
CASE26
醫療施設
もりぐち清水會病院
- 所在地:
- 大阪府守口市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 8,676.86m2
- 竣工:
- 2024年3月
- 用途:
- 回復期リハビリテーション病床(105床)、一般病床+地域包括ケア病床(53床)
- 併設:
- 血液浄化センター、健診センター、訪問看護ステーション、通所リハビリテーション、居宅介護支援センター
大阪市に隣接し、北河內といわれる地域に位置する守口市。同市の南部で1975年に診療所を開設し、その後の病院開設や醫療法人化を経て、現在まで地域醫療に貢獻されているのが醫療法人清水會(せいすいかい)様です。隣接する大阪市の都市公園に準えた「鶴見緑地病院」は、同法人の中核施設として、長きに渡り地域の醫療ニーズに応え続けることで、“なくてはならない病院”として、厚い信頼と支持を集めてこられました。
時代が令和へと移り、醫療法人として將來に向けた展望を図られる中、病院施設の老朽化、患者様および職員のさらなる利便性、他の醫療機関や介護事業者との連攜など、複數の課題の解消に向け、このたび新病院の移転新築を計畫されました。
計畫のポイント
病院運営の理想を求めて新病院の移転新築を計畫。
1982年の建設後、一部の建て替えや増改築を施してきた舊病院は、設備面の不具合や動線の悪化が、喫緊ではないものの將來的な課題とされていました。そこで、令和に入ってから新病院への移転計畫に著手。患者様や職員の利便性も考慮し、市內中心部の京阪電鉄守口市駅周辺での適地探しが始まりました。

計畫當初、守口市の再開発計畫に関連する市有地活用の公募に二度に渡り挑戦。殘念ながら採用には至りませんでした。そんな中、大和ハウス工業が希望エリア內で企業用地の情報を入手。新病院の建築地として無事ご紹介することができました。當該地は守口市駅より徒歩6分と利便性が高く、面積規模についても希望を満たすものとなっています。
病床と人員の配置に工夫を凝らしてチーム醫療の実現へ
新病院では、3?4階を回復期リハビリテーション病床、5階を一般病床と地域包括ケア病床で構成。「より質の高いリハビリテーションの提供で、心身ともにより良好な狀態で在宅復帰してもらいたい」との思いから、各階に140㎡を超えるリハビリテーションスペースを設けました。


ハード面の変更に伴い、従來の看護やリハビリといった部門別の體制から、病床ごとに一人ひとりの患者様に寄り添う「チーム醫療」體制の実現に向け、醫療體制の改編にも取り組まれました。
地域が求める機能を備え、新病院の新たな価値を創出
新病院では、血液浄化センター(透析)、健診センター、訪問看護ステーションを新たに併設。さらに、通所リハビリテーションの強化など、以前より地域ニーズの高かった機能について、設備およびスタッフを増強されました。


これらの機能は、地域の中核病院を擔う魅力的な付加価値として、「地域社會の支えとなる病院」を目指す同法人の経営を支えていきます。
お客様の聲
新病院を核に生まれる地域との連攜
付加価値を高めるさまざまな取り組みで
さらなる50年に向けて始まる新たな挑戦。

醫療法人清水會 もりぐち清水會病院
理事長:水野 郁子 様

醫療法人清水會 もりぐち清水會病院
院長:水野 智志 様
1975年、私たちの父母が守口市內に鶴見緑地ミズノ胃腸科內科外科診療所を開設。有床診療所を経て、「もっと多くの患者様を自院で看られないか」、「地域の方々にもっと喜んでもらいたい」という現在に至る一貫した思いから、62床の病院開設や1985年には醫療法人化を果たしました。その後も、介護老人保健施設やクリニック、訪問看護ステーションなど、地域の醫療ニーズに応えるカタチで機能を充実。さらに、介護保険制度の導入を受け、2003年には社會福祉法人清水福祉會を設立し、特別養護老人ホームやケアハウス、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など幅広く介護保険サービスを展開してきました。
グループの核である(舊)「鶴見緑地病院」は、62床から2001年の一部建て替え時には143床へと増床を実現。患者さまのニーズに応える地域の中核病院として、「何かあったら、もりぐち清水會病院に相談しよう」と思っていただける、地域社會の支えとなる病院を目指してまいりました。
こうして、実に50年近い歩みを続けてきた私たちですが、次の世代すなわち“さらなる50年” に向け、「地域における當法人の役割」に、いま一度真摯に向き合うべきだと、新たなる方向性を模索してきました。そして検討を重ね、行きついた結論が「病院に求められる新たな付加価値」を備えることだったのです。付加価値には、醫療機能というソフト面だけでなく、患者様やスタッフの利便性、良質な醫療環境、最新の醫療設備といったハード面も含まれると考えることができます。
こうしたいきさつから、計畫の初期段階としてまず取り組んだのが、新病院の移転用地探しでした。舊病院は當法人発祥の地にあり、大阪市の都市公園「花博記念公園鶴見緑地」に隣接する閑靜な立地でしたが、公共交通機関などの利便性は良いとはいえず、外來患者様はもとより職員の通勤面においても負擔をかけていました。より多くの方に“選ばれる病院”へ。外部コンサルタントとともに可能性を探る中、市の中心部に移転することで、コンパクトシティの一翼に擔えるのではないかと考えました。そうして市の再開開発に関連する公募事業にも參加しましたが、上手くいかず困っていたところご縁のあった大和ハウスさんから魅力的な土地情報をいただき、計畫が本格化することになったのです。
當該地は、守口市駅から徒歩6分ほどの事業施設跡地です。建設にあたっては、行政との調整も必要でしたが、大和ハウスさんに手厚くサポートいただき、とても助かりました。
施設づくりにあたっては、“いま求められる機能”を可能な限り反映しようと考えました。それは、健康壽命延伸の一端を擔う「健診センター」、ニーズが高まる透析治療を行う「血液浄化センター」、在宅療養をサポートする「訪問看護ステーション」などです。なかでも、透析と訪問看護については、いままで法人內のクリニックで行っていたものを一層の機能強化を図り、新病院に取り入れたカタチです。
また、新病院開設を機に組織改革にも取り組みました。従來は看護やリハビリといったそれぞれの部門が連攜することで、患者様に対応していましたが、全國的に推進が進むチーム醫療への取り組むことを決斷。3?4階の回復期リハビリテーション病床、5階の一般病床+地域包括ケア病床ごとに醫療看護チームを編成し、密な連攜で一人ひとりの患者様によりきめ細かく向き合う體制にしました。各階にリハビリテーションスペースを設けたのもこうした狙いからです。
建物の出來栄えには、非常に満足しています。大和ハウスさんは、こちらの要望や途中の変更依頼にも、一つひとつ誠実に対応いただき、満足いく仕上がりになったと感謝しています。
実は、守口市には市民病院がありません。そういった意味もあり、市の中心部に移転してきた當院に対し、地域の期待の高さを感じています。いままでは法人內でしっかり連攜することに注力していましたが、今後は他の醫療機関や介護福祉施設、地域とともに歩んでいけるような組織運営を目指しています。たとえば、往診専門クリニックのバックベッドとしての役割、健診場所としての提供など、まさに“持ちつ持たれつ” の関係の構築が理想ですね。
當法人がどのような地域貢獻ができるか、地域とどのようなつながりが持てるか、「街づくりプロジェクト」として、醫療機関だけでなく、老人會、自治會、學校など、地域と広くつながりが持て、コンパクトシティ構想にも貢獻したいと考えています。
醫療法人清水會さまの挑戦を応援します。

株式會社日本経営
相談役 藤澤 功明 様
いま全國では、多くの醫療機関様が世代交代の時機に入り、病院の建て替えを検討されています。しかし、その大半が実現しづらい狀況にあるのです。その要因の一つには、やはり厳しい市場環境や人口減少が挙げられるとともに、建築費の高騰も大きく関係しています。
また、計畫立てて実行したものの、経営に大きく影響している事例も多く見受けられます。しかし、醫療法人清水會様では、理事長?院長のお二人がいままで健全経営を継続してこられ、財務基盤がしっかりしているという點もあり、今回の計畫の成功につながっているのだと思います。
通常、病院は建て替えても機能がそのままでは収入は増えません。清水會様では、「建て替えに伴う新しい付加価値はないか」と繰り返し模索されてきました。しかも、現場からの意見を何度も検討した結果、自院に適した機能を追求。単にトップダウンではなくボトムアップでの計畫進行は、他の醫療機関様の參考になるのではないでしょうか。過去から培った経営基盤があるからこそ、次の新たなステップへチャレンジできるというのが、清水會の強みになったと思います。
清水會様とのお付き合いは、スタッフ教育がきっかけでした。何よりも理事長?院長ともに教育熱心である。人(スタッフ)を育てることが醫療の質を高めます。人材育成に情熱を傾けられていたからこそ、いろんな施策を打っても機能していくのです。ぜひ、次の世代もそういった精神を引き継いでいただきたいと思います。
今回、守口市の公募事業に伴う詳細な資料作成に際して、実績豊富なことから大和ハウスさんをご紹介しました。公募自體は殘念でしたが、ご縁があってこのような魅力的な土地をご紹介いただけたことは、とても良かったと思っています。これからも、ともに協力しながら清水會様をサポートしていきたいですね。

新病院は、京阪電鉄守口市駅より徒歩6分の立地に建設。舊病院から約3㎞ほど離れましたが、外來患者様や通勤するスタッフの利便性は著しく向上しました。また、駅近の環境ながら周辺には住宅や學校が建ち並んでおり、新病院の存在感ある建物は、完成直後より大きな注目を集めています。