
”資源の循環利用が追求された街”
生ゴミから発生させたバイオガスを家庭用都市ガスに。廃棄物処理とリサイクル、エネルギー利用が連動しています。
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緑と水辺に癒やされる住環境ハマービー?ショースタッドの全景。
寫真提供:Ola Ericson/imagebank.sweden.se
サステナブルな街 特集
スウェーデン
2018.08.08(2013.12.2記事再掲)
古いものを大切にする精神を持ちながらも、「サステナブルな社會」に向けて、大きく一歩前進しているヨーロッパ諸國。その中でも、成功事例として注目を集めているのがスウェーデンとドイツの都市開発プロジェクトです。
環境にやさしく、活力のある地域はどのようにつくられているのか、環境建築の設計で有名な建築家の小泉雅生さんに教えていただきました。
建築家 小泉 雅生 さん
1986年、東京大學大學院在學中に一級建築士事務所?株式會社シーラカンスを共同設立。
1988年、同大學院工學系研究科建築學専攻修士課程修了。
2001年~、東京都立大學大學院助教授。2005年、小泉アトリエ設立。
2010年~、首都大學東京大學院教授。
●受賞歴/アシタノイエ(2007 サステナブル住宅賞)、ENEOS創エネハウス(2009 グッドデザイン賞)、千葉市美浜文化ホール?美浜保健福祉センター(2012 公共建築賞 優秀賞)、象の鼻パーク/テラス(2012 AACA賞 優秀賞)など多數。
ハマービー?ショースタッドはスウェーデンの首都?ストックホルム市中心部の南側にある住宅街。工業地帯だったこの場所が國を代表するエコタウンとなったきっかけは、スポーツの祭典でした。
1990年代初頭にストックホルム市が2004年の夏季オリンピック開催地に立候補し、テーマを「環境」に。そして、環境に配慮した居住施設のある選手村をハマービーに建築することに決めたのです。殘念ながらストックホルム市はオリンピック開催地に選ばれませんでしたが、住宅開発はそのまま進められることになりました。
このプロジェクトでは、環境への負荷を90年代のスコットランド市の水準の50%とすることが目標とされ、現在約40%の削減に成功しています。この先進的で大膽な取り組みは「ハマービーモデル」と呼ばれ、2004年度にはヨーロッパ環境大賞を受賞しました。
多くの家から湖面や水路が望めるようになっている。水路の水は雨水を利用。
寫真提供:日経BP社
街のいたるところに公園や広場などの共有スペースが設けられ、住戸は屋外での生活も楽しめるようバルコニーを可能な限り広く取るよう設計されている。
寫真提供:日経BP社
「ハマービーモデル」の大きな特長は、自然エネルギーと廃棄物の徹底利用にあります。
太陽エネルギーは、多くの建物の屋根に設置されたパネルを通じて発電や給湯に活用。下水?廃棄物からのエネルギーで必要エネルギーの半分をまかなっており、住宅やビルから出る下水汚泥はメタン発酵させて可燃性ガス(バイオガス)を発生させ、自動車燃料と家庭用の都市ガスに。また、メタン発酵の殘りカスと家庭からの生ゴミは農業や酪農の肥料として使われています。
マンションや道路に取り付けられた円筒形のゴミ箱は地下につながっていて、ゴミは自動的に処理場へ運ばれてリサイクルへ。各家庭の水道の蛇口には水の使用量を半分にできる空気混入フィルターが取り付けられるなど、あらゆるところに工夫がなされています。
街のあちこちに設置されたゴミの自動回収システム。家庭ゴミを分類しそれぞれの円筒にゴミを入れると、地下に配置されたパイプラインを通して処理場に運搬される。
寫真提供:Envac社
加えて、カーシェアリングや市バス、フェリー、トラムなどの交通システムも発達しています。歩道や自転車専用道も充実しており、居住者?通勤者の約8割が公共交通機関、徒歩、自転車を移動手段としています。
もともと高齢者向けにつくられた街でしたが、自然に觸れ合える環境が好まれ子育て世代が多く移り住み、當初予定のなかった學校が新設されたほど。今や、子どもたちの笑顔あふれる、活気ある街へと成長したのです。
車を使わなくてもいいように、整備されたトラム。トラムのほかにバスやフェリー、カーシェアリングも充実している。
寫真提供:筒井英雄
生ゴミから発生させたバイオガスを家庭用都市ガスに。廃棄物処理とリサイクル、エネルギー利用が連動しています。
Sustainable Journeyは、
2024年3月にリニューアルしました。
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