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      コラム vol.240-1
      • 土地活用法律コラム

      土地活用?不動産投資におけるトラブル第1回 共有土地の活用におけるトラブル

      公開日:2018/04/27

      POINT!

      ?共有土地の場合、建物を建築することは、共有物の変更行為に該當するため、共有者の同意が必要となる

      ?共有者の所在や生死が不明となっている場合、不在者財産管理制度を利用したり、失蹤宣告制度を利用する

      不動産投資におけるトラブルは少なくありません。今回は、共有土地を活用しようとする場合におけるトラブルについて考えてみます。       

      1. <事例1>
        Aさんは、父親であるBさんが既に5年程前に亡くなり、BさんにはAさんとCさんの2人の息子がいましたが、遺産分割協議を行わないまま、Bさんの遺産を事実上管理継続しており、特別トラブルにもなっていませんでした。Bさんの遺産の中には更地があり、Aさんとしては、このまま更地にしておくのはもったいないと思い、當該土地上に賃貸住宅を建築しました。ところが、賃貸住宅を建築途中に、Cさんから、賃貸住宅建築工事の差し止めを求められました。
      2. <事例2>
        Aさんは、最近父親であるBさんが亡くなったため、Bさんの遺産を売卻したり、土地上に賃貸住宅を建築したりすることを考え、遺産分割協議によりAさん名義に不動産の名義を集約しようと考えました。ところが、長年疎遠となっていた弟Cさんは、父親にも勘當され、家族とも一切連絡をとっていない狀況でしたので、果たして生きているのか、生きていてもどこにいるかさえわかりません。この場合、遺産に係る不動産について活用することはできないのでしょうか。

      1.不動産の共有について

      不動産の共有とは、1つの不動産の所有権を、割合的に分割して複數の人が持っている狀態をいいます。この割合を「持分」といいます。この場合の持分は、共有不動産のどこか一部分(物理的に一定範囲で區切った部分)を所有しているということを意味するものではなく、共有不動産全體について、共有者が持分の割合に応じて権利を持っているということになります。
      不動産の共有は主に、(1)遺産分割協議によって、対象不動産を共有とすることが決まった場合。(2)遺産分割未了の不動産について、そのままの狀態となっている場合。(3)共同で資金を支出して、土地を買い取ったり、建物を建築した場合等によって発生することになります。

      2.共有不動産の利用等

      1. 1)共有不動産における自分の共有持分を処分することは単獨でできますが、共有不動産の利用?管理?処分等については、その內容に応じて、①各共有者が単獨でできたり、②共有者の持分価格の過半數の同意が必要であったり、③共有者全員の同意が必要であったりすることになります。
        そして、①に該當する行為としては共有不動産の保存行為が、②に該當する行為としては共有不動産の管理行為が、③に該當する行為としては共有不動産の変更行為がそれぞれ挙げられます。
      2. 2)保存行為とは、共有物の現狀を維持する行為であり、たとえば、目的物の修繕、共有不動産の侵害に対する妨害排除請求、不法占拠者に対する返還請求等が該當します。これらの行為は、各共有者が単獨ですることができるのですが、これは他の共有者に不利益を與えることのない行為であって、共有者全員の利益になる行為に該當するからです。
      3. 3)管理行為とは、共有物の変更を伴わない利用、改良、保存等をいい、共有土地を整地したり、共有建物の一部を改裝したりすることが典型的な事例になりますが、土地の整地については地目転換を伴うような場合や、建物の改裝が大規模になるような場合には、管理行為とはいえず、後に説明する変更行為に該當します。
        管理行為については、共有者の持分価格に従い、その過半數の同意が必要となります。従いまして、相続によって共有関係が生じているような場合には、原則として、法定相続割合にて共有していることになりますので、これらの割合が過半數となる共有者の同意が必要となります。ここで注意すべきは、頭數の過半數ではなく、あくまでも持分の価格の過半數となります。
      4. 4)変更行為とは、共有物の性質もしくは形狀またはその両方を変更することで、共有不動産に物理的、法律的な変化を及ぼす行為を意味します。たとえば、共有土地上に建物を建設する行為、共有不動産を売卻する行為等が挙げられます。
        変更行為については、共有者全員の同意が必要であり、この同意を得ずに変更行為を行った場合には、違法行為となります。

      3.事例1におけるトラブル防止法

      事例1では、土地自體は遺産分割未了の土地として、AさんとCさんの共有となっており、その土地上に建物を建築することは、共有物の変更行為に該當するため、Cさんの同意が必要となります。しかし、Aさんは、特別Cさんともトラブルになっていなかったので、特に問題ないだろうと安易に考え、Cさんに無斷で賃貸住宅を建築しようとしたのですが、賃貸住宅が建つことによって賃貸収入が入る等、お金がある程度動くようになると、それまでの関係がぎくしゃくし、紛爭に発展することはよくあります。このようなケースでは、Aさんの行為はCさんの同意なく行った変更行為として違法な行為に該當し、Cさんによる建築工事の差し止め請求は、原則として、法的に認められることになります。そうすると、Aさんとしては、それまで進めた建築工事が無駄になり、多大な損害を被ってしまいますので、このようなトラブルにならないよう、あらかじめ共有関係を解消して、単獨で不動産を処分することができるようにするか、事前に他の共有者と協議をして、同意を得ておく必要があります。

      4.事例2におけるトラブル防止法

      事例2は、あらかじめ共有関係を解消すべく遺産分割協議を行うことを企図しているのですが、他の共有者であるCさんの所在や生死が不明となっているために、分割協議ができないケースになります。このような場合でも、分割協議ができないため単獨で共有不動産を処分できるかといえば、當然できません。このような場合には、弁護士に相談するなどして、戸籍謄本等から他の共有者の所在や生死の確認をし、Cさんの所在等を突き止め、遺産分割協議を行います。他方で、Cさんが所在不明の場合には不在者財産管理制度を利用したり、失蹤宣告制度を利用したりします。不在者財産管理制度とは、行方不明者に代わって財産管理を行う者を家庭裁判所に選任してもらい、その財産管理人が行方不明者の財産を処分等する制度で、たとえば、この財産管理人と遺産分割協議をすることにより、所期の目的を達成することができます。
      また、失蹤宣告は一定期間生死不明の者について、法律上死亡したものとみなし、相続を開始させる制度になり、この場合には、失蹤者の相続人を相手に遺産分割協議を行います。
      もっとも、いずれの制度においても、その手続きを利用する中で行方不明者が見つかることもありますので、その場合には、その者と必要な協議を直接することになります。

      以上

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