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Daiwa House presents デザイナーズトーク
造園家?景観デザイナー 荻野壽也 ×
ダイワハウス ハウジングマイスター 蘆刈創(chuàng)一?
ダイワハウス エクステリアプランナー 舘智徳
“風景に住まう”心地よさ(前編)

ダイワハウスの設計士と、建築家、プロダクトデザイナー、職人など
さまざまなジャンルのデザイナーが語り合い、
いい家づくりのプロセスや、これからの住まいのあり方について、
とことん深掘りしていく「デザイナーズトーク」。

第3回目のゲストは造園家の荻野壽也さんです。
荻野さんは建築と造園を一體的に捉え、
風情ある日本の原風景を取り入れた庭づくりに定評があり、
全國の建築家やハウスメーカーからの
依頼が絶えないほどの人気と実力を誇る方です。

お迎えするのは、荻野さんの造園思想に共感し、
內(nèi)(建物)と外(庭)を融合した設計を心がけてきた
ダイワハウスのハウジングマイスター蘆刈創(chuàng)一と、
エクステリアのエキスパート舘智徳の2名。
美しさと心地よさを兼ね備えた造園の美學や、
庭のある住まいの可能性についてお伺いしました。

Profile

荻野壽也(おぎのとしや)

造園家

1960年大阪生まれ。1989年に家業(yè)である荻野建材に入社し、緑化部を設立。ゴルフ場改造工事を機に植栽を研究する。1999年、自宅アトリエが第10回大阪府みどりの景観賞奨勵賞を受賞。2006年、荻野壽也景観設計を開設。原風景再生をテーマに造園設計?施工を手がける。2015年三井ガーデンホテル京都新町別邸が、第25回日本建築美術工蕓協(xié)會賞(AACA賞)優(yōu)秀賞共同受賞。近著に『荻野壽也の「美しい住まいの緑」85のレシピ』(エクスナレッジ)がある。

蘆刈創(chuàng)一(あしかりそういち)

大和ハウス工業(yè)株式會社 香川支店
住宅設計課 課長

1978年福岡生まれ。2002年に大和ハウス工業(yè)に入社。住まいづくりおいては、地域とお客さまにとって真の価値ある住まいとするため、建物とエクステリアの境界を感じさせない設計を常に心がけている。
一級建築士、一級エクステリアプランナー、インテリアコーディネーター。

ダイワハウス ハウジングマイスター(社內(nèi)認定)

舘智徳(たちとものり)

大和ハウス工業(yè)株式會社 住宅事業(yè)推進部
東日本住宅設計室一課 主任技術者

1972年東京生まれ。土木コンサルタントで駅前広場や公園緑地などの設計を経て、2004年に大和ハウス工業(yè)に入社。大型分譲地の街づくりおよび個人住宅や展示場のエクステリアデザインを手掛ける。地域の歴史や文化、地元の材料などをデザインや素材に取り込み、地域と繋げて、その土地に馴染むように意識して設計している。
一級建築士、一級エクステリアプランナー、一級造園施工管理技士、一級土木施工管理技士。

建築に寄り添う“荻野スタイル”への共感

  • 蘆刈:荻野さんが手掛けられた外構(gòu)?造園の事例集などを拝見し、お庭単體ではなく、建物とお庭?外部の空間とのつながりを重視されていることにとても刺激を受けています。私たちも設計において、ハードの建物だけではなく、インテリアとエクステリアの境がなくなるような形でつくっていきたいと思っております。荻野さんの造園において、どのようなお考えがベースにあるのか後ほどお伺いできればと思います。
  • 舘:私は建物の設計ではなく、お庭の設計やランドスケープ、街をつくる仕事をしております。以前、地域に根ざした街「越谷レイクタウン(埼玉県越谷市)」を手掛けた時に、自然風のかっこいいお庭をつくろうと考えて、いろいろ調(diào)べているなかで、荻野さんのことを知りました。「原風景」や「地域に根ざす」という荻野さんの考え方にとても感銘を受けました。ぜひ多くの方に「荻野スタイル」を知ってほしいです。
    ※越谷レイクタウン(埼玉県越谷市)は、地球環(huán)境大賞を受賞し、仙臺?堺の大型分譲地のモデルとなったほか、ランドスケープ専門誌でも取り上げられた。
  • 荻野:ありがとうございます。
    私の理想は「風景に住まう」ことなんです。
    これは青森県の「奧入瀬渓流」の寫真なんですが、こういう風景に囲まれて暮らしたいと、25年ほど前に自邸を建てるときに思ったのです。
    そうした理想に近い場所は、人の手が加わった街の中にもありました。例えば、由布院の老舗旅館は「植えられた感」のない木々の風情が素晴らしく、旅館の建物や周囲の街並みと見事に一體化しています。世界の名建築を見ても、必ずと言っていいほど樹木がそばにあり、その家の美しさと心地よさを最大限に高めています。ミースやライトといった名建築家と呼ばれる人たちは、場所選びの天才でもあったと思いますね。
  • 蘆刈:四方をガラスの壁で囲んだミースのファンズワース邸はまさしく「風景に住まう」建築ですね。私も感銘を受け、ガラスを用いた住まいづくりに挑戦し続けています。
  • 舘:ナチュラルで繊細な植栽をベースとしながら建築を最大限に活かす「荻野スタイル」についてもう少し具體的にお伺いしたいです。
  • 荻野:目指しているのは、風景の中に建築が「舞い降りてきた」ように見せること。だから植栽はできるだけ建物に近づけて、室內(nèi)からの見え方にもこだわります。建物との一體感はそうしたところから生まれるのだと思います。
  • また、建築は「橫への吹き抜け」がすごく大事だと思います。現(xiàn)場をしっかりリサーチし、窓からの景色が一番きれいな所に、開口の配置を決めてから図面を描くことをおすすめします。そのときに窓の枠や外部の電柱など視覚的なノイズをできるだけ排除して、すっきりと仕上げると美しいと思います。必ずしも大きな窓である必要はなく、床面に接した地窓なども上手に生かしながら、室內(nèi)に心地よい眺めを取り込む工夫があるといいですね。
  • 蘆刈:私もすごく共感しており、まさしくそこを目指しています。
  • 舘:千利休の投げ入れの手法を意識して、花を生けるように建築に植栽を行うのが荻野さんの造園スタイルの特徴ですね。生け花や日本畫など日本の伝統(tǒng)と美意識に影響されているのでしょうか。
  • 荻野:そうですね。茶庭や茶室の生け花みたいに、「野にあるように」さり気なく表現(xiàn)されたものに心魅かれます。季節(jié)によって表情を変える落葉樹を好んで使ったり、シンメトリーではなく不等辺三角形のイメージで植栽を組んだりする私の作風は、その影響を受けているのかもしれませんね。

リアルなイメージを添えて庭のある暮らしへいざなう

撮影:扇建築工房 鈴木昌司

  • 蘆刈:私が特に印象に殘っているのは、靜岡県の扇建築工房さまと手掛けられた「家代の家」です。畳リビングから中庭に向かって広々としたウッドデッキが続いていて、まさに「風景に住まう」という表現(xiàn)がぴったりのお住まいですね。
  • 荻野:お施主さまは當初、外構(gòu)?造園に関して、予算內(nèi)で車2臺分のカーポートをつけてほしいとだけ希望されました。「雨の日に車へ乗り込む時に濡れたくない」というお施主さまの気持ちはわからなくもないのですが、いかにも工業(yè)製品に見えるものを外回りに置くのは私の美學に反します。そこで、大きく張り出した軒下を通っていけば、カーポートなしでも雨に濡れずに車內(nèi)へ入れることを説明し、浮いた予算を植栽とウッドデッキに回させてほしいと、こちらで図面を用意してプレゼンテーションしました。
  • よくある縁側(cè)程度のウッドデッキでは使いみちがないので、第2のリビングと呼べるくらいの広さを確保し、両脇に山取りの木々を植えるというプランです。京都?貴船の川床さながらに、涼風が吹き抜ける木陰の下で、家族や友人と外ご飯を楽しみませんか?という提案をしました。
  • 蘆刈:オーナーさまの反応はいかがでしたか。
  • 荻野:庭のある暮らしを具體的にイメージできたようで、ぜひ進めてほしいと。出來上がったものも気に入ってくれて、冬場はこたつを出して鍋パーティーをしているというお話も伺いました。招いたお客さんがSNSに投稿したことでちょっとした話題になりました。
  • 蘆刈:最高の展開ですね。オーナーさまにプレゼンテーションをされる時にどんな工夫をされているのでしょうか?
  • 荻野:私がよく利用するのは、プレゼンテーション資料にCGを取り入れる手法です。使いたい木の寫真を撮ってきて、それを図面上で加工し、よりリアルに庭のイメージを持てるようにします。今までのように平面図を見せるだけでなく、斷面図も使ってわかりやすく提案する必要があると思います。
  • ハウスメーカーの展示場ももっと緑を取り入れて、建物だけではなく、庭もお客さまに見てもらえればと願っています。
  • 蘆刈:そうですね。ダイワハウスの中百舌鳥展示場の庭を荻野さんが手掛けてくださって、來られるお客さまにとってとてもいい事例になっています。
  • 荻野:お庭にそこまでお金を掛けられない場合でも、木が1本2本でもあると、住まいの環(huán)境がぐっと変わります。
  • 舘:すごく共感します。家と庭が一體になって「家庭」になり、その一軒のお庭が隣地とつながり街並みをつくり、地域とつながって風景となっていくことを常に意識して設計していきたいです。

まとめ

獨學で造園や建築への理解を深め、誰もが安らぎを感じる「風景」のある庭づくりに磨きをかけてきた荻野さん。住み手の心をとらえる実踐的なノウハウに続き、後編では具體的な庭づくりの極意や、まちづくりも視野に入れた庭と住まいの可能性を探っていきます。

“風景に住まう”心地よさ

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