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Sustainable Journeyは、
2024年3月にリニューアルしました。
障がいのある人や高齢の人など、車いすを利用する人の海水浴をサポートをするNPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクト。兵庫県神戸市から始まった「ユニバーサルビーチ」の取り組みは今、全國に広がりつつあります。ユニバーサルビーチイベントの開催と普及活動に取り組む同団體代表理事の木戸俊介さんに話を伺いました。
お話を伺った方
木戸俊介 さん
1986年、兵庫県神戸市生まれ。筑波大學(xué)を卒業(yè)後、広告代理店で8年間勤務(wù)。2015年、交通事故による胸椎損傷から下半身が完全麻痺。アメリカ、オーストラリアでのリハビリ留學(xué)後、イベントプロデュースや企業(yè)のマーケティング活動を支援するコンテンツプロデューサーとして獨立。2017年にNPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクトを設(shè)立した。キッチンカー事業(yè)「キッチンHERO(ヒロ)」、スポーツ×教育事業(yè)「HUMAN DEVELOPMENT ACADEMY」など活動は多岐にわたる。
木戸さん率いるNPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクトが取り組む「ユニバーサルビーチ」とは何ですか?
ユニバーサルビーチとは、健常者だけではなく、障がいのある人や高齢の人など車いすを利用する人も海水浴が楽しめる海岸のことをいいます。これまで車いすの利用者は、「砂浜にタイヤが埋まって海岸を移動できない」「介助の手が足りず海の中に入れない」など、海水浴を阻むさまざまな壁にぶつかっていました。その壁を取り払い、「海で遊ぶことができない」を「できた!」に変えるのが、僕たちNPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクト(以下、SUBP)の役目です。
ユニバーサルビーチのイベントを開催する日は、誰もが波打ち際まで行けるよう砂浜にビーチマットを敷いてバリアフリー化します。水陸両用アウトドア車いすに乗り換えれば、SUBPスタッフや家族とともに海の中に入ることが可能。海中で車いすから降りて海に身を預(yù)ければ、真夏の青い空を仰ぎながら海水浴を楽しむことができるのです。
海水浴の際は、參加者それぞれの體力やその時の気持ちが優(yōu)先される。
海水浴は健常者の人にとって容易なものだと思いますが、車いすの利用者にとってはハードルが高いもの。障がいのある人や高齢の人は、何かにチャレンジしようとしても「危ないからやめましょう」と、アクティブな行動を制限されがちです。車いすで出入りできる場所も増えてはきているものの、入場が限られているエリアもまだあります。そのため、初めてイベントに參加する人は、海水浴への期待と共に、「本當(dāng)に自分が海で遊べるのかな…」という不安を抱いています。我々スタッフの様子をうかがいながら、緊張気味の面持ちでいらっしゃる方は少なくありません。
しかし、いざ海に入ると表情は一変。肌に觸れる水の溫度、波の音、水中で感じる浮遊感などで五感が刺激され、もともと持っていた“生の感情”が爆発します。「気持ちいい!」と顔をほころばせたり、聲に張りが出てきたりと、普段はないリアクションが見られるのです。付き添うスタッフは「海に入るのは何年ぶり?」「魚がいるよ!」と絶えず參加者に話しかけて海は大賑わい。會話から生まれた笑い聲が海岸まで聞こえてくるほどです。
以前、障がいのあるお子さんが參加された際に、「この子は話さないし、表情や身體の動きもほとんどありません」とご家族から言われたことがありました。ところが、水に觸れた瞬間身體がピクッと動いたり、表情に変化が出たりして、ご家族も僕たちも驚きました。海水浴を終えてすやすやと眠りについたその子の寢顔を見た時、自然に觸れることは喜怒哀楽を目覚めさせる心へのアプローチになるのだと確信したできごとでした。
「ユニバーサルビーチ」の反響はどのくらいありますか?
SUBPが主催するユニバーサルビーチのイベントは、海水浴シーズンの7、8月を中心に須磨海水浴場で開催しています。ホームページやSNSで參加者を募ったり、障がい者施設(shè)や高齢者施設(shè)の申し込みを受け付けたりしながら、2017年以降200回近くのイベントを開催してきました。參加者は延べ約4,500人。コロナ禍を越えた今年の夏は參加希望者も多く、申し込み開始早々に參加?xùn)槫瘠蓼辘蓼筏俊3酩幛皮畏饯猡い椁盲筏悚い蓼工ⅰ袱蓼亢¥沁[びたい!」とリピートしてくれる人が多くいることに、確かな手応えを感じています。
イベントを安全に運営するためには、ノウハウの共有が重要です。SUBPでは全國の自治體や団體の要請を受けて、イベントをサポートする「出張ユニバーサルビーチ」も実施。我々スタッフが各地域に出向き、道具の使用方法や、參加者とのコミュニケーションの取り方などをレクチャーします。この取り組みを通して、全國31都道府県、56カ所でイベントの開催に攜わってきました。
SUBPでは、サポートメンバーに向けて安全管理を目的にした講習(xí)會(座學(xué)と実技指導(dǎo))を?qū)g施。受講の有無とサポート実績に応じて、現(xiàn)場での役割の範(fàn)囲が異なってくる。
さらにSUBPは、夏の海水浴だけではなく、年間を通してさまざまな企畫を開催しています。春は田植え、地引網(wǎng)、秋にはキャンプ、冬は雪遊びもするんです。これらは、イベント參加者のアイデアから生まれた企畫。「実はずっとやってみたかった……」という聲を拾い上げてどんどん実現(xiàn)させているのです。
イベント運営の協(xié)力者はどのように集めているのですか?
ユニバーサルビーチイベントの開催に欠かすことができないのは、志を同じくして「共に活動する仲間」の存在です。道具を揃えても、協(xié)力者がいないことにはイベントが開催できません。ありがたいことに、今、SUBP が管理するSNSのグループの登録者は約230人。イベントを開催する際は彼らに協(xié)力を仰いでいます。「ユニバーサルビーチの導(dǎo)入を検討しているものの、イベント運営の協(xié)力者を集めることに苦戦している」という話は少なくありません。僕たちも、最初からたくさんの協(xié)力者がいたわけではありませんでした。
SUBPがイベント開催に向けて準(zhǔn)備をしていた2017年、ビーチマットを入手するための手段として選んだのはクラウドファンディングです。ビーチマットはポリエステル製で、砂に沈まないよう金屬の棒がマット內(nèi)に何十本も仕込まれた作り。日本では製造されていないため、必要な長さのマットをアメリカから輸入するとなると100萬円以上かかります。そこで、クラウドファンディングを活用して資金調(diào)達をすることに。僕たちの須磨での挑戦を全國の人に発信して、応援してもらおうと考えたのです。しかし、そんな熱い気持ちとは裏腹にお金はぜんぜん集まらない(笑)。結(jié)局、地元の須磨で対面の説明會を開き、直接活動について話したところから少しずつ応援してくれる人が増え、目標(biāo)金額を達成することができました。そこから、話を聞いて僕の想いに共感してくれた人が知り合いを紹介してくれたりしながら、協(xié)力者が徐々に増えていったのです。
ビーチマットを入手した後は、海の中でも遊べるようにと寄付金を募って水陸両用アウトドア車いすを購入したという。
なかには4年以上ボランティアを続けてくれている人もいます。多くの人が長くSUBPにかかわってくれるように僕が意識しているのは、イベント參加者だけではなく、活動を手伝ってくれる人もプロジェクトのターゲットとすること。僕はいつも協(xié)力者の皆さんに、「ここでは何か持っているものを置いていってください。その代わり、何かを持って帰ってください」と話しています。イベントを通して充実感を得たり、視野を広げたり、仲間と出會ったりしてほしいと考えているのです。
ユニバーサルビーチイベントの參加者は、少なからず海に入ることを“チャレンジ”だと思いながら來てくれているはず。そんな彼らに負けず、僕たちもどんどん新しい事にチャレンジして、お互いの人生を豊かにしていければいいなと思っています。
イベントの運営作業(yè)はほぼ1日がかりとなるが、どのスタッフの表情も清々しい。SUBPで初めて知り合った人同士が意気投合して、こども食堂や古民家カフェを始めたというケースも出てきているという。
2020年に日本財団が主導(dǎo)して始まった「THE TOKYO TOILET(ザ?トウキョウ?トイレット)」は、渋谷區(qū)內(nèi)17カ所のトイレを、障がいの有無や年齢、性別を問わず誰もが快適に利用できる仕様に改修するというプロジェクト。安藤忠雄氏、NIGO?氏など世界で活躍する著名なクリエイターがトイレのデザインに參畫し、國內(nèi)外で話題を呼びました。
大和ハウス工業(yè)が擔(dān)ったのは、各クリエイターのデザインプランを元にした設(shè)計施工。個性的なデザインの具現(xiàn)化、狹小地での施工、予算などのさまざまな課題をクリアしながら、2023年にすべてのトイレを完成させました。特徴的なのは外観だけではありません。多くの室內(nèi)に、ユニバーサルデザインの視點で、ベビーシートやフィッティングボード、オストメイト対応設(shè)備などが備えられました。
利用しにくかったトイレは、“誰もが入れる”、“誰もが使える”トイレへと変わり、子ども連れの家族や女性の利用が増えています。
恵比壽東公園には、建築家の槇文彥氏がデザインしたトイレが誕生。公園に設(shè)置されているタコの形をしたすべり臺が地域の子どもたちに親しまれていることから、トイレは「イカ」をモチーフにしたという。
寫真:株式會社エスエス
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