桜色、小豆色、藍(lán)色、藤色…日本には四季の彩りと結(jié)びついた伝統(tǒng)色があり、
一説には1000色以上も存在すると言われています。
今回は、天然染料で伝統(tǒng)色を再現(xiàn)する京都の染物屋、染司(そめのつかさ)よしおかを訪問。
六代目當(dāng)主の吉岡更紗(さらさ)さんに染物と伝統(tǒng)色の歴史や魅力、
伝統(tǒng)を受け継ぐことへの想いを伺いました。
歴史や文化とともに広がった、日本の染織の世界
古都の風(fēng)情が感じられる京都?祇園。閑靜な路地の一角に、植物染にこだわり和の色を再現(xiàn)する染物屋があります。創(chuàng)業(yè)は江戸時(shí)代、200年にわたり染織を受け継ぐ染司よしおか。白く上品なのれんをくぐると、色彩豊かな小物が並び、その色表現(xiàn)の繊細(xì)さに驚かされます。
染織の技術(shù)は彌生時(shí)代に絹とともに中國(guó)から伝わり、衣服など人々の生活に近いところで、歴史や文化に関わってきました。たとえば、聖徳太子が制定した日本最古の位制度?冠位十二階では、職階に応じて色の種類や濃淡の違う冠を授けていました。また、平安時(shí)代に遣唐使が廃止されてからは、季節(jié)感で身に付ける色を決める、日本獨(dú)自の色選びが流行しました?!溉究棨渖瞎糯闅s史や文化、人々の暮らしと深く結(jié)びついていました。そして、私たちもきっと同じように色とともに生きているのだと思います」。そう話すのは、染司よしおか六代目當(dāng)主の吉岡更紗さんです。

父に教わったのは目の記憶を鍛えること
吉岡さんの父である先代、吉岡幸雄氏は染織史研究の第一人者であり、古代の染色技術(shù)の研究や古寺に保管される文化財(cái)の復(fù)元に攜わっていました。そのかたわらアートディレクターや執(zhí)筆家、講演家、編集者として精力的に活動(dòng)。染物や古美術(shù)などへの造詣が深く、優(yōu)れた審美眼を備えていたそうです。
また、化學(xué)染料から自然由來の染料に回帰する決斷をしたのも吉岡幸雄氏。染色とは古來自然の染料で染めるものでしたが、明治時(shí)代に便利な化學(xué)染料が登場(chǎng)すると多くの染物屋が天然染料の使用をやめてしまいました。染司よしおかも例にもれず、一時(shí)期は化學(xué)染料を使用していましたが、氏が豊かな経験と知識(shí)をもとに、天然染料による伝統(tǒng)的な和色の再現(xiàn)などに取り組んだのです。

店內(nèi)にはさまざまな色の小物が並び、天然の色の世界が広がります
吉岡更紗さんが當(dāng)主を継いだのは2019年。幼少期から四代目である祖父が作業(yè)をしている工房に出入りし、染色がいつも身近にあったという吉岡さん。急逝した父の遺志を受け継ぐ決心をしたのは、自然な選択でした。「正倉(cāng)院の寶物など、時(shí)を超えてなお人々を魅了する美に觸れ、自分の中でその価値を見極めること。目の記憶が大切だということが父の教えです」

白く上品なのれんが色彩豊かな店內(nèi)へ誘います
細(xì)やかな色の表現(xiàn)を生活に取り入れる
店頭に並ぶ色彩豊かな小物は、すべて京都?伏見にある工房で、吉岡さんや職人の手によって染められています。染料として使うのは、藍(lán)、クルミ、紅花といった、『延喜式(えんぎしき)』や『正倉(cāng)院文書』などの古代法典に記述のある天然由來の素材のみ。使う染料の量、布地を染料に浸ける回?cái)?shù)や時(shí)間などを微妙に調(diào)整しながら、目で記憶した理想の色に少しずつ近づけていくのです。
近年人気の高い緑は単體の染料で染めるのが難しい色で、青の染料となる藍(lán)と黃の染料となる刈安(かりやす)などを重ねて繊細(xì)な色を表現(xiàn)。一口に緑と言っても濃さや彩度、明るさなど幅があり、色表現(xiàn)の奧深さを見て取れます。
商品としてストールやバッグなどの裝飾品や日用品を提供したり、個(gè)人や飲食店のオーダーを受けたりするかたわら、ホテルや空港などの建築空間を飾るインスタレーションを依頼されることも増えているそうです。染司よしおかが生み出す日本の伝統(tǒng)色は、社會(huì)や暮らしのさまざまな場(chǎng)面を彩っています。

店內(nèi)に並べられた緑のストール。同じ緑でも染め方によってさまざまな表情を魅せます

店內(nèi)に飾られた天然染料。同じ材料でも、産地や採(cǎi)れる時(shí)期によって染色した際に出る色が少しずつ違っているそうです

ランチョンマット、コースターなど、日常を彩る小物の數(shù)々
① 染料を煮出す
植物を水から煮て、色を抽出します。寫真で使用しているのは刈安と呼ばれるススキの一種です。
② 染料に浸ける
煮出した染料を水で薄め、そこに布を浸けます。染料の量や浸ける回?cái)?shù)は染めたい色に合わせて調(diào)節(jié)。
③ 色を定著させる
水洗い後、布をミョウバンに浸けることで色が定著し、その後色が入りやすくなります。
④ 水で洗う
ミョウバンを水で洗い落とします。②から④を何度も繰り返し、少しずつ染めていきます。
⑤ 乾かす
染め終わったら布を広げて干します。乾くと色が変わるので、翌日に確認(rèn)し、さらに色の調(diào)整を加えます。
変わらないことが伝統(tǒng)を守るということ
染司よしおかが伏見に工房を置く理由は、水にあると言います。植物から染料を煮出すとき、煮出した染料を薄めるとき、染めた布を洗うときなど、染色の工程には水が欠かせません。そしてその水の良し悪しは色の出方に大きく影響を與えます。伏見は古くから名水の地として知られ、かつては「伏水」と呼ばれていたほど。工房の庭には井戸があり地下100mから伏見の良水を引いています。

染めた布を干す吉岡さん。染まり具合を確かめながら布を広げます
色の伝統(tǒng)を守るとともに、古社寺の年中行事にも毎年関わり、供花神饌(きょうかしんせん)=造花を奉納することが、染司よしおかの仕事の柱になっています?!袱陇胜嗓问耸陇颏丹护皮い郡坤长趣恰唤y(tǒng)の重みを感じます。新しいことに挑戦するのも大事ですが、私にとっては、変わらないことが最も大切で難しい。コロナ禍でさまざまな伝統(tǒng)文化の継承が困難になったと聞いて、ずっと継いできたものを変わらずやり続ける責(zé)任を感じます」と吉岡さんは語ります。
繊細(xì)で鮮やかな日本の伝統(tǒng)色が誕生したのは、山や川、海、動(dòng)植物、四季の移り変わりなど、自然が魅せる多彩な表情を敏感に感じ取ってきたからだと言われています。古くから受け継がれる和の色を読み解き、こだわった自然素材だけで再現(xiàn)する染司よしおか。自然を重んじ、歴史や文化の大きな流れに身を委ねながら、変わらず、これからも染物文化を守り続けます。

工房の內(nèi)観。煮出した植物の香りに満ちています

工房の庭にはクルミやザクロなど染料となる植物が植えられています。風(fēng)が吹くと実が落ち、工房の屋根をゴトンと鳴らします

紅花や蓼藍(lán)(たであい)、クヌギなど染料の植物が並びます。奧に寫るのは昔の染色家が使用していたという道具など

右)庭で採(cǎi)れたザクロの実。染料として使うまで乾燥させてストックしています
左)染司よしおかで代々使われてきた大小の刷毛(はけ)。年季の入った様子に歴史を感じます
たとえば、柿渋染めのバッグは長(zhǎng)く使用するうちに商品の色が褪せてきたら、上から色を塗り直すメンテナンスが可能です。色やツヤを蘇らせて長(zhǎng)く使い続けることができます


PROFILE
吉岡 更紗さん(よしおか さらさ)
染司よしおか 六代目當(dāng)主
1977年京都市生まれ。アパレル會(huì)社での勤務(wù)などを経て、2008年より父であり五代目である吉岡幸雄氏のもとで染色の仕事に就く。2019年に染司よしおかを継承。

取材撮影協(xié)力
染司よしおか 京都店
〒605-0088 京都市東山區(qū)西之町206-1
TEL/075-525-2580
FAX/075-585-5233
営業(yè)時(shí)間/10:00~18:00
定休日/水曜日、夏期休暇?年末年始
2022年12月現(xiàn)在の情報(bào)です。