一般家庭から料理研究家、一流料理店のシェフまで、
多くの人に愛される鋳物(いもの)ホーロー鍋、バーミキュラ。
世界一と稱賛されるこの鍋は、愛知県の老舗町工場で生まれました。
今回はバーミキュラの魅力と、メイド?イン?ジャパンの
誇りについてお話を伺いました。
おいしさを通じて笑顔を?qū)盲堡胧姑?/h2>
世の中にはさまざまな素材や形の鍋がありますが、密閉性が高く「無水調(diào)理」ができるメイド?イン?ジャパンの鋳物ホーロー鍋は、バーミキュラしかありません。無水調(diào)理とは読んで字の通り、水を使わない(あるいは通常より少ない量の水を使う)調(diào)理のことです。食材から染み出す水分や脂肪分を生かして調(diào)理をするので、素材の味が薄くならず旨味が凝縮し、おいしい料理ができるのです。栄養(yǎng)分を損ないにくいヘルシーな調(diào)理法ということもできます。
素材本來のおいしさを引き出す。このシンプルかつ根本的な機能を追求した鍋をつくっているのは、愛知ドビー株式會社。3代目の社長である土方(ひじかた)邦裕さん(兄)と、副社長である土方智晴さん(弟)が率いる老舗企業(yè)です。
2010年2月の発売以來、國內(nèi)外で※累計52萬臺を超えた人気の鍋、バーミキュラ。そのすべてが、愛知県內(nèi)にある自社工場で作られています。鉄を型に流し込む鋳造(ちゅうぞう)の技術と、百分の一ミリ単位の精度で微調(diào)整する精密加工技術、そして均一な厚みでホーローを塗るホーロー加工技術。これらがそろって初めてバーミキュラが生まれます。
ブランドスローガンは「手料理と、生きよう」。世界一、素材本來の味を引き出す鍋を通じて、手料理のある暮らしのすばらしさを?qū)盲薄⒛氦椁筏蜇Nかにすることが使命です。52萬臺という數(shù)は、日本のみならず、世界中にもたらされた笑顔の數(shù)でもあります。
※2020年10月末時點

不可能を可能にした 兄弟の強い想い
愛知ドビーは1936年、愛知県の中川區(qū)で創(chuàng)業(yè)。鋳造と精密加工を得意とし、ドビー機という繊維機械のメーカーとして発展しました。しかし、繊維産業(yè)の衰退に伴い事業(yè)は縮小。生き殘るために工業(yè)製品の下請け製造を行っていました。
かつて「うちのドビー機は世界一」と誇りをもって働いていた職人の顔に笑顔を取り戻したいと、2001年、大手企業(yè)を辭めて兄の邦裕さんが入社。鋳造の技術を習得しながら経営改善を図りました。5年後、弟の智晴さんも入社。精密加工の現(xiàn)場で技術を身につけながら同部門を立て直していきました。

熟練した職人の手仕事が、無水調(diào)理に欠かせない密閉性をかなえる
再び二つの強みを生かして下請け事業(yè)は軌道に乗ったものの、職人らの顔は冴えません。「今の仕事では誇りを取り戻せない」。智晴さんは自社で設計?製造し、直接お客さまに屆ける新事業(yè)を模索します。
そんな時、世界で一流とされる鋳物の鍋の存在を知り、いくつも買って試してみると、食材の甘味や旨味が引き出されることが分かりました。ただ、無水調(diào)理ができるほど密閉性を保てないことが課題となっていました。兄弟が身につけた技術を生かせば、世界最高の製品が作れるはず。そう確信した智晴さんは、兄や工場の職人とともに開発に乗り出しました。

晝食を取りながら會社のことを語り合うこともあるという、仲の良いご兄弟
「3か月でできると楽観していたんです」(邦裕さん)。しかし実際は困難の連続でした。特に、鋳物へのホーロー加工という難しい工程を委託できる企業(yè)が國內(nèi)になく、自社加工に挑戦するも、表面に気泡ができて不良品になってしまうのです。世界最高の鍋を作る夢は到底かなわないと思えました。ある程度完成した製品を世に出し、事業(yè)化する考えも浮かびましたが、「世界最高でないと意味がない」という想いで開発を続けました。開発には約3年間もの時間をかけ、計1萬臺以上の試作を経て、ようやく完成に至りました。「振り返れば、世界最高のものをつくるのだから、困難なのは當たり前だったと思います」(智晴さん)。

MADE IN JAPANの文字は、蓋の裏にしっかり記されている
次の「世界一」を生み出す 確かな信頼関係
2016年、鋳物ホーロー鍋と熱源を組み合わせ、「世界一、おいしいご飯が炊ける炊飯器」を開発。バーミキュラ ライスポットです。難しい火加減をスイッチ一つで行え、無水調(diào)理やロースト、炒め調(diào)理などにも対応します。バーミキュラ ライスポットは瞬く間に世界の一流シェフから高い評価を得ました。

自動で火加減を調(diào)整し、鍋炊きごはんのおいしさを簡単に実現(xiàn)するバーミキュラ ライスポット
次いで2020年4月に開発されたバーミキュラ フライパンも話題を呼びました。忙しい共働き家庭で、鋳物ホーロー鍋よりさらに気軽に使ってもらえるものをと考えて企畫した製品です。蓄熱性の高い鋳鉄に獨自開発のホーローコーティングを施すことで、食材から出る余分な水分を瞬時に蒸発させることができ、家庭でプロの炒め料理が可能になりました。
「次の製品のコンセプトは、頭の中にいくつもありますよ」と智晴さん。次々と生まれるアイデアの根底には、邦裕さんや職人らへの確かな信頼があるのです。

バーミキュラが最高傑作と誇るフライパン。革新的な調(diào)理性能はもちろん、本體とウッドハンドルの接合部の緩みにくさにもこだわりがある
ものづくりのプライドとお客さまへの想い
製品の企畫デザインから鋳造、精密加工、ホーロー加工、梱包、販売、レシピ開発、コールセンターまで。ほぼ全工程を社內(nèi)で行う愛知ドビー。製品を手にされたお客さまと一生涯お付き合いをする覚悟でのぞみます。
長い間使いこんでホーローが剝げてきたら、リペアサービスへ。すべてのホーローを剝がして再ホーローコーティングを施せば新品同様に生まれ変わります。新しい色に変えて気分を変える方もいるそうです。
コールセンターを自社內(nèi)に構え続けるのも、愛知ドビーらしいところ。一人ひとりのお客さまの聲を大切にすることが、ものづくりに攜わる者としての矜恃(きょうじ) なのです。

バーミキュラ ビレッジ?ダインエリア內(nèi)のレストラン「ザ ファウンダリー」。空間のすみずみにまで、バーミキュラの世界観を伝える工夫がなされている
新たな出會いの場を創(chuàng)業(yè)の地に
2019年12月、創(chuàng)業(yè)地からほど近い場所に體験型複合施設「バーミキュラ ビレッジ」をオープン。名古屋市が策定する「中川運河にぎわいゾーン にぎわい創(chuàng)生プロジェクト」の一角で、運河を目の前に望む心地良いロケーションです。
ここを訪れる人に提供するのは、「最高のバーミキュラ體験」。多くの人にバーミキュラで作った料理のおいしさを伝え、ブランドの世界観とメイド?イン?ジャパンのものづくりを體感していただくための施設です。ダインエリアのレストランは連日予約で埋まるほどの盛況ぶり。バーミキュラで焼いたパンや、煮込んだカレーなどを味わえるベーカリーカフェには開店前から近隣の家族連れが列をつくります。スタジオエリアには、料理教室が開かれるキッチンスタジオや、世界のトップシェフのために、専用バーミキュラを開発するラボラトリーも設けられ、バーミキュラを通して料理する楽しさや手料理のすばらしさを伝えています。
手料理を通じて暮らしを楽しみ、家族との時間を味わいたい方は、バーミキュラ ビレッジを訪れてはいかがでしょうか。ものづくりへの想いが詰まった製品に觸れ、その想いを受け止めたら、食を通じた喜びの扉が開くことでしょう。

レストランで提供されるランチメニューは、季節(jié)の食材のおいしさをバーミキュラで引き出した逸品
※メニューは季節(jié)ごとに変わります

フラッグシップショップには、ここでしか手に入らないビレッジ限定商品も並ぶ

ベーカリーカフェ「ポットメイドベーカリー」のテラスでは、中川運河の川面を眺めながら軽食が楽しめる
PROFILE
土方 邦裕さん(ひじかた くにひろ) : 右
1974年 愛知県生まれ。大學卒業(yè)後、総合商社で為替ディーラーを務める。2001年、祖父が創(chuàng)業(yè)した愛知ドビーへ入社して3代目として家業(yè)を継ぐ。鋳造技師の資格をもつ技術者でもある。
土方 智晴さん(ひじかた ともはる) : 左
1977年 愛知県生まれ。大學卒業(yè)後、自動車メーカーに入社。原価企畫などに攜わる。2006年、兄の要請に応えて愛知ドビーに入社。精密加工技術を習得し、バーミキュラ全製品のコンセプト策定から製品開発までを主導する。

シンプルなデザインが美しいバーミキュラ ビレッジ?スタジオエリアの外観
取材撮影協(xié)力
愛知ドビー株式會社
〒454-0805 愛知県名古屋市中川區(qū)舟戸町2 運河沿い
バーミキュラ ビレッジ スタジオエリア 2F
https://www.vermicular.jp/(ブランド公式サイト)
https://www.vermicular.jp/village/(ビレッジ公式サイト)
2020年12月現(xiàn)在の情報となります。