厚生労働省が2016年度の概算醫療費(速報値)を公表。41兆2,865億円で前年度比0.4%減となり、速報値としては14年ぶりに減少に転じた。近年、醫療費全體を押し上げていた薬の調剤費が、高額なC型肝炎治療薬の価格引き下げにより同4.8%減となったことが主な要因とみられる。ただ、高齢化の進展による醫療費の増加基調に大きな変化はない。
概算醫療費は、診療報酬明細書の集計を表し、全額自己負擔や労災の醫療費用は含んでおらず、醫療費全體を示す國民醫療費の約98%に相當する。
內訳は、「入院」が全體の40.1%を占める16兆5,444億円で、外來など「入院外」が14兆1,799億円、「歯科」2兆8,746億円、「調剤」7兆4,953億円。調剤費の減少は、C型肝炎に効果のある「ハーボニー」など高額薬価が昨年4月から約3割下がり、患者の使用量も減ったことが大きく影響した。
國民1人當たりの醫療費は、2,000円減の32萬5,000円。75歳以上が93萬円で、75歳未満の21萬8,000円の4.3倍に達した。醫療費は39道府県で前年度を下回り、最も減少したのは香川の2.2%減。反対に埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、滋賀、兵庫、沖縄の8都県は前年度を上回り、中でも千葉が0.7%増と最も伸びた。醫療費抑制のために使用を促している割安な後発醫薬品(ジェネリック)の16年度末の使用割合は、全國平均68.6%で5.5ポイント上昇した。