「仕事が忙しくて片付ける時(shí)間がない」「自分は片付けが苦手」「片付けてもすぐに散らかってしまう」、
あるいは「片付けが苦手だと言い張る家族が片付けに協(xié)力してくれない」…。
そんな悩みを持つ人は多いかもしれません。
片付けとビジネスの共通點(diǎn)に觸れながら、
主にビジネスパーソンに向けて講演を行う「片付けパパ」こと大村信夫さんは、
「片付けは練習(xí)すれば誰(shuí)でもできるようになる」と話します。
その理論をひもとき、片付けの本質(zhì)に迫ります。
Profile

大村 信夫さん
大手電機(jī)メーカーに勤務(wù)しながらパラレルキャリアを?qū)g踐し、片付けの効果を広める「片付けパパ」として活動(dòng)中。これまでに參加者累計(jì)13,000人以上の講演やワークショップを開(kāi)催。整理収納アドバイザー1級(jí)。國(guó)家資格キャリアコンサルタント。著書(shū)に『片付けパパの最強(qiáng)メソッド ドラッカーから読み解く片付けの本質(zhì)』(インプレス)がある。
片付けに必要なのは「センス」ではなく「理論」

世の中に「片付け術(shù)」の情報(bào)はあふれていますが、ハウツーにならって一時(shí)的に片付けても、片付けの本質(zhì)を捉えていなければ根本的な解決にはなりません。この章では「片付けとは何か」に迫りたいと思います。
私は片付けの専門(mén)家ですが、かつては「自分は片付けが苦手」と諦めていました。しかし、それは思い込みだったのです。
若者と高齢者に共通の試験を?qū)g施した、心理學(xué)者アヤナ?トーマス博士の興味深い心理実験があります。「この記憶試験は高齢者の方が成績(jī)が悪い」と説明した場(chǎng)合の正解率は、若者が約50 %、高齢者は約30%でした。ところが「これはただの心理學(xué)の試験である」と説明した場(chǎng)合は、同じ試験にもかかわらず若者?高齢者ともに正解率50%で差はなかったのです。つまり、「片付けが苦手」も思い込みになってしまっている可能性があります。
また、片付けにセンスは必要ありません。必要なのはセンスではなく理論(ロジック)。誰(shuí)でも練習(xí)すればできるようになります。平成2008年の小學(xué)校學(xué)習(xí)指導(dǎo)要領(lǐng)の改訂時(shí)に「家庭科」の教科書(shū)に片付けの仕方が盛り込まれましたが、それ以前の人は習(xí)う機(jī)會(huì)がなかったので、できなくて當(dāng)然なのです。もしかしたら、子どもたちの方が片付けの方法に詳しいかもしれませんね。
ここで、片付けのメリットを整理してみましょう。
時(shí)間的なメリット
人が一生のうち、モノを探すために費(fèi)やす時(shí)間は4,800時(shí)間(約200日)と算出されています。仮に時(shí)給1,000円のアルバイトを4,800時(shí)間行うと480萬(wàn)円稼げる計(jì)算です。いかに生産性のないことをしているかが分かります。
経済的なメリット
必要なときにモノが見(jiàn)つからず、新しいものを買(mǎi)った後に出てくる…という無(wú)駄が防げます。また、モノがあふれているとその分スペースを占拠するので、片付いていれば居住スペースが広くなり、家賃等の無(wú)駄も省けます。
精神的なメリット
わが家の場(chǎng)合は不毛な片付けバトルがなくなり、家族との関係性が良くなりました。イライラがなくなり快適に過(guò)ごせるように。片付いた家だと人を気軽に呼んでコミュニケーションを図ることもできます。
衛(wèi)生面のメリット
例えば散らかった部屋だと飲みかけのペットボトルに気がつかず、日がたってしまうことがあるかもしれません。また、片付いていないと掃除がしにくいのでハウスダストが増えます。
安全面のメリット
床に置かれたモノを踏んでケガをすることが防げ、停電や災(zāi)害時(shí)にも安全に行動(dòng)することができます。
片付けの基本は「整理→収納→維持」のサイクルを回すこと

片付けと聞くと、まずは収納グッズを買(mǎi)って収納することだと勘違いされることもありますが、片付けの基本は「整理→収納→維持」のサイクルを回すことです。最初はこの基本をしっかり押さえましょう。
片付けが成功するか否かは、「整理」の部分で8割が決まるといっても過(guò)言ではありません。肝となる「整理」の考え方を中心に、ケーススタディを交えながらご紹介します。

失敗エピソード①
「片付けよう!と張り切って収納用品を買(mǎi)いに行く」
いきなり収納用品を買(mǎi)いに行くのはNG。まずは「整理」からです。見(jiàn)落としがちですが、収納用品自體も場(chǎng)所をとる「モノ」なので、計(jì)畫(huà)なしに増やさないようにしましょう。
失敗エピソード②
「一番目につくリビングから片付けに著手する」
リビングは家族との共用スペースなので、片付けをするのに家族の理解?協(xié)力が必要になり、ややハードルが高め。自分のモノだけがある自室からやってみるのがおすすめです。
失敗エピソード③
「1カ所ずつ要領(lǐng)良く片付けようとして途中で挫折する」
整理で最初にすべきことは、片付ける場(chǎng)所のモノを「すべて出す」こと。部屋のすべてのモノを床に並べ全體量を把握します。重複や無(wú)駄なものを見(jiàn)つけたら、不用品として処分します。
失敗エピソード④
「もったいないという思いや、罪悪感で捨てられない」
捨てられない心理には、自分が所有しているモノに高い価値を感じて手放すことに抵抗を感じる「保有効果」や、モノに対して費(fèi)やした金銭的?時(shí)間的?労力的なコストが気になり決斷できない「サンクコスト(埋沒(méi)費(fèi)用)効果」があります。いわば當(dāng)然の心理なので、選択基準(zhǔn)を設(shè)けるのが近道です。
「使えるor使えない」で選ぶのはNG。食料品以外の壽命は長(zhǎng)く、ほとんどが使えるモノとして殘ってしまいます。「使っているor使っていない」で選ぶのもおすすめできません。「これから使う!」と捨てない理由が生まれてしまうためです。おすすめは「1年以內(nèi)に使ったかor使わなかったか」で選択すること。これなら誰(shuí)もが客観的に判斷できます。捨てるか否かの判斷基準(zhǔn)は、後ほど詳しくご説明します。
失敗エピソード⑤
「収納スペースにきっちりと詰めてしまい込む」
ブロックゲームのように隙間なく整然と並べることが収納だと思っている人も多いようですが、収納とは詰め込むことではなく、次に使いやすいようにスタンバイさせること。使用頻度や動(dòng)作?行動(dòng)動(dòng)線にかなった収納や、同じ作業(yè)で使うものをまとめたグルーピング収納で使いやすくします。
失敗エピソード⑥
「シャツを3枚にするなど極端にモノを減らす」
斷捨離ブームに乗って減らしたはいいものの、平日5日の間に洗濯ができないと3枚では回せません。適正量はライフサイクルや考え方によってまちまちですが、量を決めたら実際に生活をしてみて、最適なラインを探っていくといいでしょう。
ロジカルに片付けるためのキーワードとは
ここからはキーワードとともに片付けの本質(zhì)に迫ってみたいと思います。
チームのビジョンを共有する
片付けは仕事のプロジェクトと同じ。まず家族會(huì)議を行い、プロジェクト(片付け)を達(dá)成したときのビジョンを共有します。インターネットで検索した畫(huà)像を見(jiàn)せる、知人の家を例に挙げるなど、片付けの最終形を共有すればモチベーションもアップ。また、「テーブルにモノがない狀態(tài)」を片付けと考える人もいれば、「ある程度整頓されていればモノを置いてもOK」という人もいて、片付けの定義はまちまち。「片付けとは整理→収納→維持」であることを改めて確認(rèn)し、最終形の擦り合わせもしておきしましょう。
「空中戦」「地上戦」
「片付けてもいつの間にか部屋が散らかってしまう」というお悩みは多いです。これは、私の尊敬する片付けの第一人者?小松易さんから教えていただいたのですが、部屋が散らかるのは無(wú)意識(shí)にモノを置いた瞬間。例えば、帰宅してダイレクトメールをテーブルに置くのではなく、ポストから取り出した時(shí)點(diǎn)で「要るor要らない」を判斷し、要らないものは即ゴミ箱へ。これが「空中戦」です。適當(dāng)に置いてしまえば「地上戦」になり、片付けが長(zhǎng)期化します。片付けの「維持」においては、小さな意識(shí)とその都度の行動(dòng)が重要です。「モノが増えたらその分減らす」ことも大切です。
捨てるものは2×2マトリクスで選択基準(zhǔn)を作る
前項(xiàng)のケーススタディでお伝えした選択基準(zhǔn)「1年以內(nèi)に使ったかor使わなかったか」だけではうまくいかないケースも実はあります。さらに踏み込んだ選択基準(zhǔn)を設(shè)定するために「2×2マトリクス」で考えてみましょう。
「使っている?使っていない」の軸と、「好き?嫌い(無(wú)関心)」の軸を作ります。4つの象限のうち、必要なものは○の「好き、かつ使っているモノ」、真っ先に手放すのは×の「嫌い(無(wú)関心)、かつ使っていないモノ」、△の「好きだけど使っていないモノ」「使っているけど嫌い(無(wú)関心)なモノ」はグレーゾーンでジャッジが必要です。

経営學(xué)の権威のドラッカーは「やるべきではない仕事を決定し、狀況によっては撤退する事業(yè)を決める必要があるがそれが難しい」と言っています。これこそが、△のゾーンのジャッジに必要な「劣後(れつご)順位の決定」です。じっくり考えてジャッジしましょう。
ひとつのモノを大事にするのはかっこいい
ファストファッションや100円ショップなどの臺(tái)頭でモノがあふれる時(shí)代になりました。最近はモノを修理して使うことは減り、「必要になったらすぐに買(mǎi)い、要らなくなったら捨てればいい」とモノの扱いがおざなりになることを危懼しています。私自身は父の形見(jiàn)である60年以上前の腕時(shí)計(jì)をオーバーホールして愛(ài)用しています。こうすることで「好き、かつ使っているモノ」領(lǐng)域になりました。
家族で片付け習(xí)慣をつけるには?

ここからは実踐編として「整理→収納→維持」のサイクルをうまく回すためのコツをお伝えします。
クリーンタイムを?qū)毪工?/h3>
片付けてもすぐにリバウンドしてしまうのは、「使ったら戻す」ができていないため。これを家族に徹底するのは根気が要りますが、「毎日○時(shí)」や「寢る前の5分間」などとタイミングを決めて「クリーンタイム」を設(shè)けてみてはどうでしょうか。工場(chǎng)やスーパーなどでも導(dǎo)入されています。
片付け習(xí)慣がない家族には第三者の目を入れる
わが家では、はじめに整理収納アドバイザーの資格を持つ友人に片付けを依頼しました。子どもたちは友人を「片付け先生」と呼び、週2回寢る前の部屋の寫(xiě)真を送るようになると、3カ月で片付け習(xí)慣が定著しました。家族の言葉よりも、第三者の言葉の方が響くことは多いです。家に人を招くことも有効です。
子どもの「要る?要らない」に口出ししない
子どもが要る?要らないを判斷したものに対し、「それは高かったから…」「おばあちゃんに買(mǎi)ってもらった大切なものだから…」といった大人の価値観を押し付けると、子どもの判斷基準(zhǔn)を惑わせ、片付けスキルが育ちません。子どもの意思を尊重しましょう。
時(shí)には譲歩する
いくら片付けのロジックを説いても、「手が屆くところにモノを置きたい」などとこだわりのある人もいます。その場(chǎng)合、リビングなど家族の共用スペースはルールを守ってもらい、自室は好きにしてOKとしてみてはどうでしょうか。
話し合いで解決できなければ、仕組みづくりはプロに頼る
家族で話し合いをしても、どうしても片付けがうまくいかない場(chǎng)合があります。往々にしてモノが多過(guò)ぎることが原因ですが、片付けられる仕組みを見(jiàn)つけるために、整理収納アドバイザーなどのプロの手を借りるのも一つの方法です。
片付けがしやすい住まいとは?
潤(rùn)沢過(guò)ぎる?yún)Ъ{スペースを作ってもモノをため込みがちになるので、過(guò)不足のない収納スペースを設(shè)計(jì)することをおすすめします。
また、子どもの片付けスキルを育むには、自室を與えることが有効だと私自身の経験で學(xué)びました。わが家は3人の子どもがいる5人家族で3LDKのマンションに住んでいますが、姉妹が7帖の部屋を共有していた時(shí)代は荒れに荒れた狀態(tài)でした。上の子が中學(xué)校に入學(xué)するタイミングで部屋を分割したところ、「自分の城」という意識(shí)が芽生えたのか、片付けに対する意識(shí)も変わりました。これから家を建てる方は、將來(lái)的に家族が増えても対応できるよう、部屋を分割できる可変性のある間取りにしておくのも一つのアイデアかもしれません。家族がそれぞれ個(gè)室を持つことが難しくても、設(shè)計(jì)の工夫でパーソナルなスペースを作ることはできるでしょう。「自分の城」があれば「リビングは共用スペースだから散らかさない」という共通認(rèn)識(shí)を育むことにもつながります。
車(chē)好きの人が愛(ài)車(chē)を大切に扱うように、家にも愛(ài)著が持てれば片付けはできるようになるはずです。家族で話し合い、どんな家にしたいのかビジョンを共有して、ぜひ愛(ài)著の持てる片付いた住まいを目指しましょう。
まとめ
「片付けは目的ではなく手段」と大村さんは話します。片付けた先にある豊かな生活や、家族との觸れ合いといった時(shí)間を得るための「手段」に過(guò)ぎません。「どう片付けるか」よりも「どんな住まいにしたいか」を家族で考えることは、家づくりのヒントになりそうです。