若者夫婦世帯が建築?購入するZEHに適用され、100萬円/戸が支給されます。
      (すべて、一定の條件がありますので、詳細は、住宅金融支援機構や各自治體のホームページなどで確認してください)

      ZEH仕様賃貸住宅向け融資での優遇処置

      土地活用として賃貸住宅を建築する方の大半は、金融機関などからの融資を受けます。たとえ手持ち資金が豊富にあったとしても、手持ち資金は頭金や諸経費にだけ使い、殘りはすべて融資を受けるという方が多いようです。 もちろん、高齢の方、將來の相続を見據えている方などは「ローンを背負いたくない、あるいは「お子さま(次の代)にローンを引き継がせたくない」と考える人もいると思いますが、ローンを活用して賃貸住宅を建築した場合は、ローン殘債がマイナスの財産となり、相続稅評価額から控除することができます(ケースによりますので、詳細は、稅理士など専門家にお尋ねください)。そのため、ローンを活用する方が多いようです。
      こうした賃貸住宅建築向け融資において、金融機関の中には建築會社(たとえば大和ハウス工業)と提攜を結び、そこを通じての融資においては優遇金利適用を行っていることが多く、そのため賃貸住宅建築時には民間の金融機関で借りる方が大半のようです。
      こうした民間の銀行でもZEH仕様の賃貸住宅向け融資に優遇金利を適用するところが増えてきました。
      優遇のパターンは、「申請時の金利から一定分金利を低く抑える(例えば-0.05%や-0.1%等)」や、ある地銀では「ZEHアパート応援プラン」として「取扱手數料を優遇する」というものもあります。
      今後も様々な金融機関がZEH賃貸住宅向け融資の優遇処置を行うものと思われますので、これから融資を受けようと考えている方は、情報を集めておくとよいでしょう。

      最後に

      カーボンニュートラルに向けた取り組みが様々推進されています。
      條件を満たす建築物については、貸出金利優遇、補助金の適用、など様々な恩恵がありますので、ぜひ最新の情報を入手していただきたいと思います。

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