大和ハウス工業株式會社

      DaiwaHouse

      DXアニュアルレポート2022

      DX推進を支える組織體制

      働き方改革に貢獻するRPA

      目的、ビジョン

      當社では、「働き方改革」の取り組みによる長時間労働の削減や、より付加価値の高い業務へのリソースのシフト、ワークライフバランスの確立など、定型的で負荷の高い業務の自動化を目的に、RPA(*1)により従來の業務品質や効率を高め、事業の競爭力強化に戦略的に活用することをビジョンとし、RPAへの取り組みを開始しました。全世界で猛威を振るい、私たちの生活や働き方に大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス感染癥(COVID-19)の出現により、テレワークが加速し、RPAを活用する必要性は一段と高まっています。

      2020年度には、出社を前提としない業務フローを確立させるなかで、RPAによって社內に殘る多くの手作業の業務をデジタル化しました。時間や場所にとらわれない柔軟な新しい働き方の実現に向け、これまで以上にガバナンスを効かせながら、RPAの継続的な業務改善とさらなる生産性の向上に取り組んでいきます。(図1)

      (*1)RPA(Robotic Process Automation):これまで人間がコンピュータ上で行っていた定型作業をロボットで自動化する仕組み

      図1:RPAロードマップ

      取り組みの全體像

      當社では2016年度からRPAのパイロット運用を始め、2017年度7月にはガバナンス強化のため情報システム部內にRPAチームを設置し、情報システム部員の內製によるロボット開発を行ってきました。管理部門の定型間接業務代行ロボットや、情報システム部員の運用負荷低減ロボットからはじまり、その後は営業支援ロボット、最近では工場ものづくり部門やコンプライアンス強化支援のロボットなど、製作したロボット數は累計300體となっています。また、2020年度からはグループ會社への展開を進め、當社だけではなく、グループ會社においてもRPAによるメリットを享受し、當社グループの業務効率化と生産性向上にも取り組んでいます。

      情報システム部員の內製によるロボット開発は、開発を行う情報システム部門にとどまらず、グループ會社も含めた利用ユーザー部門と協働する開発活動とRPA導入後の継続的改善により、當社のDXデジタル人財育成にも一歩踏み出しています。今後もRPA內製開発のノウハウとナレッジを活かし、ガバナンスを効かせながら當社グループ全體の業務効率化や生産性向上を展開していきます。(図2)

      図2:RPA導入と継続的改善

      昨今の主な取り組み

      2018年10月にRPA製作部員を専任化し、個人情報や機密情報の取り扱いなど、よりセキュリティリスクに考慮した製作體制の強化と開発工期の短縮を進めてきました。2019年3月には、內製開発を進めるなかで気付いた脆弱性や開発運用上の課題をもとに、當社グループでのロボット開発運用の標準となる「大和ハウスRPAハンドブック」を第2版に改訂しました。その展開範囲をグループ會社にまで広げ、開発したロボット事例や開発指針、セキュリティリスクに対する注意點を記載し、さらなるロボットの品質向上に努めています。

      また、2019年7月に開催した當社グループ向けカンファレンス「RPAサミット」後、當社グループへのロボット派遣の仕組みを構築し、2020年度から本格的にグループ展開を始動しています。グループ會社が単獨でRPAを導入する際の技術面やコスト面での課題を解決するため、內製化によりこれまで蓄積した経験とノウハウを活用。ロボットが稼働した時間をロボットの時給と掛け合わせ、ロボットが働いた時間だけ費用を負擔する従量課金サービスを実現しました。現在、グループ會社に対する支援?開発は5社となり、合計19體が稼働しています。今後もRPA內製開発のノウハウとナレッジを活かし、當社だけではなくグループ全體の業務効率化と生産性向上を展開していきます。

      効果、今後の展開

      今後は引き続きロードマップに沿って、AIなど他のITテクノロジーとの組み合わせによるRPAの高度化を進めていきます。その代表的な事例であるRPAとAI-OCR(*2)の連攜では、パソコンを使った作業の自動化に加え、文字データを自動で読み取りデジタルデータ化することが可能になりました。OCRと組み合わせることで、紙帳票からデータを抽出し、データ入力?集計?加工?アウトプットといった一連の業務を自動化しています。さらに、AIを搭載したAI-OCRは、文字認識率の向上や非定型帳票への対応などOCRの精度が大幅に向上しており、より一層の作業効率アップが期待できます。

      RPAは、これまで人が行っていた定型業務の自動化が対象範囲でしたが、最近では基幹システムとSaaS(*3)間、あるいは異なるSaaS間でのデータ連攜でも活用が広がっています。當社でも業務基幹システムとSaaSとの連攜ロボットが開発の主體となってきており、RPAは個々のラストワンマイル(*4)の業務を自動化するだけではなく、AIやクラウドサービスと連攜して、バリューチェーン全體の自動化を可能にするまで進化しています。

      また、スピード感が求められるDX推進活動は、內製によるRPA開発の「関係者間の対話が社內中心であるため、コミュニケーションを迅速に行える」、「業務に精通した擔當者と対話しながら開発を行える」、「開発のノウハウを集約?蓄積できる」といった利點を活かすことで効率的に進められます。人財育成の観點においても、開発者だけではなく、攜わった利用ユーザーのデジタル人財育成にもつながっています。

      さらに2021年からはCoE(統制部隊)(*5)とデジタルファクトリー(開発?運用部隊)を分けることで、さらなる開発スピードの向上に挑戦しています。

      (*2)AI-OCR(Artificial Intelligence Optical Character Recognition):AI技術を取り入れた光學式文字読み取り裝置
      (*3)SaaS(Software as a Service):クラウドサーバにあるソフトウェアをインターネットを経由して利用できるサービス
      (*4)ラストワンマイル:顧客にモノ?サービスが到達する最後の接點
      (*5)CoE(Center of Excellence): ベストプラクティスとツールが配備された専門組織のこと


      図3:RPA導入によって得られた効果額と業務削減時間

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