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      連載:未來の旅人 アフリカと日本をアパレルでつなぐ。CLOUDYが提案する「サステナブルな支援」とは

      連載:未來の旅人

      アフリカと日本をアパレルでつなぐ。CLOUDYが提案する「サステナブルな支援」とは

      2024.04.30

        「サステナブル(持続可能)」という言葉が浸透して久しい昨今、さまざまなサステナブルな取り組みや支援が生まれています。

        その代表格とも言えるアパレルブランド「CLOUDY」。アフリカの伝統的な生地や素材を使用した商品を展開する事業を手がけながらNPO法人を運営し、社會課題の解決に取り組んでいます。現在、ケニアとガーナで7つの學校、5つの工場を運営し、600人以上の雇用を生み出してきました。

        現地の人たちとともに事業を進める代表の銅冶勇人さんは、「物の寄付は本質を捉えていない」と指摘します。銅冶さんが考えるサステナブルな支援とは?

        "支援"に違和感を抱いた一人旅と3.11

        CLOUDYの店頭を通りかかると、鮮やかな色が目に飛び込んできます。カラフルな幾何學模様や植物柄のバッグ、洋服…。手に取るだけでも、気分がパッと明るくなります。

        これらのアイテムが作られたのはアフリカ、生み出されるまでに長いストーリーがあります。銅冶さんは、NPO法人CLOUDYとアパレルブランドCLOUDYを立ち上げ、ケニアやガーナに學校や縫製工場などを建設し、教育の機會や雇用を創出してきました。そうして現地の従業員の手で作られた商品がお店に並んでいます。

        今に至るまで、銅冶さんはどんな道のりを歩み、何を考えてきたのでしょうか――。アフリカと関わるようになった原點は、大學時代の卒業旅行に一人で訪れたケニアでした。

        「『二度と行かない場所で二度とできない経験をしたい』と思って、ケニアに行ったんです。首都のナイロビにあるキベラスラムで生活したことが、すべての始まりになりました。アフリカ最大のスラムで、日本では當たり前の生活インフラがなく、トイレが200世帯にひとつくらいしかない環境。大きな衝撃を受けました」。

        同時に、これまでなんとなく知っていた"支援"に違和感を抱くようになったそうです。

        「途上國で學校を作ったり、性感染癥や望まない妊娠を防ぐためにコンドームを配布したりしていると聞いていましたが、続いている學校もほとんどなく、コンドームもあちこちに捨てられていた。ソーシャルアクションが本質を捉えていないことに問題意識を持ちましたし、自分が一緒に何かやらなければいけないという使命感を抱きました」。

        大學を卒業した2008年、ゴールドマン?サックス証券に入社。朝5時に出社するハードな社會人生活を送りながら、心にはアフリカへの思いがありました。一年に取得できる休暇は5営業日、土日と合わせて9日間の休みを取って再びケニアへ。書店でNPO法人のつくり方がわかる本を探して學び、2010年にNPO法人Doooooooo(現NPO法人CLOUDY)を設立。キベラスラムで支援を開始しました。

        活動方針に大きな影響を及ぼしたのが、東日本大震災でした。

        「當時、NPO法人は高速道路を通る権利をもらえたので、震災発生から1週間後、4トントラックに物資を積んで、被災地に向かいました。その後は毎週、平日は東京で働いて、金曜の夜に出発し、日曜の夜に帰ってくるというサイクルで、宮城、巖手、福島へ通いました」。物資を屆けるなかで気づいたことがあったと話します。

        「せっかく持っていっても、『布団は余っています』『防寒具は必要ありません』などと斷られることがありました。これって、アフリカで起きていることと同じだな、と。支援する側はよかれと思ってやっているけれど、現地ではゴミになっていたりする。現場の聲をもっと聞かなければいけないと痛感しました」。

        立ち上げ當時は9割が不良品だった

        アフリカに信頼できるパートナーを置いてやりとりを重ね、休暇は現地に向かいました。2012年にはスラムの學校に新校舎を建設しましたが、教育だけでなく、雇用が必要だと思い至ります。

        「學校を卒業した女の子たちが性産業に就くことが多くありました。彼女たちの選択なので否定するわけではありませんが、女性が生きていくのがこんなに難しいのか、と。貧富の差が大きい社會を底上げするためには、雇用を生まなければならないと感じました。ビジネスをつくる上で必要なのは、現地の文化を尊重していること、マーケットがあること、教育を受けていなくても働けること、彼らだけで自走できる仕組みにすることでした」。

        そこでアフリカの伝統的な生地を軸としたアパレルブランドを立ち上げようと、ガーナに洋裁工場を設立しました。スタート時の従業員は4人、始めてみると思った以上に前途多難でした。正規商品の品質條件をクリアしていない不良品?B品が多発したのです。

        「最初の1カ月は、縫製の先生を呼んで技術のレクチャーをしたのですが…。それでも、當初は仕上がりの9割がB品。5cmと伝えても50cmで作ってきたりしますし、注意をすると『なんでこんな細かいことをやらなきゃいけないんだ』という顔をしていたりもする(笑)。でもそういうことが続くうちに、これが彼らの普通なんだ、と覚悟ができましたね。もし自分が彼らと同じ環境で育っていたら、と想像すると許せることはあると思うんです」。

        情熱がアフリカに傾いていくなか、証券會社の部下が発した一言で転機を迎えます。

        「ある日、ふと『最近、アフリカの仕事のほうが面白そうにしていますね』と言われたんです。ものすごく恥ずかしかった。上司として見せられる背中ではないとハッとして、翌日に辭表を提出しました」。退職した年の2015年、給與2年半分の貯蓄を元に株式會社DOYAを設立し、アパレルブランドCLOUDYを立ち上げました。

        サステナブルな支援とは、"自走"を目指すこと

        銅冶さんは、営利と非営利の循環型ビジネスモデルを確立。アフリカの工場で作った製品をアパレルブランドで販売し、その売上の1割をNPO法人に還元して、支援に回すという仕組みです。出資は受けず、現在に至るまで自己資金と寄付金でまかなっています。

        支援の軸は、「教育」「雇用」「健康」。學校での給食提供や性教育などに特に力を入れています。通底するのは現地に寄り添いながら"自走"を目指すことです。

        「學校という"箱"を作っても、半年もすれば子どもたちは來なくなります。親は學校に通っていないから重要性がわからないし、子どもは家庭の労働力ですから。そこで、給食を提供しはじめたのですが、『ごはんが食べられるなら』と就學率が上がるんです。今度は、その給食を自走させるために學校の敷地に畑を作り、村のみんなで自給自足できる仕組みを用意しました。現在、親たちの働き口として缶詰工場も建設中です。これを地域を代表する産業にしていきたい」。

        毎日の給食を作ってくれる、生徒の保護者たち。

        銅冶さんは、サステナブルな支援とは、物を提供することではないと話します。

        「例えば1萬枚のTシャツを寄付すると、結局は現地でTシャツを作っている人の仕事を奪うことになる。寄付がその國の成長を止めてしまうんですね。與え続ける構造では、先進國と途上國の格差が埋まることはないんです」。

        その考えが、CLOUDYの店づくりにも影響しています。CLOUDYの店舗には、アフリカの寫真も飾られていなければ、貧困を訴えるようなメッセージもありません。

        「商品に魅力がないと、売れ続けることはありません。チャリティという下駄を履くと、一回の購買で終わってしまう。現在、ソーシャルアクションに関心がある人は、殘念ながら少數です。そうではない人たちにアプローチしたほうがビジネスは広がります」。

        子どもたちの將來の夢の"種類"が増えた

        事業を始めた當時、9割あった工場の不良品は、1割まで減少しました。2人1組で取り組むメンター制度、毎月トップ3を表彰する報奨制度を作ったことで、成果が上がっているそうです。

        「工場で働く女性たちの多くは出稼ぎで、田舎に子どもがいます。収入が増えてきたことで、子どもに會いに帰れる回數が増えたと言っていました。大切なのは、段階を経て少しずつ向上すること。與えすぎると生活が崩壊する場合があります。だからこそ、現地の目、聲、感覚を僕らの中に植え付けて、組織を回していかなければなりません」。

        「當初の事業計畫と比べると、見據えたところには屆いていません。雇用を増やすためには、もっとCLOUDYのビジネスを拡大していく必要もあります。これからのビジョンとしては、自分たちが実踐してきた教育?雇用支援のスキームを、他の団體でコピー&ペーストしてもらいたい。日本政府も含めた枠組みで考えられるかどうかが、非常に大事です」。

        人種や文化の違いを超えて組織を運営することについて、銅冶さんは「大変なことは特にない」と大らかです。支援を開始して約15年、「子どもたちの將來の夢が増えたこと」が何より嬉しいと語ります。

        「最初は、先生、醫者、サッカー選手、エンジニアの4つくらいでした。エンジニアもなんとなく言葉を知っているくらいで、他に知っている職業がなかったんです。それが今や30、40にも増えている。教育によって"選択肢が増える"ということを目の當たりにしました。今後、大學も作りたいと思っています。雇用した人の中には、自分でお店を構えるなど、ビジネスを始める人も出てきました。誰かの人生がいい方向に進むように支えられるのは本當に幸せですし、このマインドを多くの人に感じてほしいですね」。

        PROFILE

        銅冶勇人

        銅冶勇人Yuto Doya

        1985年、東京都生まれ。2008年慶應義塾大學卒業後、ゴールドマン?サックス証券に入社。同社に勤めながら、2010年にアフリカで教育?雇用の創出、食料支援などを行うNPO法人Doooooooo(現NPO法人CLOUDY)を立ち上げる。2015年に同証券會社を退職し、同年株式會社DOYAを設立。アフリカの伝統的なファブリックをはじめ現地の手仕事、文化を生かすアパレルブランド「CLOUDY」を展開。NPO活動と事業を両輪で回し、ファッションを通して、社會課題をリデザインする循環ビジネスを行う。2024年4月にオープンした新商業施設?東急プラザ原宿「ハラカド」にCLOUDYの新店舗を構える。

        未來の景色を、ともに

        大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

        大和ハウスグループは、事業を通じて社會に新たな価値を創出し、持続可能な社會の実現を目指しています。SDGsへの取り組みについてはこちらをご覧ください。

        大和ハウスグループのSDGs

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        大和ハウスグループは、國際社會がよりよくなるよう支援に取り組んでいます。

        國際社會への貢獻

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        大和ハウスグループは、社會的課題解決に取り組む団體を支援しています。

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