クリックひとつで、當(dāng)日にモノが無(wú)料で屆く時(shí)代。
都市に住む人にとって、「送料無(wú)料」や「即日配送」は當(dāng)たり前になっている。一方で地方を中心に、欲しいモノがすぐに手に入らない「買い物難民」と呼ばれるような人が増えているのをご存じだろうか。
高齢化やスーパー?商店の廃業(yè)、「物流インフラの整備不足」により過(guò)疎化が進(jìn)む地方に暮らす生活者にとって深刻な問(wèn)題となっている。
そんななか、「物流改革」こそが地方創(chuàng)生のカギになると語(yǔ)る二人がいる。
大和ハウス工業(yè)で物流事業(yè)をリードする取締役常務(wù)執(zhí)行役員の浦川竜哉氏と、2017年8月までの約3年間、総務(wù)大臣補(bǔ)佐官として地方創(chuàng)生に攜わり、現(xiàn)在は地域で共創(chuàng)プロジェクトを仕掛けるNew Stories代表の太田直樹氏だ。
地方創(chuàng)生のリアルを知る二人の視點(diǎn)から、地域経済復(fù)興における「物流」の可能性を探る。
太田 少子高齢化や都市一極集中など、これらの地域課題はほぼ解消されていないのが現(xiàn)狀です。
人口減少が物流?交通インフラを衰退させ、地域経済の衰退を招く。それがさらなる人口減少と少子高齢化につながる「負(fù)のスパイラル」に陥っています。
気がついたら病院や學(xué)校はなくなり、働き口も消えている。道路や上下水道、電線を維持するのも困難になります。20、30年後には人が住めなくなるような地域もどんどん増えていくでしょう。
そうなると都市に人やお金が集まる、都市への一極集中の流れが加速するのは自然なことだといえます。
ただ、都市にも弱點(diǎn)はあります。経済的に成長(zhǎng)するほど格差は広がり、幸福度は下がってしまうことが、さまざまな調(diào)査からわかっています。
一方、地域は課題がたくさんあるけれど、格差は小さい。健康壽命は都市に住む人より長(zhǎng)く、幸福度は高い傾向にある。
価値観は人によって異なるので、都市に住みたい人は住めばいいと思いますが、どんな生き方をすれば幸福度が上がるかは人によって違います。
だから「都市に住まない選択肢」を次世代にも殘したい。また都市とは異なる地域ならではの発展が日本を変える可能性に期待して、私は地方創(chuàng)生に関わるさまざまな活動(dòng)を行っています。
浦川 とても共感します。大和ハウス工業(yè)は北海道から沖縄まで全國(guó)47都道府県すべてに拠點(diǎn)を持ち、地域とともに成長(zhǎng)をしてきた自負(fù)があります。
地域社會(huì)との共生を理念に掲げる私たちにとって、地域の衰退はただ黙って見(jiàn)過(guò)ごせる問(wèn)題ではありません。
しかしいま高度成長(zhǎng)期に私たちが手がけた郊外型住宅団地にお住まいの方々の大半は高齢者となり、以前のような賑わいはなくなっているのが正直なところです。
空き家の増加も加速し、倒壊による安全面の問(wèn)題、景観の悪化や治安を心配するなどさまざまな聲が地域住民の方々から寄せられています。
そんななか現(xiàn)在、大和ハウス工業(yè)では地方再生に向けてさまざまな取り組みを?qū)g行していますが、なかでも特に注力しているのが「物流」を起點(diǎn)にした地方創(chuàng)生です。
ヒト?モノ?カネの東京一極集中が加速するいま、「物流改革」こそ地域経済復(fù)興のカギになると信じて取り組んでいます。
浦川 一般的にはそのイメージだと思いますが、実は住宅のほか、物流施設(shè)や商業(yè)施設(shè)、ホテルやクレジットカード事業(yè)など多岐にわたるビジネスを展開しています。
そして物流施設(shè)の開発?整備が中心となる事業(yè)施設(shè)事業(yè)の営業(yè)利益率は31％にのぼります。
これは商業(yè)施設(shè)事業(yè)の33％に次ぐ営業(yè)利益です。
一見(jiàn)地味で裏方の印象が強(qiáng)い物流は、実は私たちが生活するための「ライフライン」、いわば命綱に等しい役割を擔(dān)う非常に重要な領(lǐng)域です。
特に公共交通機(jī)関が少なく、車を運(yùn)転できない高齢者が多い地域ほど、物流の整備を必要としている買い物難民と呼ばれる人がいます。都心では當(dāng)日中に屆けてくれるような飲料水や消費(fèi)財(cái)なども、こうした地域では配送に數(shù)日かかるのも珍しくありません。
これまで私たちを支えてくださった地域住民一人ひとりのために、一刻も早く物流の整備を進(jìn)める必要がある。物流の整備は「雇用創(chuàng)出」による地域経済活性化の意味でも、地域に暮らす人々の助けになります。
経済が循環(huán)するようになれば、商業(yè)施設(shè)の開発や公共施設(shè)の整備も進(jìn)む。そうして地域に人を呼び込む好循環(huán)を生み出し、まちの賑わいを取り戻していきたいと考えています。
太田 私は都市一極集中に対する代替案をつくることを目指す「風(fēng)の谷」プロジェクトに攜わっていますが、それを?qū)g現(xiàn)するうえでも「物流の再設(shè)計(jì)」は不可欠になります。
「風(fēng)の谷」プロジェクトは、簡(jiǎn)単に言えば、最新テクノロジーを活用して、人間と自然が共存できる地域に「都市の代替となる場(chǎng)所」をつくろうとする取り組みです。
その場(chǎng)所を示すキーワードが、風(fēng)の谷プロジェクトをリードする安宅和人さんが著書『シン?ニホン』で提唱した「開疎化」、つまりオープンで疎な空間に可能性があるということです。
開疎空間が暮らしの選択肢になるには、いくつかのイノベーションが必要になりますが、その一つが開疎空間における「ヒト」と「モノ」の移動(dòng)です。
公共交通が縮退し、これから道路の維持も困難になると、いまの延長(zhǎng)線上に未來(lái)は描けません。ですから、浦川さんが言う「物流改革が地域経済復(fù)興のカギになる」というお話には大いに関心があります。
當(dāng)面の事業(yè)と中期的かつ社會(huì)的な取り組みがあるかと思いますが、大和ハウス工業(yè)の物流施設(shè)の開発は、どのような場(chǎng)所で進(jìn)んでいるのですか？
浦川 現(xiàn)在、施工中のものを含め物流施設(shè)自體は、全國(guó)各地に312カ所（2021年9月末時(shí)點(diǎn)）設(shè)置しています。
これまで物流施設(shè)を開発する場(chǎng)所を決める判斷軸は、「モノ」の流れを優(yōu)先し、地域と都市間の輸配送の距離を縮小するために高速道路沿いに開発される傾向にありました。
ですがいま物流施設(shè)は「モノ」を運(yùn)ぶためだけではなく、「ヒト」の流れを生み出す?jié)櫥亭趣筏皮我鄹瞍诖?/b>されています。そのため雇用創(chuàng)出に悩みを抱えるようなまちで、直接物流施設(shè)を開発する機(jī)會(huì)が増えています。
直近では、2021年に千葉県流山市に「大型マルチテナント型物流施設(shè)DPL流山Ⅳ」を建設(shè)しました。流山市は2021年度の人口増加數(shù)全國(guó)1位、人口増加率でも全國(guó)3位のまちです。
しかし、その人口増に比例する雇用を地域に生み出せていないという問(wèn)題意識(shí)がありました。つくばエクスプレスを使えば快適に都心へアクセスできるので、地域外へ働きに出て行く方が多いのです。
2021年10月に完成した大型マルチテナント型物流施設(shè)「DPL流山Ⅳ」（千葉県流山市）。東京ドーム7個(gè)分の延床面積を誇り、東日本最大（同社調(diào)べ。1棟単體。竣工ベース：2021年10月時(shí)點(diǎn)）同社最大の物流施設(shè)になる。提供：大和ハウス工業(yè)
そこで物流施設(shè)にさまざまな企業(yè)を誘致するだけでなく、「ママスクエア」という事業(yè)所內(nèi)保育所を併設(shè)し、仕事と子育てを両立させたい家庭が安心して働ける環(huán)境をつくりました。実際、この地域に建設(shè)したDPL流山Ⅰの事例でいうと、定員の40名はすぐ埋まるなど、地域住民が働きやすい環(huán)境づくりや新たな雇用を生む効果があったと実感しています。
併せて、流山市とは防災(zāi)協(xié)定を締結(jié)しました。災(zāi)害が起きた際にはテナント企業(yè)のご協(xié)力も得ながら、地元の方々に避難所として開放します。防災(zāi)用品も備蓄し、多くの人が數(shù)日間は施設(shè)內(nèi)で安全に過(guò)ごせるようにしています。
太田 私たちの生活の利便性が高まるほどに、供給サイドである物流現(xiàn)場(chǎng)では、人材不足や物流施設(shè)での三密問(wèn)題、非効率なシステム運(yùn)用などが問(wèn)題となっています。
このまま需給バランスの崩れが加速すれば、モノが運(yùn)べない、屆かない時(shí)代を迎えてもおかしくないでしょう。
浦川 太田さんがおっしゃるように課題は山積みですが、私たちとしては特に大きく2つの課題解決に向けて動(dòng)いています。
1つ目は、「人手不足」です。いま物流施設(shè)內(nèi)で働く人材とトラックドライバーの不足が大きな問(wèn)題になっています。
Eコマースで扱う荷物が大量に増えていることから、倉(cāng)庫(kù)內(nèi)での業(yè)務(wù)量は劇的に増加しています。加えて顧客の期待に応えるためにも、配送時(shí)間を短縮したり、過(guò)度な再配達(dá)に対応したりすることも求められています。
物流業(yè)界は過(guò)重労働のイメージからも、従事者は年々減少しており、人手不足が悪化しています。自動(dòng)化?省人化を目指して施設(shè)內(nèi)で活躍するロボットは増えていますが、そのカバー力を上回るスピードで荷物量が年々増加しているため人手を解消する狀態(tài)にはなっていないのが現(xiàn)狀です。
2つ目は「DX化の遅れ」です。人手不足、過(guò)重労働による疲弊などの慢性的な課題がある中で、その課題解決のカギとなるDX化が全く進(jìn)んでいません。
コミュニケーションも電話やFAXがまだ當(dāng)たり前の業(yè)界であるため、一刻も早く現(xiàn)場(chǎng)のデジタル化を進(jìn)める必要があります。
浦川 社會(huì)課題が深刻であればあるほど、企業(yè)単體での解決は難しくなります。私たちだけでは力が及ばない領(lǐng)域を解決するために、近年は先進(jìn)技術(shù)を持つスタートアップ企業(yè)との協(xié)業(yè)を推し進(jìn)めています。
たとえば2017年に資本業(yè)務(wù)提攜をしたのが、物流スタートアップ企業(yè)のHacobuです。同社は、データ活用により配車、配送、積載といったトラック輸送における効率化を進(jìn)めている企業(yè)になります。
倉(cāng)庫(kù)周辺に滯留するトラックの解消に向けたプロダクトを共同開発するなど、ドライバー不足をはじめとした物流課題をともに解決することを目指しています。
また私たちが持つ物流施設(shè)に関連するデータとHacobuが持つ輸配送のデータを組み合わせることで、將來(lái)的には、物流のデータを活用した次世代型物流プラットフォームの実現(xiàn)を目指します。
ほかにも物流施設(shè)の効率化?省人化?自動(dòng)化を目指し、AIやIoT、ロボットの導(dǎo)入など、多様なスタートアップ企業(yè)との連攜を進(jìn)めています。
太田 物流の現(xiàn)場(chǎng)を構(gòu)成するのは、主にメーカー、卸、小売、そしてそれらをつなぐ物流會(huì)社です。
各プレイヤーも努力はしているものの、あくまで個(gè)別最適で、業(yè)界全體へのアプローチを考える企業(yè)は少なかった。大和ハウス工業(yè)が、テクノロジーを駆使して物流業(yè)界全體の最適化を目指しているのは希望が持てます。
先ほど「物流施設(shè)に人手がいらなくなったわけではない」というお話もありました。ロボットの導(dǎo)入で未來(lái)の倉(cāng)庫(kù)が完全に無(wú)人化されるかというと、そんなことはないと私も思います。
入荷や検品、仕分けなどの業(yè)務(wù)は置き換えられると思いますが、その代わりロボットの管理?活用など新たな仕事が生まれることになるでしょう。
人とテクノロジーが補(bǔ)完し合う。それが物流の未來(lái)であり、地域の未來(lái)になるはずです。
浦川 最近は弊社の知見(jiàn)を新しい領(lǐng)域に広げて、都市にはできない地方の活性化策も模索しているところです。その一つが「農(nóng)業(yè)?漁業(yè)の工業(yè)化」です。
たとえば靜岡県小山町では、2021年4月から日本最大級(jí)のサーモンの陸上養(yǎng)殖施設(shè)の建設(shè)を始めています。持続可能な漁業(yè)による地方創(chuàng)生や國(guó)內(nèi)の食料自給率向上に寄與することを目指しています。
完成予想図。靜岡県駿東郡小山町にある大和ハウス所有の工業(yè)団地「D-Project Industry 富士小山Ⅰ」において、ノルウェーに本社を置くプロキシマーシーフード社（Proximar Seafood AS）のアトランティックサーモン閉鎖型陸上養(yǎng)殖施設(shè)を著工している。提供：大和ハウス工業(yè)
太田 第一次産業(yè)の拠點(diǎn)開発による地域活性化には、さまざまな可能性があると思います。
エネルギーなど環(huán)境負(fù)荷を抑え、データやロボットを活用することで、新しい仕事や働き方が生まれる農(nóng)業(yè)には、起業(yè)家や企業(yè)の新規(guī)事業(yè)の関心が集まっています。
SDGsとデジタルの両輪で未來(lái)を創(chuàng)るフロンティアの一つが農(nóng)業(yè)や漁業(yè)であることは明らかになってきていますし、これからより多くの人材が集まると思います。
浦川 ありがとうございます。ほかにも「agri-cube（アグリキューブ）」という葉物野菜の栽培ユニット事業(yè)に取り組んだり、千葉県印西市の千葉ニュータウンでデータセンターの開発に著手したりするなど、日本全國(guó)で多角的な展開を進(jìn)めているところです。
千葉県印西市の千葉ニュータウンに大規(guī)模なデータセンター（DC）団地を建設(shè)中。完成すれば東京ドーム約7個(gè)分に當(dāng)たる総延床面積約33萬(wàn)平方メートル、IT機(jī)器への最大供給電力が600メガワット（MW）となる國(guó)內(nèi)最大級(jí)（同社調(diào)べ：2020年10月時(shí)點(diǎn)）のDC団地になる。提供：大和ハウス工業(yè)
太田 大和ハウス工業(yè)といえば、住宅メーカーというイメージを抱く人も少なくないかと思いますが、改めてここまで多角的に事業(yè)を展開しているとは驚きました。
物流施設(shè)のほか、住宅や商業(yè)施設(shè)も手がけていますから、それらをうまく組み合わせて地域に人を呼び込むことも可能でしょう。
全國(guó)各地の土地の価値や可能性に詳しい大和ハウス工業(yè)だからこそできるまちづくりにこれからも期待しています。その先に新しいライフスタイルが生まれる可能性も大いにあるでしょう。
こうした全國(guó)各地の地域に根差したまちづくりを長(zhǎng)年継続している企業(yè)は海外を見(jiàn)ても少ないので、アプローチの可能性は無(wú)限にあると思います。
浦川 地域の活性化に挑むのは使命であり、大和ハウス工業(yè)の社會(huì)的責(zé)任でもあります。これからも、地域住民の方々とともに成長(zhǎng)してきた大和ハウス工業(yè)だからこそできるまちづくりを?qū)g現(xiàn)していきます。
また私たちが多角的に事業(yè)を手がける理由は、創(chuàng)業(yè)者の「儲(chǔ)かるからではなく、世の中の役に立つからやる」という精神を受け継いでいることにあります。
実は創(chuàng)業(yè)のルーツは「?jìng)}庫(kù)」にあり、そこから後のプレハブ住宅や商業(yè)施設(shè)、大規(guī)模団地の開発などに事業(yè)を広げていきました。
どこかに困っている人がいればそこに助けとなる事業(yè)をつくることは、もはや私たちのDNAです。
地域のみなさまに恩返しをするためにも、これからも物流改革を通じた地域経済復(fù)興に向けて力を盡くしていきたいと思います。
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