消費稅の増稅が2年半延期になりました。
それに伴い、住宅減稅はどう変わったのでしょうか。
今回は、現在使える稅制優遇を整理してみました。
消費稅の8%から10%への増稅は、本來ならば2017年4月からの予定でしたが、2年半再延長され、2019年の10月からとなりました。これから家を購入する人にとっては時間の猶予ができてうれしい話ですが、消費稅増稅に伴い拡充された住宅減稅がどうなっているのか気になるところだと思います。
基本的にはそのまま延長されていますが、住まいを購入する場合の住宅減稅について、再度內容を整理してみます。
住宅ローンを組む人に関係してくるのが「住宅ローン控除」。年末の住宅ローン殘高の1%が10年間にわたり戻ってくるという制度で(上限あり)、その合計金額もさることながら、この低金利下で1%戻ってくるというのはとても魅力的です。
また、年収510萬円以下の方は「すまい給付金」として年収に合わせて10萬円?30萬円の給付金が受け取れます。
祖父母や両親からの資金援助を考えている人は、「住宅取得等資金の贈與稅の非課稅措置」が使えます。これにより、ある一定金額までは贈與稅がかかりませんので、資金援助をしてもらいやすくなります。
これら魅力的な稅制優遇制度は2021年12月まで延長になっています。
このほかにも、登録免許稅の特例(2020年3月31日まで)、不動産取得稅の特例(2018年3月31日まで)、固定資産稅の特例(2018年3月31日まで)など、住まいを購入するにあたっての稅制優遇は引き続き延長されています。
このように、住宅購入環境としては恵まれた狀況が続いているといえます。これらの優遇制度を上手に使い、夢のマイホームを建ててください。
2021年12月末まで延長
「住宅ローン控除」とは、金融機関などから住宅ローンを利用して購入すると、10年間にわたって年末ローン殘高の1%が所得稅や住民稅から戻ってくる制度です。年末のローン殘高の4,000萬円まで(認定住宅※は5,000萬円まで)が対象となり、控除額は年間最大40萬円(認定住宅※は50萬円)、10年間では最大400萬円(認定住宅※は500萬円)となります(表1)。また、住宅ローンを使わない場合でも、認定住宅の場合、最高65萬円の所得稅の特別控除が受けられます(表2)。
※長期優良住宅および低炭素住宅
- ※居住年のみ(1年だけ繰越可)
- ※住宅ローン控除とは重複適用不可
2021年12月末まで延長
「すまい給付金」とは、消費稅率引き上げによる住宅所得者の負擔を軽減するための制度で、年収(上限510萬円まで)に応じて10~30萬円の給付金が受け取れます。また、現金で購入した場合でも、50歳以上の人で一定の條件を満たしていれば「すまい給付金」を受け取ることができます。
2021年12月末まで延長
「住宅取得等資金の贈與稅の非課稅措置」とは、両親や祖父母などの直系尊屬から資金援助を受けた場合、一定金額まで贈與稅がかからない特例のことです。非課稅限度額は一般住宅が700萬円、良質な住宅※が1,200萬円となり、基礎控除の110萬円と合わせると、810萬円(1,310萬円)まで非課稅となります。
受贈者1名につき通算2,500萬円まで非課稅となる「相続時精算課稅制度」もありますが、こちらを一旦選択するとその贈與者とは110萬円の基礎控除が使えなくなりますので、注意が必要です。
※省エネ性、耐震性、バリアフリー性のいずれかの基準を満たす住宅
(一社)住まいる総合研究所 井口 克美先生(住宅評論家)
1987年株式會社リクルート入社。SUUMO(舊週刊住宅情報)及びSUUMOカウンターにて、営業及び企畫を擔當。マンションから注文住宅まで幅広い領域で活躍。2014年「住まいる総合研究所」を設立し、セミナー講師及び執筆活動に取り組んでいる。
2017年3月現在の情報となります。