植物は快適な室內(nèi)環(huán)境をつくるために欠かせない要素の一つです。
今回は、グリーンを使った空間デザインブランドであるparkERs[パーカーズ]に、人と植物のいい関係づくりについて教えていただきました。
地球上に誕生して以來、人間は約500萬~700萬年の歴史のほとんどを自然の中で暮らしてきました。産業(yè)革命が起こり、今日のような都市生活を送るようになったのは、ほんの200~300年前のこと。現(xiàn)代に生きる私たちは自然の中で暮らすのが普通だった體のままで都市生活を送っているため、意識しないうちにストレスを感じていると言われています。
晝休みや休日に公園に出かけ、木陰でランチを取ったり芝生に寢転んだりすると、ほっと一息つけたという経験は誰もが持っているでしょう。それは人間の體に刻まれた本能的な欲求が満たされるためかもしれません。
日々、公園で過ごす時間のように自然を感じて生活できれば、ストレスの緩和につながるのは想像に難くありません。まずは日常空間に花や緑を取り入れてみませんか。
「ポイントは、五感で植物を感じることです」と、植物を用いた空間デザインを手掛けるパーカーズのプランツコーディネーターの田村さん。ここで、植物との関わり方の一例をご紹介しましょう。
家族が集まるダイニングには、窓辺に樹(き)を置いて木漏れ日をつくる。キッチンでは、料理に使えるハーブを育てる。廊下などには、人が歩くことで揺れる葉の動きを楽しめる植物を飾る。床座でくつろぐスペースには、手を伸ばして觸れてみたくなる観葉植物を置くなど、その場所で行う動作や視線の高さに合わせて植物を選んでみてください。五感で楽しめるようになれば、植物はより身近な存在になるでしょう。
- 葉の色つやや揺らぎを眺める。新芽が出たり、成長したり、花が咲いたりするのを見て楽しむ。
- 葉の揺れる音、土に水が染み込む音、葉からしずくが滴る音、種がはじける音などに耳を傾ける。
- 土の香り、花の香り、葉の香りを嗅ぐ。
- 果樹や野菜を食べたり、ハーブティーにして飲んだりして味わう。
- 葉の素材感、幹のぬくもりを感じる。
「緑視率」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。人間の視野における緑量のことで、寫真に寫した風(fēng)景から緑の面積比率を割り出します。街の緑化指標(biāo)の一つとして自治體などが導(dǎo)入し始めています。
個人の住まいやオフィスなどの空間づくりにおいても、緑視率の考え方が広まりつつあります。人が心地良いと感じる緑視率は10~15%程度。あなたのお住まいやオフィスは何%くらいでしょうか。
近年、人々の植物への関心が高まってきたのは、植物が持つさまざまな効果?効用が科學(xué)的に解明されてきているからでもあります。室內(nèi)環(huán)境に対しては、次のような効果が期待できると言われています。
打ち合わせスペースもグリーンの力で和やかに(株式會社パーク?コーポレーションにて)
空気をきれいにする効果
植物は光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を供給します。また、シックハウス癥候群の原因となるホルムアルデヒドなどの有害物質(zhì)、カビ、細(xì)菌、ほこりなども吸収。さらに、俗に「森の香り」と呼ばれる、健康に有効な成分フィトンチッドを放出します。
マイナスイオン濃度を上げる効果
パソコンやテレビなどの電化製品から出る有害電磁波(プラスイオン)がマイナスイオン値を上回り、イオンバランスが崩れると、慢性疲労、肩こり、腰痛、冷え性などの原因になります。室內(nèi)に植物を置くとマイナスイオン濃度が上昇し、理想のイオンバランスに近づきます。
溫?zé)岘h(huán)境を整える効果
植物は葉の表面から水分を蒸散し、空気に潤いを與え、濕度をコントロールします。乾燥しがちな冬場でも、快適な50~60%まで上昇させることも可能。夏場は蒸散する水分の気化によって熱を奪い、気溫上昇を抑えます。逆に、冬は熱を放出して気溫の低下を防ぎます。
また、バルコニーなどで緑のカーテンを作ることで、真夏の室內(nèi)溫度が3~5℃近く下がるとも言われています。
植物は人の心や體にも直接働きかけ、さまざまな効果をもたらすことが分かっています。
リラックス効果
山や森の中で深呼吸をすると気分がリラックスするのは、樹が発散するフィトンチッドが脳內(nèi)のアルファ波を増幅させるから。同様に、植物が目に入る室內(nèi)環(huán)境でもアルファ波が増幅。血圧が下がり、筋肉の緊張がほぐれ、心拍數(shù)が減少して、リラックス?fàn)顟B(tài)になります。
目や肩の疲労を回復(fù)する効果
長時間のデスクワークによる目の疲れ、視力低下、ドライアイ、肩こり、腰痛、精神疲労、判斷力の低下などのテクノストレスも、植物の力で和らげることができます。植物を眺めると脳の一部(大脳皮質(zhì))の活動が活発になり、目の疲れや體の緊張感が和らぎます。
また、「植物は人と人の距離を縮め、コミュニケーションを円滑にしてくれます」と空間デザイナーの片平さん。リビングに一本の樹があれば、「新芽が出たね」「花が咲いたね」「葉が少し枯れかけているよ」など、その日気づいたことから何気ない會話が生まれます。パーティションを設(shè)けなくても、樹があることで閉鎖感なくゆるやかに空間が區(qū)切れるため、リビングの一角にスタディコーナーをつくる際などにも応用できそうです。
園蕓治療を始めとする心理セラピーにも活用されるなど、ますます注目が集まる植物の力。花や緑と積極的に関わって、心身ともに健やかな毎日を送りたいですね。
さわやかなエバーフレッシュの葉陰でデスクワーク(パーカーズオフィスにて)
パーカーズオフィス內(nèi)には壁面スペースの緑化も。照明を効果的に當(dāng)てることで影を楽しめる
グリーンに囲まれたパーカーズのオフィス。デスク間のパーティションとして花や緑が活用されている
飾り方編
切り花を元?dú)荬摔工毪郡幛擞袆郡适侄韦杆肖辍埂K肖乔oを斜めに切ることで、水を吸い上げやすくなります。毎日切るうちにだんだん莖が短くなるので、異なる高さの花瓶をいくつか用意して順に生け替え、長い日數(shù)を楽しみましょう。
洗面室にグリーンを置いて快適なグルーミングタイムを
グリーン越しに鏡をのぞくと、寢起きの顔も生き生きとして見えるもの。一日の始まりと終わりを快適に過ごすために、洗面室にはぜひ一鉢のグリーンをどうぞ。
內(nèi)と外に植物を置いて境界線をあいまいに
リビングに面するテラスがあるなら、室內(nèi)側(cè)と室外側(cè)に植物を置いてみましょう。內(nèi)と外の境界があいまいになって、空間に広がりが生まれます。
身近な器を花器として使う
例えばキッチンなら、料理に使う小物や食器に観葉植物を植えてみるのもアイデアの一つ。もともとその場所にある器なので、空間にしっくりとなじみます。
鏡に花を飾れば2倍楽しめる
姿見に一輪挿しを取り付けて花を飾ると、花の本數(shù)が2倍になってボリュームアップ。自分の姿を花とともに鏡に映してみると、気分が上がります。
植物の選び方編
木陰を楽しむ植物
葉の美しさやゆらゆら揺れる葉影によって、室內(nèi)を演出してくれる植物。優(yōu)しい葉質(zhì)は、どんな空間にも合わせることができます。
エバーフレッシュ
晝間は葉を広げ、夜は閉じる「休眠活動」を行います。葉がとても柔らかく、空間全體にきれいな葉影を落とします。
アマゾンオリーブ
白く繊細(xì)な幹がさわやかな品種。光が葉を透過すると、濃淡のある葉の色味を楽しむことができます。
ハンギングに適した植物
室內(nèi)にも取り入れやすいハンギング。目線の上に鮮やかなグリーンがあると、緑視率が高まります。乾燥に強(qiáng)い品種を選ぶと良いでしょう。
エスキナンサス?ヤフロレピス
やや肉厚で、葉は細(xì)かく繊細(xì)。明るく鮮やかな緑色が美しい品種です。
コドナンテ?エレガンス
つやとボリュームのある葉が特徴。葉が垂れ下がると高級感のある印象になります。
觸れたくなる植物
ふわふわ、ざらざら、つるつる。さまざまな葉質(zhì)を持つ植物をテーブルやデスクなどすぐそばに置き、手で觸れて感じるのも楽しみの一つです。
アスパラガス?ナナス
食べられませんが、野菜のアスパラガスの仲間。別名「オオミドリボウキ」とも。
カランコエ?ベハレンシス
美しい葉を楽しめる多肉植物。若い葉は全體が軟毛でおおわれ、ベルベットのような手觸り。
「青山フラワーマーケット」を展開する株式會社パーク?コーポレーションの空間デザインブランド。植物とともに過ごす空間づくりを提案している。
田村未和さん
(プランツコーディネーター)
片平麻衣子さん
(空間デザイナー)
取材協(xié)力/parkERs[パーカーズ]
www.park-ers.com
2017年7月現(xiàn)在の情報となります。
高さの異なる花瓶に生け替えて長く楽しむ