長い時間を過ごすリビングの窓は、暮らしの快適さを左右する大事な設備です。
このコラムでは、リビングの窓の種類はもちろん、
代表的な掃き出し窓や憧れの大開口窓のメリット?デメリットをご紹介します。
また、大和ハウスの魅力的な窓のある事例や家づくりの特長もご紹介しますので、ぜひ參考にしてください。
Part1リビングで使われる窓の種類
窓の位置やサイズ、間取りによって配置できる家具などが異なります。まずはその役目を理解して、家族のライフスタイルに合った窓を選びましょう。
リビングで使われる窓の主な種類
掃き出し窓
窓の下部分が床まで達している大型の窓のことを指し、昔の家屋では「ほうきで掃除をした際に、庭へゴミを掃き出していた」ことから、この名前が付いたとされています。テラスやウッドデッキなどとつながり、人が出入りすることが目的となるため、窓2枚の引き違いタイプで、開口部の幅は1.7m?1.8m、高さ1.8m?2.2mのサイズが一般的です。
掃き出し窓は、左右をスライドして開閉する引き違い窓のタイプが多く採用されています。前後に開閉する窓(開き窓)と比較して開閉のためのスペースを取らずにすみ、また、窓の開け幅を調節しやすく、風の強さに合わせて開き具合を変えられるというメリットがあります。また、片方の窓を固定することで、気密性を高めた片引き窓もあります。

腰高窓
文字通り大人の腰の高さに設置された窓のことです。床からの高さは約90cm、幅は部屋の広さに合わせてさまざまで、床と天井の中間に設けられます。リビングやキッチン、寢室などで多く採用されます。また、壁より外に突き出した「出窓」や、部屋の角に設置された「コーナー窓」などがあります。
FIX窓
窓枠とガラスが固定され、開け閉めできない窓のことを指し、「はめ殺し窓」とも呼ばれます。採光を確保するために、吹き抜けや高天井の高所に設置されるケースや、床面に接した地窓として採用するケースが多く見受けられます。
スリット窓
「スリット=隙間」という名前の通り、細長い形狀の窓や、壁面に設けられた細長いスペースに設置された窓のことを指します。ほかの窓に比べて幅が狹いため、通風?採光を確保しながら、外からの視線を遮りプライバシーを確保するために採用されることが多いようです。また、スリット窓を並べてレイアウトするなど、內観や外観のデザイン性を演出するためのアクセントとしても用いられます。
天窓
建物の屋根に取り付けられ、室內からは天井部に位置する窓のことで、「トップライト」とも呼ばれます。部屋の北側や隣家との距離が近く採光が難しい場合などに、プライバシーを確保しながら光を取り込むことができます。
Part2リビングを掃き出し窓にする
メリット?デメリット&検討のポイント

リビングで採用されることの多い掃き出し窓。採光の確保や屋外へのアクセスなどのメリットがある一方で、プライバシーや防犯面でいくつかの注意點もあります。
掃き出し窓のメリット
ほかの窓とは違い、人がスムーズに出入りできることが大きなメリットになります。また、開口部の大きな掃き出し窓は、室內に光や風を採り入れやすく、視界が広がることで開放感を得ることができます。リビングの床と隣接する屋外のウッドデッキやテラスなどの高さを合わせることで、リビングと屋外のウッドデッキやテラスなどがつながり、より開放的な空間が生まれるでしょう。
掃き出し窓のデメリット
窓の面積が大きい分、外気溫の影響を受けやすくなるため斷熱性が低下することも考えられます。また、外から室內の様子が見えやすく、プライバシーの面で不安を感じるかもしれません。さらに、人が出入りしやすい分、防犯面にも配慮が必要です。
掃き出し窓を検討するときのポイント
斷熱性を高めるために、複層ガラスやトリプルガラス、樹脂サッシなど斷熱性能の高い窓を選ぶと良いでしょう。斷熱性?気密性が高まることで、結露の発生を抑え、光熱費を抑えられるといったメリットも期待できます。
防犯性能の高い建物部品を証明する「CPマーク」が入った防犯ガラスの採用や、シャッター?補助鍵を設置するなど、防犯対策を施すことも重要です。
室內のプライバシーを確保するには、カーテンやブラインドを設置するほかに、ガラス面に目隠し用のフィルムを貼るか、光を通しながら視界を遮る型ガラスを採用することも有効です。また、道路や隣家との境に目隠しフェンスや植栽を設けることで、外からの視線をより自然に遮ることができるでしょう。
Part3リビングを大開口窓にする
メリット?デメリット&検討のポイント

家族みんなが集まり、住まいの中で長く過ごすことになるリビング。大きな窓で自然の光を取り込み、心地よい時間を共有したいという人も多いのではないでしょうか。ここでは、大開口窓について詳しく解説します。
大開口窓とは?
大開口窓とは面積の大きな窓のことをいいます。一般的な掃き出し窓よりもさらに大きく、広範囲に外の景色を取り込むことができます。天井や床いっぱいまでの高さがある窓や、リビングの壁いっぱいの橫幅がある窓もあります。
大開口窓のメリット
大きな窓で採光性を高める、明るいリビングを実現できるのが魅力です。また、床の段差がない掃き出し窓にすることで、庭やテラスなどがまるでリビングの一部のように感じられ、一層の開放感を得ることができます。窓から見える青空や庭の木々を眺めながら、気持ちよく過ごせるでしょう。
大開口窓のデメリット
Part2の掃き出し窓でご紹介したように、室內の熱が逃げやすいのが、窓などの開口部です。その窓が大きい分、外気溫の影響を受けやすく、熱の損失率が大きくなることが、斷熱性が下がる原因となってしまいます。
また、窓が大きくなるほど室內の様子も見えやすくなり、リビングが道路や隣家から丸見えの位置にある場合、プライバシーへの配慮が必要です。加えて、住人の不在が分かりやすくなるため、防犯面での対策も必要不可欠です。
大開口窓を検討するときのポイント
基本的には、前述した掃き出し窓を設置する際と同じく、斷熱性能に優れた複層ガラスや樹脂サッシを採用することが大きなポイントです。また、2階にリビングに設ける、大開口窓を中庭に向けて設置するなどの工夫で、外からの視線を遮ることができ、防犯対策やプライバシーにも配慮できます。
そのほか、大きな窓を設けることで柱や壁が少なくなるため、耐震性を確保できる強靭な構造で家づくりを行うことが重要になります。
Part4魅力的な窓のあるリビングの事例5選
大開口の掃き出し窓を中心に、多彩な窓を効果的に用いて開放的な暮らしを実現した事例を、畫像とともにご紹介します。
1. 2.72mの天井高を生かした大開口
天井高2.72mの開放的なリビングを生かし、大開口窓を設けています。床から天井まで屆く高さと、左右いっぱいに広がるワイドさで、屋外とつながる開放感に満ちた住空間を実現しています。
また、天井の板張りがそのまま軒天につながるようデザインすることで、木目に沿って視線が外に誘導され、外と內の一體感が強まります。さらには、リビングの床を一段下げたロースタイルリビングを採用することで、より天井の高さを意識できる工夫が施されています。
2. ウッドデッキとつながる
連続した掃き出し窓
連続する大開口の掃き出し窓をリビングに設けることで、內と外がつながる開放的な空間です。外を眺めながら、部屋の中でゆったり過ごすことができます。
段差のない掃き出し窓により內と外がフラットにつながり、バルコニーは屋外リビングとしても活用できます。家族それぞれが居場所を設けて、多様な過ごし方を楽しむことができる住まいです。

3. L字型のLDKを囲む大開口
L字型にレイアウトされたLDKに合わせて、大開口の掃き出し窓を設計しました。リビングとダイニングの両方に、気持ちのいい光と風がたっぷりと屆けられます。天井の高さと相まって、面積以上の広がりを感じることができるでしょう。
窓の外には、L字型のLDKに合わせるようにウッドデッキを配置。リビングとダイニングそれぞれから出入りがしやすいのも魅力です。
4. 開放感とプライバシーの確保を
両立する窓配置
南側(寫真左側)に大開口窓を設け、北側(寫真右奧)には上部に採光用のスリット窓を採用しました。高い位置に窓を設けることで、プライバシーを確保しながら程よい光を室內に招き入れ、やわらかな光が壁や天井に反射し、心地よい住空間を実現しています。
5. 吹き抜けの大パノラマビュー
2階リビングは吹き抜けのある大空間。下の窓はベランダとつながる掃き出し窓で出入りがしやすく、外に出て深呼吸をしたり、景色を眺めたりなど、気分転換ができます。また上部の大開口から、日中は青空を、夜は星空を眺めることもできそうです。リゾートホテルのような非日常感を演出する空間設計が魅力的です。
Part5大和ハウスの戸建住宅は大開口でも高耐震?高斷熱

大きな掃き出し窓のある開放的な住空間と、高い耐震性と斷熱性を持つ住宅性能。大和ハウスの家づくりで、そのすべてを実現できる理由をご紹介します。
大開口の快適な家を実現するには、耐震性や斷熱性の確保が重要
まず前提として、家は建築基準法で定められた耐震基準を満たす必要があるため、際限なく開口部を広げることはできません。耐震性を確保しながら大開口を実現する必要があります。
また、窓部分が大きくなることで、室內の溫度が外気溫の影響を受けやすくなり、斷熱性が下がってしまう可能性があります。斷熱性をいかに確保するかも快適な家づくりには欠かせない要素です。
大開口や大空間の快適な家をつくるためには、こういった耐震性や斷熱性の確保が重要で、そのためには構造や設計におけるさまざまな工夫はもちろん、実現するための技術力が必要となります。
大和ハウスの戸建住宅が高耐震?高斷熱なわけ
これまで開放的な住空間と、高い耐震性能が両立する家づくりを追求してきた大和ハウス。その特長が、大きな揺れに対して耐え続けるだけではなく、地震エネルギーを効果的に吸収し、揺れ幅を軽減するエネルギー吸収型耐力壁「D-NΣQST(ディーネクスト)」(鉄骨造)です。
80mm角の角形鋼管柱による強靭な構造とともに、揺れを受けると上下へ動き、地震エネルギーを効率的に吸収する「Σ形デバイス」を採用することで、標準性能で耐震等級3を確保しています。
このD-NΣQSTを採用する「xevoΣ」なら、大空間、大開口を可能にしながら、日々の安全と快適な暮らしを支え続けてくれるでしょう。
さらに、外壁?天井?床?窓の家全體を高斷熱化することで、夏も冬も快適な空間を保ちながら、冷暖房のコストを大幅に削減。省エネで快適な住まいを実現しています。
- ※一部地域では仕様が異なる場合があります。
- ※立地條件によりコスト削減の効果の度合いは異なります。
熱の損失率の大きな窓については、一般地域では高性能斷熱複合サッシ、寒冷地域では斷熱性に優れた樹脂サッシを採用。すべてのサッシのガラスには、低放射膜(Low-E)を持つ複層ガラスを標準採用することで、より冷暖房効果を高めます。

快適な家づくりにおいてリビングの窓のプランニングは重要なポイントになります。大和ハウスは、開放感を損なうことなく、快適な住環境を整えるために蓄積してきたノウハウがあります。ぜひお気軽にお問い合わせください。
お話を伺った方
(株)佐川旭建築研究所 代表取締役/
女子美術大學非常勤講師
佐川 旭さん
1951年福島県生まれ。一級建築士、インテリアプランナー。
用と美を兼ね備えた作品を得意としている。住宅(これまで180軒以上を設計)、街づくり、公共建築などを中心に講演?雑誌執筆活動をする傍らテレビにも出演。