政府は、「団塊の世代」が75歳以上となる2025年時點で必要な全國の醫療機関のベッド數は115~119萬床程度で、13年時點の実績134萬7000床より16~20萬床程度少なく済むとの推計をまとめた。人口減少や、高齢化に伴う醫療需要の変化で勘案。 なお、都道府県別では埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、沖縄の6都府県で不足し、他の41道府県では余ると予測している。
都道府県では現在、昨年成立した醫療介護総合確保推進法に基づき、25年時點での地域の実情に応じた必要ベッド數を盛り込んだ「地域醫療構想」を作成中。政府は醫療費抑制に向け、醫療機関のベッド再編を誘導し、必要性の低い入院醫療を減らしたい考えだ。
推計によると、必要ベッド數は、救急などに対応する「高度急性期」が13萬床程度、通常の重癥患者向けの「急性期」が40萬1000床程度、リハビリ患者らを受け入れる「回復期」が37萬5000床程度、長期療養向けの「慢性期」が24萬2000~-28萬5000床程度。現狀よりも高度急性期や急性期が少ないのに対し、回復期は多くなっている。
慢性期は、在宅醫療の強化や介護との連攜により少なくなると予測。在宅醫療や介護施設などで対応可能な患者數を29萬7000~33萬7000人程度と推計。厚生労働省は、こうした患者の受け皿づくりに向け検討に乗り出す方針だ。
都道府県別では、もともと醫療機関が多い西日本でベッド數過剰が目立っている。特に、富山、島根、山口、徳島、愛媛、高知、佐賀、熊本、宮崎、鹿児島は今よりも3割削減できる見込み。不足するのは高齢者が急増する大都市部が中心で、神奈川や大阪では1萬床程度が不足する。
なお、今回の推計については、今後、地域醫療構想を踏まえた醫療提供體制改革や、各地域における地域包括ケアシステム構築の進捗狀況なども踏まえながら、新しい人口推計も取り入れた形で、2018年度をめどに見直しを検討すべきであるとした。