男性育休から日本の働き方が変わる。大和ハウスグループが考える「持続可能な」育休システムのつくり方

「産後パパ育休」開始から2年。男性育休の実態(tài)は？

2021年6月に改正された育児?介護(hù)休業(yè)法では、子どもの出生後8週間以內(nèi)に父親が最長4週間の育休を取得できる「産後パパ育休（出生時(shí)育児休業(yè)）※１」制度が創(chuàng)設(shè)され、翌年2022年10月からスタートしました。

2023年4月からは従業(yè)員1000人超の企業(yè)に対し、男性社員の育休取得狀況の開示も義務(wù)付けられ、男性の家事?育児參加を後押ししています。さらに2025年4月からは、300人超の企業(yè)に対しても開示義務(wù)が拡大されます。

※１　産後パパ育休：子が生まれてから8週間以內(nèi)に、最大で4週間の育休を2回に分割して取得できる制度。

このような狀況の中、大和ハウス工業(yè)では現(xiàn)在66.5％（2023年度）である男性社員の育休取得率を、2026年度までに80％まで引き上げる目標(biāo)を掲げ、グループ內(nèi)でも多様な取り組みを行っています。

従業(yè)員の80％である男性が、働き方を見直す意義

「育児や介護(hù)、自身の健康管理など、私たちはさまざまな事情を抱えながら働いています。これからは、一人ひとりの狀況に合わせた柔軟な働き方ができる環(huán)境づくりが必要です」と話すのは、大和ハウス工業(yè)のWell-being推進(jìn)室DE&I推進(jìn)グループ主任、池田昇平さんです。

大和ハウス工業(yè)は従業(yè)員の約80％が男性です。育休だけではなく、男性が日常的に育児に參畫することで働き方を見直すことが、時(shí)間的制約の有無に関わらずすべての社員が活躍できる職場環(huán)境の醸成につながる、というのが池田さんの視點(diǎn)です。

2018年度は32.9％、2019年度から2021年度までは40％前半で推移していた大和ハウス工業(yè)の男性育休取得率ですが、2023年度には66.5％まで増加しました。しかし、課題はまだまだ殘されています。

「社內(nèi)調(diào)査では、男性社員の80%以上が育休取得を希望しており、この數(shù)字が『2026年度までに取得率80%』の根拠となっています。ですが『希望通りの形?期間で育休を取得できそう（できた）』と回答した男性社員は25.4％しかいませんでした。取得率の達(dá)成にとどまらず、取得したいと考える社員が望んだ形で制度を利用できる環(huán)境を整えていく必要があります」（池田さん）

取得を躊躇する理由として多くあがるのが「上司の理解を得にくい」という聲です。ただし、これは育児に対する無理解ではなく「誰かが休むと業(yè)務(wù)が回らない」という現(xiàn)実的な懸念が背景ではないか、と池田さんは分析します。

「現(xiàn)在は相談窓口の明確化や、上司による育休取得の意向確認(rèn)など、取得しやすい環(huán)境づくりを進(jìn)めていますが、グループ會社である大和リースは育休を取得する社員のサポートのほか、職場に殘る社員に配慮した體制づくりの點(diǎn)で先進(jìn)的な取り組みをしています。私たちもその実例から學(xué)んでいきたいと考えています」（池田さん）

実際、大和リースの男性育休取得率は2023年度で87.3%という高水準(zhǔn)に達(dá)しています。具體的にどのような取り組みが行われているのでしょうか。

3カ月以上の育休取得で100萬円、その施策の意図は？

大和リースでは、3カ月以上の育休取得で100萬円を支給する子育て支援制度「エンジェル奨勵金」や、育休取得者の業(yè)務(wù)をサポートする同僚に報(bào)いる「サンキューペイ制度」など、ユニークな施策で取得推進(jìn)を後押ししています。

2023年4月に支給金額の見直しを行った「エンジェル奨勵金」。男性側(cè)の育児休業(yè)（産後パパ育休含む）取得の合計(jì)日數(shù)に応じて支給します。

「男性育休に力を入れる一番の目的は女性の活躍推進(jìn)」と話すのは、大和リースの上席執(zhí)行役員 人事部長、佐伯佳夫さんです。

「結(jié)婚すると家事や子育て、さらには介護(hù)といった負(fù)擔(dān)が女性に集中するのが日本の現(xiàn)狀です。これでは、女性にどれだけ仕事への意欲や能力があっても時(shí)間が足りなくて當(dāng)然。まずはこの狀況を変えなければいけません」（佐伯さん）

そのため大和リースでは、男性育休を「家事?育児をパートナーと擔(dān)っていくためのプログラム」であると位置づけています。育休取得をきっかけに「育児はふたりで関わるもの」という認(rèn)識を育むことで、子育て期だけでなく將來起こり得る介護(hù)の場面でもパートナー同士が支え合う土臺ができる、と考えています。

その第一歩が、「エンジェル奨勵金」申請の必須要件となっている「家事?育児シェアシート」の提出です。

「家事?育児シェアシート」の抜粋。夫が育休を取得する場合、①夫が育休に入る前に夫婦で作成?シェアをして奨勵金の申請?提出を行う（グリーンの項(xiàng)目）。②夫が休業(yè)後、夫婦で作成?シェアをして実績報(bào)告として提出する（オレンジの項(xiàng)目）。「他」は夫婦以外の家族が擔(dān)當(dāng)、公共?民間サービス利用、時(shí)短家電の購入など。

このシートには日常的な家事?育児の項(xiàng)目が記載されています。「食事」以外でも、例えば掃除は玄関、リビング、トイレなどの場所ごとに項(xiàng)目が設(shè)定されていますし、洗濯ひとつとっても「洗う」「干す」「たたむ」「片付ける」とタスクが細(xì)かく分かれています。「我が家のシェア」では夫婦での家事分擔(dān)の割合を數(shù)値で記入し総括。普段は見えにくい「家事?育児にかかる労力」について、男性側(cè)の理解を深める効果もあります。

「多くの場合、男性は家事?育児をやりたくないのではなく、やり方がわからないんです。このシートをきっかけに育休中の2、3カ月間経験を積むことで、『自分にもできる』という自信が生まれるはず。女性にとっても『安心して夫に任せられる』と感じる場面が増えることで、その後の働き方にも良い影響を與えていきます」（佐伯さん）

「エンジェル奨勵金」は男性側(cè)の育休取得期間に応じて、1カ月未満で30萬円、1カ月以上3カ月未満で50萬円、3カ月以上で100萬円という3段階制です。取り組みの成果として、現(xiàn)在では1カ月以上の取得者が60％、3カ月以上の長期取得者も35%に達(dá)しています。

「奨勵金を入り口に、取得日數(shù)や家事?育児の具體的な分擔(dān)について、ふたりで話し合う機(jī)會となっているのだと思います」（佐伯さん）

育休を"送り出す側(cè)"の不公平感をなくす

男性の育休取得を進(jìn)める上で、もうひとつの見逃せない課題は、育休取得者が出ると職場に殘る社員の業(yè)務(wù)量が増えることです。同僚の育休取得を応援したくても、現(xiàn)場に不安や不公平感が生まれては育休取得のハードルが上がってしまいます。

そこで大和リースでは、2023年に育休取得者の業(yè)務(wù)をサポートする同僚に報(bào)いる「サンキューペイ制度」を?qū)毪筏蓼筏俊Ｓ萑〉谜撙酥Ыoする予定だった賞與原資を、業(yè)務(wù)支援に當(dāng)たる同僚やチームに再分配する仕組みです。

「各部署の上司が、フォローに當(dāng)たった社員一人ひとりの貢獻(xiàn)度を支援の『量』と『質(zhì)』両面で評価し、分配額に反映する仕組みです。支援の事実に対して公正な評価が行われると同僚らが実感できれば、自然にサポートし合える職場になります」（佐伯さん）

「サンキューペイ制度」で使用する配分表の抜粋。

育児であれ仕事であれ、當(dāng)事者がひとりで抱え込まない仕組みづくりが重要という観點(diǎn)から、「チーム制営業(yè)」も導(dǎo)入しました。

これまで営業(yè)職はひとりで顧客を擔(dān)當(dāng)し、成果も個(gè)人実績として計(jì)上するのが基本でしたが、現(xiàn)在は複數(shù)のメンバーでチームを組み、例えば3人で擔(dān)當(dāng)する場合、受注実績を「3割、3割、4割」というように分配して評価しています。

「この方法であれば時(shí)間的制約のある人も活躍できますし、若手は先輩の仕事ぶりから學(xué)べます。また個(gè)々の得意分野を組み合わせることで、ひとりでは取れなかった案件にもチャレンジできる。人的資本経営とは、一人ひとりの長所を活かすこと。チームでの働き方は、そんな考えを具現(xiàn)化したものなんです」（佐伯さん）

さまざまな施策を展開する中で、「家事?育児は女性だけの仕事ではなく、夫婦で擔(dān)っていくもの」という社の考え方も浸透してきており、「會社がその方向性を明確に打ち出してくれることで、背中を押されている」という聲も社員から上がってきています。

一人ひとりの「夢」を応援できる會社へ

大和リースのこれらの取り組みは、男性の育休取得をきっかけとした働き方改革がもたらす新たな可能性を示しています。グループ會社の先進(jìn)的な事例をヒントに、進(jìn)化を目指す大和ハウス工業(yè)は今後どのような未來を描いているのでしょうか。

「當(dāng)社は2055年のグループ創(chuàng)業(yè)100周年に向けて、事業(yè)のパーパスを"將來の夢"と位置づけ、『生きる歓びを、未來の景色に。』という言葉を掲げています。育休取得も働き方改革も、すべては社員が思い描く豊かな人生を?qū)g現(xiàn)するため。これからもグループ全體で學(xué)び合いながら多様な選択ができる制度を整えて、"將來の夢"を社員一人ひとりが語り、自分らしく輝いていける職場環(huán)境を整えていきたいです」（池田さん）