
PREコラム
戦略的な地域活性化の取り組み(6)地域の資産価値を向上させるBID制度(地域再生エリアマネジメント制度)
公開日:2018/10/23
海外でのBID制度
BID(Business Improvement District)制度は、1970年代にカナダのトロントで誕生し、1980年代に米國で発展、歐州をはじめ全世界に普及したといわれています。米國での発展の背景としては、當(dāng)時(shí)の政府が経済の急速な冷え込みにより、地方都市への交付金を減らしたことが挙げられます。 1970年代のニューヨークなど米國の大都市部は、犯罪の多発やゴミの散亂による都市美化の低下、街燈設(shè)置など歩行空間の整備の遅れ、ホームレスの増加などで、地域の魅力が衰え不動(dòng)産価値が低迷するなど、地域の地権者は多くの課題を抱えていました。その解決手法として、受益者負(fù)擔(dān)によるエリアマネジメント制度(BID制度)が、1981年にニューヨーク州とニューヨーク市で法制化され、全米に広がりました。
BID制度は、一言でいえば「受益者負(fù)擔(dān)による経営的アプローチ手法」です。 つまり、地域活性化のさまざまな取り組みの恩恵を受ける対象者を明確にし、認(rèn)定事業(yè)者が受益者から強(qiáng)制的に負(fù)擔(dān)金を徴収し財(cái)源を確保。その財(cái)源を活用し地域再生に向けて投資する適正な事業(yè)を選定?実施し、地域の資産価値を向上させる制度といえます。そのBID制度には、次のような特徴があります。
- (1)地域受益者の明確化
地域(區(qū)畫)を明確にし、その地域で不動(dòng)産を所有する全地権者(あるいは事業(yè)主とする地域もあるようです)が対象であることを明確に定義します。 - (2)地域受益者のコミットメント
BID制度の認(rèn)定を受けるにあたり、地域地 権者の3分の2以上(または過半數(shù)とする地域もあるようです)の賛成を得ることが條件となります。これにより、地域の地権者の賛同を確認(rèn)し、 BID制度へのコミットメントを明確にします。 - (3)財(cái)源の確保(受益者負(fù)擔(dān)金の徴収)
BID制度の大きな特徴ですが、法制化されたBID制度の認(rèn)定を受けると、地域の受益者は強(qiáng)制的に負(fù)擔(dān)金を徴収されます。地域で賛成票を入れなかった地権者も徴収を逃れることはできません。徴収方法としては、多くの場合、自治體が受益者の受益規(guī)模に応じて、稅金と同じように徴収し、認(rèn)定された事業(yè)推進(jìn)組織に交付する仕組みを採用しています。 - (4)獨(dú)立した意思決定機(jī)関の設(shè)置
當(dāng)然ですが、強(qiáng)制的に徴収した負(fù)擔(dān)金の運(yùn)営にあたっては、一部の地権者や特定者の恣意的な利益を排除する必要がありますので、公平で透明性のある意思決定機(jī)関の設(shè)置が必要になります。いわば、受益者から預(yù)かった資本を地域のどのような事業(yè)に投資して地域を活性化し、受益者に利益をどう還元するかといった、會(huì)社経営と同様の機(jī)能が求められます。
BID制度とこれまでの地域活性化の取り組みとの違い
國內(nèi)においては、現(xiàn)在まで、商店街振興組合や市民參加型まちづくり活動(dòng)など、さまざまな地域活性化に向けた制度や取り組みがあります。地域による子どもや高齢者の見守り活動(dòng)、市街地の美化活動(dòng)、空き店舗などへのテナント誘致活動(dòng)、各種イベントの企畫など、地域自治體や商工會(huì)?商工會(huì)議所など支援機(jī)関と連攜したモデル的な取り組みが多く報(bào)告されています。
その反面、活動(dòng)資金の不足や、活動(dòng)をマネジメントする人材の不足、活動(dòng)効果の不明瞭さ、地域全體ではなく部分的な利益への優(yōu)先傾向など、持続可能な活動(dòng)を困難にする課題も、いくつか指摘されています。そのような課題や問題を解決する制度として、受益者負(fù)擔(dān)によるアプローチであるBID制度に期待が寄せられています。
國內(nèi)初のBID制度「大阪版BID制度」
大阪うめきた地區(qū)周辺は、JR?阪急?阪神?地下鉄3線、9駅が乗り入れし、1日240萬人が行き交う西日本最大のターミナル機(jī)能を有しています。現(xiàn)在、この地域にあるJR西日本の梅田貨物駅跡地の再開発が進(jìn)んでいます。まず、先行開発區(qū)域(7h)として、2013年4月に「グランフロント大阪」が開業(yè)し、2期區(qū)域(14h)の開発も引き続き進(jìn)んでいます。その「グランフロント大阪」で、まち全體のマネジメントを擔(dān)っているのが「一般社団法人グランフロント大阪TMO」です。同団體は現(xiàn)在、巡回バスの運(yùn)営やイベントの企畫、オープンカフェ?広告の管理、清掃? 巡回?施設(shè)點(diǎn)検などの歩道空間の管理など、地域全體の活性化に向けた活動(dòng)を行っています。しかし、エリアマネジメント活動(dòng)に要する費(fèi)用の確保や運(yùn)営団體の権限に関する法的根拠の未整備などの課題がありました。そこで大阪市は2014年4月に、現(xiàn)行法を前提とした「大阪市エリアマネジメント活動(dòng)促進(jìn)條例」(大阪版BID制度)を創(chuàng)設(shè)、2015年4月には、グランフロント大阪の地権者であるデベロッパーや建設(shè)會(huì)社、不動(dòng)産會(huì)社、鉄道會(huì)社、銀行など12社で構(gòu)成する「一般社団法人グランフロント大阪TMO」が制度適用の第1號団體となりました。2018年6月に公布された日本版BID「地域再生エリアマネジメント負(fù)擔(dān)金制度」は、「大阪版BID制度」の根拠法を整備した側(cè)面もあります。
大阪版BID制度によるエリアマネジメント運(yùn)営への効果として、大阪市などより次のようなことが報(bào)告されています。
- ?行政が徴収する財(cái)源のもとで活動(dòng)できる(活動(dòng)財(cái)源を安定的に確保できる)
- ?協(xié)定に基づいてより大きな裁量のもとで公共空間を活用した事業(yè)展開が可能となり、事業(yè)収益の確保などが期待される(自主財(cái)源を確保しやすい)
- ?分擔(dān)金を財(cái)源として、単なる公物管理にとどまらず、公共性のある事業(yè)を含めた幅広いエリアマネジメントに発展する可能性がある(今後の幅広い事業(yè)展開が期待される)
このような運(yùn)営基盤の下で、柔軟で計(jì)畫的なエリアマネジメント活動(dòng)が実現(xiàn)したことにより、「グランフロント大阪」を中心に地域の來街者數(shù)は確実に増加しており、地域経済の活性化につながっています。また、地域の経済的発展あるいは居住環(huán)境の整備など、地域の魅力度が向上したことにより、公示地価も上昇しており、地域の地権者の利益にも貢獻(xiàn)しています。うめきた地域は、國內(nèi)におけるエリアマネジメントの先行モデル的事例といえるでしょう。
うめきた地域では現(xiàn)在、「みどり」と「イノベーション」の融合拠點(diǎn)をテーマに、2期區(qū)域の開発が進(jìn)んでいます。「みどり」豊かなうめきた地域に、國內(nèi)外から多くの人々が集い、「イノベーション」が生まれ、新産業(yè)を創(chuàng)出する「うめきた」が、將來にわたって発展していくことで、日本版BID(地域再生エリアマネジメント負(fù)擔(dān)金)制度が新しいトレンドとなることが期待されます。