
PREコラム
戦略的な地域活性化の取り組み(16)廃校活用事例2 地域の「よりどころ」として校舎を再活用
公開(kāi)日:2019/08/30
廃校の再生事例としては、學(xué)校施設(shè)の特性を生かして、大學(xué)のオープンキャンパスや各種訓(xùn)練施設(shè)としての再利用が多くみられます。また、廃校以前から地域住民が多く集う施設(shè)であることから、行政庁舎や公民館、市民のコミュニティ施設(shè)として利活用する事例も多いようです。一方、最近では、広い敷地と大型施設(shè)の特性を活かして、民間事業(yè)者の工房や作業(yè)場(chǎng)として再利用する事例も増えています。文部科學(xué)省が編集した「廃校施設(shè)活用事例集~未來(lái)につなごう~ みんなの廃校プロジェクト」から、2つの事例をご紹介します。
少子高齢化により好立地の小學(xué)校が廃校に
高知県大豊町は、四國(guó)山地の中央部、吉野川流域に位置しており、町面積約315km2の約9割が森という山間地域に約3,300人が暮らす林業(yè)の町です。近年では、四國(guó)地方で唯一65歳以上比率が50%を超える、いわゆる「限界自治體」ともいわれています。少子高齢化が進(jìn)む中で、2014年度に町で3つあった小學(xué)校が「おおとよ小學(xué)校」として統(tǒng)合され、大田口小學(xué)校は2015年廃校となりました。舊大田口小學(xué)校は、周辺にJR大田口駅、役場(chǎng)支所、JA支所、診療所、銀行、郵便局、食料品店など生活環(huán)境が整っている好立地にあり、そのような施設(shè)が廃校となり地域が衰退することへの危機(jī)感から、廃校後の活用について、地域住民から多くの要望や提案が出されたといいます。
一方これまで、大豊町は林業(yè)を中心とした雇用の創(chuàng)出を進(jìn)めてきましたが、町営住宅や民間の賃貸住宅は満室狀態(tài)が続いているため、就業(yè)者の定住に課題がありました。
廃校をコミュニティースペースと住宅の複合施設(shè)にリノベーション!
好立地にある廃校の再生、地域の賑わいの創(chuàng)出、就業(yè)者の定住という課題を解決する手法として、地域住民と行政が一體となって出した結(jié)論が、「コミュニティースペースと住宅を併せ持つ施設(shè)へのリノベーション」でした。具體的には、 1階部分を放課後子供教室や地域住民向けのコミュニティースペース、NPO法人の活動(dòng)拠點(diǎn)として、2、3階部分を家族向け住宅2戸、単身世帯向け8戸の計(jì)10戸分の賃貸住宅に改修するというものです。また、グラウンドは、地域の運(yùn)動(dòng)會(huì)が継続できるスペースを確保しつつ、一部を住居者や施設(shè)利用者用の駐車場(chǎng)を配置し、舊大田口小學(xué)校は、「大田口テラス」として、新しい施設(shè)に生まれ変わり、2018年度から運(yùn)用が始まっています。
民間活用で低コストの改修と合理的な運(yùn)営
「大田口テラス」への改修にかかった費(fèi)用は、國(guó)土交通省の「空き家対策総合支援事業(yè)費(fèi)補(bǔ)助金」等を活用し約2億円、そのうち自治體負(fù)擔(dān)は約8千萬(wàn)円とされており、かなりコストが抑えられています。また、住宅部分は自治體と不動(dòng)産管理會(huì)社で定期賃貸借契約を締結(jié)することで、民間事業(yè)者が入居の決定や退去の決定、住居の修繕、債権が発生した場(chǎng)合の対応などを管理することになり、合理的な運(yùn)営が可能となっています。
「大田口テラス」の入居者からは、「外裝は小學(xué)校でも內(nèi)裝は現(xiàn)代的で住み心地はとても良い」と好評(píng)のようです。地域住民も、「いつも誰(shuí)かがいる施設(shè)が地域にあることで安心して暮らせる環(huán)境ができた」との意見(jiàn)が寄せられているといいます。
災(zāi)害時(shí)の避難所としての機(jī)能を充実
鹿児島県南さつま市は、薩摩半島の南西部に位置し、東シナ海を望む広大な砂丘で有名な吹上浜を有する自治體です。その中にあって、笠沙半島に位置していた舊笠沙町では、2014年に3つの小學(xué)校が統(tǒng)合され、舊笠沙中學(xué)校跡地に「南さつま市立笠沙小學(xué)校」として開(kāi)校したことに伴い、 舊笠沙小學(xué)校は廃校となりました。
地域では、もともと野間池診療所?市役所出張所の建物老朽化や地區(qū)消防詰所?車庫(kù)の整備が課題となっていました。また舊笠沙小學(xué)校の一部は公民館として利用されていたことや、災(zāi)害時(shí)の第一避難所指定場(chǎng)所となっていたこともあり、この舊笠沙小學(xué)校は、地域コミュニティ機(jī)能と有事の避難施設(shè)機(jī)能を併せ持つ複合施設(shè)として再生するこことし、2015年度に笠沙地區(qū)総合センター「よいどこい」(※鹿児島弁で「よりどころ」の意)として運(yùn)用が開(kāi)始されました。
「よいどこい」は、1階が市役所出張所、野間池診療所、消防団の車庫(kù)、公民館の4つのブロックから成っており、増?jiān)O(shè)された2階部分には診療所醫(yī)師の住宅と消防団の詰め所が配置されています。また、屋上には太陽(yáng)光パネルが設(shè)置されており、エネルギーの自給にも配慮されています。「よいどこい」の改修費(fèi)用は、厚生労働省の「へき地診療所施設(shè)整備補(bǔ)助金」等を活用し、約2億円とされており、そのうち自治體負(fù)擔(dān)は約1.6億円とのことです。やはり、廃校を再活用することにより、コストはかなり抑えられているといえます。
住民からは、「地域で一番賑やかだった學(xué)校が住民生活の中心施設(shè)として生まれ変わることで、新たな輝きを取り戻せる」との期待の聲が多く聞かれるとのことです。まさに、地域の“よりどころ” 施設(shè)として再生した、廃校活用の好事例ではないでしょうか。