【太陽光パネル設(shè)置義務(wù)化】
から考える建築のエネルギー問題

対象エリアと開始時期は？

國は義務(wù)化を見送りましたが、東京都では先行して2022年4年第4回定例會會議（都議會）にて「新築住宅を?qū)澫螭趣筏刻柟獍k電の設(shè)置義務(wù)化」可決?成立となりました。制度施行は2025年4月からで、それまでは準(zhǔn)備?周知期間となっています。
まだ先のことではありますが、住宅の契約から完成までには少なくとも半年くらいはかかりますので、住宅購入（発注）時期や入居時期に関わる詳細(xì)など、今後の発表に注意が必要です。

実は東京都だけでなく、京都府、群馬県、神奈川県川崎市が同様の條例を可決しています。

條例によっては、太陽光発電だけでなく太陽熱利用設(shè)備や風(fēng)力発電設(shè)備と多様に検討しているので、それぞれ注目する必要があります。
今回のコラムでは、東京都の條例を基に解説します。

なぜ義務(wù)化なの？

世界規(guī)模で大雨や山火事など気候変動による災(zāi)害が発生していますが、その原因は地球溫暖化を促進(jìn)する「溫室効果ガス」であり、それが二酸化炭素（CO₂）とメタンです。

生活に必要な電気エネルギーの生成時には大量の溫室効果ガスが発生してしまいます。さらに電気の元となるエネルギー資源は海外からの輸入に頼っていますが、社會情勢により入手が困難になり価格が高騰するなど安心できる狀況ではありません。
また、義務(wù)化の背景として、2050年カーボンニュートラル、2030年度溫室効果ガス46％削減（2013年度比）の実現(xiàn)に向け、2021年10月地球溫暖化対策計畫の削減目標(biāo)を強(qiáng)化することへの閣議決定があります。

東京都は新築住宅による太陽光パネル設(shè)備設(shè)置の義務(wù)化で、2030年時點で43萬トン削減になると試算しており、その量は家庭から出る溫室効果ガスの削減目標(biāo)の約5%にあたるそうです。都內(nèi)のCO₂排出量の約7割が建築でのエネルギー使用に起因しており、脫CO₂に向けた建築への対策が急務(wù)とされています。建物は長期にわたり使用されるので、2050年時點で建物ストックの約半數(shù)（住宅は約7割）が今後新築される建物に置き換わることが見込まれています。

よって、地球規(guī)模での社會貢獻(xiàn)として、災(zāi)害に強(qiáng)いまちづくりを経済的にサポートするので協(xié)力してほしいという趣旨のようです。

誰が対象なの？

太陽光パネルの設(shè)置義務(wù)者は、年間の都內(nèi)供給延床面積が合計20,000m²以上の大手ハウスメーカー等の住宅供給事業(yè)者（50社程度）になり、再エネ設(shè)置基準(zhǔn)^※1のクリアが課せられました。対象メーカーは年間新築棟數(shù)の半數(shù)程度（想定）に太陽光発電設(shè)備を設(shè)置する計算のようです。

注文住宅の施主や分譲住宅の購入者は住宅供給事業(yè)者（ハウスメーカー、ビルダー、デベロッパー等）からの斷熱?省エネ、再エネ等の環(huán)境性能に関する説明を受けた上で、環(huán)境への負(fù)荷低減に努めることが求められます。

※1設(shè)置可能棟數(shù)×算定基準(zhǔn)率×棟當(dāng)たり基準(zhǔn)量=再エネ設(shè)置基準(zhǔn)（発電量）

すなわちお客様へは、「目的の説明とご理解の上で費(fèi)用をご負(fù)擔(dān)いただきます。ただし、コストUPに負(fù)擔(dān)を感じたり、太陽光発電設(shè)備の設(shè)置に敷地環(huán)境が適していないとの判斷であれば、導(dǎo)入を斷ることもできます」といった內(nèi)容です。

どのくらいの発電量が必要なの？

＜世帯別一軒家の平均電気使用量＞

出典：東京都環(huán)境局：平成26年度東京都家庭のエネルギー消費(fèi)動向?qū)g態(tài)調(diào)査報告書
株式會社地域計畫建築研究所調(diào)べ

1kWの太陽光パネルで発電できる年間発電量の目安は約1,000kWhとされており、一戸建て住宅（3～4人家族）の場合、4,632kWh～5,232kWh/年の使用量となるので、太陽光パネルはおおむね4～5kWが必要になりそうです。

出典：太陽光発電協(xié)會HP（FAQ）より

太陽光発電設(shè)備の初期費(fèi)用は？

太陽光発電設(shè)備の內(nèi)訳として、太陽光パネル、パワーコンディショナー、電力量計、発電量モニター、架臺、配線工事、設(shè)置工事などがあります。社會情勢により建築資材コストの高騰や、供給競爭による発電設(shè)備の低価格化など不確定要素が大きく、屋根形狀や建物の立地によっても価格差はありますが、おおむね4～5kWで160萬?200萬円くらいが目安のようです。

今後、太陽光パネルの設(shè)置義務(wù)者（ハウスメーカー、ビルダー、デベロッパー等）も東京都より「環(huán)境性能向上支援事業(yè)」としての助成金の受給があれば、現(xiàn)在の相場より下がってくるのではないかと思われます。

初期費(fèi)用を軽減するには？

「助成金」

太陽光発電設(shè)備の義務(wù)化前の現(xiàn)在でも、東京都は導(dǎo)入費(fèi)軽減のため「太陽光発電設(shè)備の設(shè)置に対する東京都の助成事業(yè)（東京ゼロエミ住宅）」などを?qū)g施していますので、導(dǎo)入しやすくなっています。

太陽光発電設(shè)備導(dǎo)入によるメリット

1. 災(zāi)害時のライフライン

災(zāi)害時に停電狀態(tài)であっても自立運(yùn)転ができるので、情報収集や連絡(luò)方法の要であるスマートフォンやタブレットを使用できるほか、冷蔵庫や電気ポッドが使えるのも大きな安心になります。

2. 経済的メリット

一番気になるポイントではないでしょうか。一戸建て住宅（3～4人家族）を想定した「4kWの太陽光パネルの設(shè)置」例を解説します。

A. 一般家庭の平均年間電力消費(fèi)量の8割強(qiáng)を発電

1kWの太陽光パネルで発電できる年間発電量の目安は約1,000kWhとされています。^※2
一戸建て住宅（3～4人家族）の年間電気使用量は平均4,632kWh^※3
4,000kWh÷4,632kWh =0.86（消費(fèi)電力量の約8.6割を発電）

夜間や雨天時などの発電非効率時を勘案した、太陽光発電の年間平均稼働率は13.7%^※4となります。

約13年10カ月で太陽光発電設(shè)備の投資額を回収できるようになります。

それ以降は、パワーコンディショナー交換などのメンテナンス費(fèi)用などもかかりますが、実質(zhì)1.4割で電気を使用できる計算になります。

• ※2出典：太陽光発電協(xié)會HP（FAQ）より
• ※3出典：東京都環(huán)境局：平成26年度東京都家庭のエネルギー消費(fèi)動向?qū)g態(tài)調(diào)査報告書
  株式會社地域計畫建築研究所調(diào)べ
• ※4出典：経済産業(yè)省 調(diào)達(dá)価格等算定委員會

B. さまざまな助成金（補(bǔ)助金）

太陽光発電設(shè)備の設(shè)置促進(jìn)のため、さまざまな助成金が組まれています。
太陽光パネル設(shè)置に対してだけでなく、上乗せの補(bǔ)助金であったり、連動するものもありますが、ここでは分かりやすいものをピックアップしてご紹介します。

●1kWあたり10萬円の補(bǔ)助金（東京都）

「東京ゼロエミ住宅」^※5の一環(huán)として、3.6kW超の太陽光パネル設(shè)置の場合、1kWあたり10萬円（上限36萬円）の補(bǔ)助金が上乗せされます。
4kWであれば36萬円になり、太陽光発電設(shè)備導(dǎo)入費(fèi)160萬円との差額は124萬円になりますので、設(shè)備投資回収年月は約10年9カ月になります。

※5東京ゼロエミ住宅

家庭部門の省エネルギー対策を推進(jìn)し、高い省エネ性能等を持つ住宅を普及させるため、2019年度から「東京ゼロエミ住宅」基準(zhǔn)を設(shè)定するとともに、基準(zhǔn)に適合する住宅を新築した建築主に対しその費(fèi)用の一部を補(bǔ)助する事業(yè)を?qū)g施しています。（補(bǔ)助金額：20萬円から最大210萬円）
補(bǔ)助金の詳細(xì)情報は下記。

出典：クール?ネット東京 東京ゼロエミ住宅導(dǎo)入促進(jìn)事業(yè)

●不動産所得稅の減稅

2030年カーボンハーフの実現(xiàn)に向け、太陽光発電設(shè)備の設(shè)置を通じた再生可能エネルギーの利用促進(jìn)および斷熱?省エネ性能の高い東京ゼロエミ住宅の普及を稅制面から支援するため、一定の要件を満たす新築の東京ゼロエミ住宅について、不動産取得稅を最大で全額減免します。

東京都主稅局では「東京ゼロエミ住宅の新築に対する不動産所得稅の減免」として、太陽光発電システム導(dǎo)入で住宅に係る不動産所得稅の5割を減免します。
手続きには、東京ゼロエミ住宅認(rèn)証書、東京ゼロエミ住宅設(shè)計確認(rèn)書等の書類が必要なります。

（例）
分譲住宅販売価格が4,000萬円であれば、固定資産稅評価額はおよそ70%になりますので、2,800萬円を基に算出します。
不動産取得稅の稅率は、土地?建物ともに3％（2024年3月末までに取得した場合の特例措置の適用後）です。新築住宅の不動産取得稅の額は、固定資産稅評価額×3％で計算できます。

出典：「東京ゼロエミ住宅の新築に対する不動産所得稅の減免」

C. 余った電力は売電で収入

住宅用太陽光発電の固定価格買取期間は10年間で、2009年11月までに太陽光発電を設(shè)置した方を?qū)澫螭薋ITというものがありました。
調(diào)達(dá)価格1kWhあたりが當(dāng)初は42円／kWh^※7と高額でしたが、現(xiàn)在は16円（10kW未満）となっています。
今後も太陽光パネルの面積が増えれば、価格は下降していくと思われますが、余剰電力をそのまま捨てるのではなく売電することにより、無駄なく設(shè)備投資の回収やメンテナンス用の充填へ充てることができます。

出典：資源エネルギー庁「2022年度以降の価格表（調(diào)達(dá)価格1kWhあたり）」

D. 不動産売卻時の資産価値UP

性能評価は安心の擔(dān)保といった認(rèn)識の時代になってきたように感じます。安心の數(shù)値が高ければ、不動産売買時に高額のままで取引されるといった具合に、公式な評価の有無で不動産評価も変わってきます。

東京都であれば「東京ゼロエミ住宅認(rèn)証制度」^※8があり、國では「ZEH（ネット?ゼロ?エネルギー?ハウス）」^※9、第三者機(jī)関として「BELS（建築物省エネルギー性能表示制度）」^※10というものがあります。

他にもバリアフリー、可変性、耐震性、省エネルギー性、住居環(huán)境、維持保全計畫、維持管理?更新の容易性、劣化対策などを數(shù)値化し、條件により住宅ローン金利を優(yōu)遇する「フラット35」や「長期優(yōu)良住宅」などもあります。

太陽光発電設(shè)備導(dǎo)入ともに、意識してみてはいかがでしょうか。

• ※8「東京ゼロエミ住宅認(rèn)証制度」
• ※9「 ZEH（ネット?ゼロ?エネルギー?ハウス）」（経済産業(yè)省 資源エネルギー庁）
• ※10 環(huán)境省「BELS（建築物省エネルギー性能表示制度）」

導(dǎo)入にあたり注意すべき點

1. 発電効率を考える

東京都では太陽光発電設(shè)備導(dǎo)入の目安として、適合性を4つのデータを基に値をシュミレーションした「東京ソーラー屋根臺帳」（ポテンシャルマップ）をWEB上で提供しています。

• 航空測量による近隣建物の高さおよび敷地形狀
• 周辺地形や近隣建物の影響に加え、気象データを用いた日照率から算出した年間日射量
• 対象となる屋根形狀
• 設(shè)置可能システム容量と年間予測発電量（推定）および予想CO₂削減量（推定）

既存建物をベースに作成されていますが、新築の場合でも周辺建物や環(huán)境を調(diào)査することで導(dǎo)入の際には指針になるでしょう。

2. メンテナンスと自然災(zāi)害による破損

パネル面の汚れによる不均等な太陽光受光は効率を下げてしまいます。鳥のフンやほこりなどを定期的な清掃で除去し、日陰の影響となる樹木も定期的に剪定することが望ましいでしょう。また、パネル下部に隙間がある場合などハトの巣などになる可能性もあるので注意が必要です。
ひょうや臺風(fēng)の自然災(zāi)害による破損は、火災(zāi)保険で補(bǔ)償されますので、新築時からの加入がお勧めです。

発電エネルギーをより有意義に活用するために

太陽光発電は日照時に行われますが、社會生活においてその時間帯は會社や學(xué)校にいるため、家庭での使用は限られたものになります。せっかくの発電エネルギーなので売電といった方法もありますが、太陽光パネル設(shè)置の面積が増えるにつれ、買取価格も下降の一途をたどるようです。
自家発電した電気を、一旦別の形で蓄え好きな時間に使用できる方法をいくつかご紹介します。

1. 「おひさまエコキュート」^※11

エコキュート^※12とはヒートポンプ技術(shù)で安価な深夜電力を使い、夜間に湯を沸かし貯湯するシステムです。一方、おひさまエコキュートは晝間に自家発電した余剰電力を使うことを前提としたシステムです。
メリットとして、おひさまエコキュートは使用時間までの貯湯時間が短いのでエネルギーのロスが少なくより効率的です。また、湯沸かしの稼働が晝間なので微振動とはいえ、近隣に対するトラブルも解消されます。

• ※11「おひさまエコキュート」の名稱は、電力會社?給湯機(jī)メーカーが晝間沸上げ形自然冷媒CO?ヒートポンプ給湯機(jī)を総稱する愛稱です。
• ※12「エコキュート」の名稱は電力會社?給湯機(jī)メーカーが自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機(jī)を総稱する愛稱です。

2. 「蓄電池」

最大2000Wの出力も可能なので、停電時でも電子レンジや炊飯器、冷蔵庫、床暖房が使用でき、コンセント（攜帯電話の充電など）への通電を自動的に行います。災(zāi)害で停電が続いても晝間に蓄電を繰り返すので、大きな安心になります。

しかし、蓄電池は種類や使用狀態(tài)によって異なりますが、目安として15年?20年の壽命といわれています。交換には大きな出費(fèi)となりますので、長期における試算計畫は行うべきでしょう。

3. 「V2H」

ヴィークル?ツー?ホーム（Vehicle to Home）の略ですが、電気自動車やプラグインハイブリッド車の蓄電池を活用した仕組みです。
電気の直流と交流を切り替える専用のV2H機(jī)器（EV用パワーコンディショナー）が必要になりますが、蓄電容量が大きいため、車の燃料費(fèi)節(jié)約と家庭の電気代節(jié)約に大きく貢獻(xiàn)できる可能性の高いシステムす。停電時の非常用電源としても期待でき、車種によっては最大5日間くらいの供給が可能とされています。

まとめ

太陽光発電設(shè)備の導(dǎo)入に関しては、さまざまな手厚い助成事業(yè)（補(bǔ)助金）を用意しても「設(shè)置の義務(wù)化」へ誘導(dǎo)しなくてはならない、地球規(guī)模の環(huán)境問題や國策としての事情があることが分かりました。導(dǎo)入やメンテナンスにも費(fèi)用がかかりますが、必ず訪れる大規(guī)模な災(zāi)害への備えや安心?快適な生活の確保を併せて検討する必要がありそうです。

住宅のエネルギー対策に関する制度や補(bǔ)助金に関してはZEH（ネット?ゼロ?エネルギー?ハウス）も大きく関わっていますので、別コラムもご覧いただければと思います。