PoCの積み重ね、組み合わせがソリューションになる

秋葉：私たちには、自分たちが運(yùn)営に関わっている物流センターがあります。そこでカメラを設(shè)置したり、音を録音したり、物流に関係のあるプロセスにおいて、いろいろなことができるわけです。またここで行っていることは、物流センターではなくても使える要素もたくさんあります。業(yè)務(wù)を抽象化すると言いますか、モジュール化していくようなイメージでしょうか。ほかの業(yè)務(wù)においても使えること、実用化できるようなことがたくさんあります。
最近よく話すことなのですが、小さな業(yè)務(wù)プロセスとしてのモジュールがいくつかあって、これらのモジュールを組み合わせることで、求める結(jié)果を出せるサービス、ソリューションを作り出すことができます。また、ある領(lǐng)域では、今あるモジュールだけでは足りない狀況の場(chǎng)合、新しいモジュールを作り、ほかのモジュールと組み合わせることで問(wèn)題を解決したりするわけです。小さいモジュールがたくさんあればあるほど、何か新しいことをやろうとしたときのベースが非常に早くできます。それがうまくいったところは次のステップにいって、またモジュールが積み重なっていきます。ダイワロジテック、フレームワークス、モノプラスというグループ會(huì)社の中で、そのことを理解できるエンジニアが何人かいれば、新たなソリューションを作りだすことがどんどんできていくと思います。
ですから、今、貧乏にならないようにPoC（Proof of Concept）をやっているところです（笑）。本當(dāng)に実用化されるものを作ろうと、ターゲットを絞りながら小さなモジュールづくりを行っています。

岡田：カメラをつけたり、ICレコーダーにもマイクをつけて音を録るなど、さまざまな試みをやるべきです。こうした取り組みを始めるとき、多くの日本企業(yè)の場(chǎng)合、カメラとマイクの連動(dòng)をどうするかといった精緻な仕組みを必ず作ってしまうのですが、そうではなくて、まずは簡(jiǎn)易的なシステムで構(gòu)わないので映像や音を録ってみて、後から必要に応じて調(diào)整していけばいい。小さく始めて徐々に精度を上げていけばよいのですが、多くの日本企業(yè)では、いきなり0.01秒をしっかり合わせようとして、大規(guī)模なシステムを作る傾向にあります。

秋葉：0.01秒合わせることに高い価値があるなら、合わせればいいですよね。

岡田：でも、最初の検証段階では小規(guī)模なシステムでいいと思います。問(wèn)題がなければ、本番運(yùn)用できるシステムを作っていくというように、段階を踏めばよいのではないでしょうか。ダイワロジテックは、そうした開(kāi)発プロセスを理解していただいています。ICレコーダーに內(nèi)部の情報(bào)を録音するとなると、普通は怖い部分もあるかもしれませんが、そういうところもフレキシブルにご対応いただけるのが非常にありがたいですね。

秋葉：もっとデータを集めたいですね。私と岡田さんのイメージに比べて、カメラの臺(tái)數(shù)もまだまだ少ないです。現(xiàn)在の臺(tái)數(shù)でも、カメラをつけたことでわかったことがたくさんありました。そうなると、カメラをつけることに対して誰(shuí)も異を唱えなくなってきました。データをクラウドで保存するにしても、どれくらいの解像度で撮るかにもよりますが、1カ月數(shù)千円程度でデータが保持できますから、コスト的にもさほど問(wèn)題ありません。しかも私たちの記憶よりもずっと高性能で高機(jī)能です。
また、ロジスティクスでの効果が高く、自分たちが現(xiàn)場(chǎng)を持っているので、まずはこのPoCをロジスティクスの現(xiàn)場(chǎng)で行いますが、この仕組みの展開(kāi)先はロジスティクスに限らないと思っています。大和ハウスグループの中でも展開(kāi)できるところはたくさんあると思います。

ダイワロジテックは、普通では考えられないほど少しですが、ABEJAに資本を入れさせていただいています。一緒にやるという意志の下、岡田さんが受け入れてくれました。業(yè)務(wù)提攜やプロジェクト単位での協(xié)業(yè)というやり方もありますが、資本を入れさせていただいているということは、単に受発注の関係ではなく、私も岡田さんも、意識(shí)としてもっと上を目指しているという証明だと思っています。

岡田：私たちも非常に勉強(qiáng)させていただいています。インターネット上であらゆる情報(bào)が載っている時(shí)代、調(diào)べただけでわかった気になってしまうことは多いかと思います。しかし、インターネットで分かる情報(bào)は世界の誰(shuí)でも知っていることが多いので、結(jié)局そこに本當(dāng)に有益な情報(bào)はありません。今回、ダイワロジテックのプロジェクトに入っているメンバーは、物流の現(xiàn)場(chǎng)にかなり深くまで入り込ませていただき、非常に物流に詳しくなりました。これが重要だと思っています。デスクトップリサーチだけでは永遠(yuǎn)にわからなかったことが、物流の現(xiàn)場(chǎng)の方々と一緒に実際に経験させていただくことによって、課題感が浮き彫りになってきます。ここからいろいろなかたちで連攜していくというところが、一番価値があるところだと思っています。
AIベンチャー、ITベンチャーの人たちによくあることですが、理路整然と物事を進(jìn)めようとするケースが多い気がします。しかし、理屈でスマートな話ばかりをしていても、何としても解決すべき物流業(yè)界の課題は見(jiàn)えてきません。泥臭くても足を運(yùn)んで、手を動(dòng)かしてやってみなければ分からないことが沢山あります。これは私たちの課題でもあります。結(jié)局、実ビジネスに実裝する際に、どれだけその業(yè)界の課題を奧深く経験し、理解しているか。ここで違いが出ます。そういった部分を経験させていただいていますので、嬉しく思っています。
逆に、ダイワロジテックから見(jiàn)ると、隨所に物流における獨(dú)自のノウハウや、ポイントがたくさんあるはずです。そういうノウハウを出すことにためらう企業(yè)も多いのですが、そういった部分を余すところなく公開(kāi)、共有していただいて、その上で、人工知能で革命が起こせるのはどこなのか、という議論を真剣に熱量を持って取り組ませて頂いています。そういうことができる企業(yè)は、多くありません。どうしても核となるような情報(bào)は出したくないものです。もちろん、出すべきではない情報(bào)はありますが、ダイワロジテックは、できる限り公開(kāi)していただいている印象です。

秋葉：一般的な傾向として、舊來(lái)の仕組みの中で仕事をされてきたビジネスパーソンの方々は、「ITに何ができる？」「現(xiàn)場(chǎng)は違うぞ」といったイメージをお持ちの方が多いと思います。わが社のメンバーにも、當(dāng)たり前だと思ってしまっていて見(jiàn)逃していることもあると思います。それを、「どうしてですか？」「これはおかしくないのですか？」と指摘されたり、言われたりすることで、もう一度考え直したり、見(jiàn)直すことができるだけでも大きいと思います。「そうか」と自分の中でもう一度整理でき、今までの概念を外すことができるわけです。「そうであれば、ここではこういうことができる、こうやってデータがとれる」というような話に発展していくわけです。

岡田：すでに、ちょっとした予見(jiàn)が見(jiàn)えてきているところもあるわけですね。

秋葉：少しずつですね。最初に岡田さんが優(yōu)秀な人を出してくれましたが、わが社のほうは現(xiàn)場(chǎng)での仕事もあって、そういうことに敏感なスタッフは少ないのが現(xiàn)狀です。ここでメンバーの選択を失敗すると広がっていかないので、最初は數(shù)ではなく、私の意図を汲める人材を入れています。その人たちから伝播させて、本當(dāng)に理解できる人材を増やしたいと思っています。最初に入った人がきちんとできずに、ネガティブな考えを持ってしまうと、伝播していきませんから。

岡田：私たちの立場(chǎng)では、違う業(yè)界の方々との協(xié)業(yè)を通じて、何か新しいものが生まれることが一番面白いのです。私たち単體で、短期間でその業(yè)界のノウハウを吸収できるほど甘くないことは目に見(jiàn)えているので、お互いに尊重し合いながら進(jìn)めていけることに光栄だと思っています。ここまで深く組ませていただいていますから、本當(dāng)に物流業(yè)界で革命が起こせそうだとメンバーもすごく盛り上がっています。やればやるほど、これからの物流業(yè)界のあるべき姿が見(jiàn)えてくるのです。AIでサポートできる部分もわかりますし、さらに、現(xiàn)狀の問(wèn)題が人工知能で解決された後に、「次はこうなる」「ここまで到達(dá)する」という、物流業(yè)界がたどる道筋のイメージが湧きます。そういった経験したプロジェクトメンバーが、社內(nèi)の他のメンバーにも経験を共有することによって、別の業(yè)務(wù)でも、同じような視點(diǎn)として転化することもできるのではないかと考えています。

秋葉：抽象化することができれば、「こうなる」「これが解決できる」という発想が生まれてきますよね。たしかに、AIはわかりにくい印象がありますが、畫(huà)像から生まれてくる知見(jiàn)のようなものがあると、すごくわかりやすいですし、AIにはこういうことができるのかと新たな発見(jiàn)にもなります。本當(dāng)に面白いですよ。
一方、紹介いただいた空調(diào)機(jī)メーカーのような、數(shù)値で表されるような大きな変化が見(jiàn)えるようなアウトプットを期待されるかもしれません。例えば、ある物流施設(shè)の一つのプロセスだけを切り取って、生産性が3％上がったと言うと、「3％ですか」と言われる可能性は當(dāng)然あります。しかし、その3％が10拠點(diǎn)あったら全體の金額はどうなるでしょうか。これをそのまま流用できるほかのプロセスがあって、また3％の生産性向上を?qū)g現(xiàn)できたらどうでしょうか。その3％が達(dá)成できたから、ネクストステップでは10％ということも當(dāng)然ありえます。いきなり大きなインパクトがダイレクトに伝わる事例にはならないかもしれませんが、そういったこともあると思っています。
そもそも、人間がオペレーションをしていて一定の割合でミスをするとします。そのために次のプロセスを用意して、そこも人間がやっているとすると、ミスは永遠(yuǎn)になくなりません。人間がやっていることを二重にしたからといって、けっきょく100％にはなりません。だからこそ、畫(huà)像に撮っておくのです。あるプロセスを畫(huà)像に撮っておいて、撮ったものを、タイムラグは少しあるけれども処理をして、「おかしい」と判斷した畫(huà)像をセンター長(zhǎng)がチェックします。結(jié)果として車に乗せる前に止められたというだけでも、実はものすごく効果があります。それをコストで見(jiàn)たらどうなのか、という話です。しかし、出てしまった後の大変な事後処理やそれに伴うストレスと比較すると、まったく違う話になります。そのように、いろいろなところで効果は出せると思っています。
現(xiàn)在、新しく物流センターを立ち上げて人を採(cǎi)用すると、パートの方の比率が2?3割で、殘りは派遣の方という人員構(gòu)成になります。これが大きな問(wèn)題になっています。パートの方は働く時(shí)間が短いかもしれませんが、パートの方のコミュニティがあり、継続性がありますから、一定のレベル感で仕事をしていただけますし、ルールから外れるようなことはほとんどありません。派遣の方の場(chǎng)合、契約は派遣會(huì)社なので、人は入れ替わることを前提に仕事のプロセスを組み立てる必要があります。そうした條件を前提にして、どのような仕組みで一定以上の物流品質(zhì)のレベルと生産性を上げるかを考えなければいけません。

社會(huì)の問(wèn)題を解決するグランドデザインを描く

秋葉：現(xiàn)在興味を持っていることの一つに、身長(zhǎng)70センチくらいの、あるパーソナルロボットがあります。これは、岡田さんが言う汎用性の話と同じだと思っています。産業(yè)用ロボットは、通常この業(yè)務(wù)プロセスをロボットにしたい、あるいはマテハンでやりたいというように、ある目的のために作り込んでいきます。すると、ある一定のことについては非常に優(yōu)秀ですが、汎用性が低く、しかも高額になります。さらに、目的が変わってしまうと、このロボットの使い道がなくなってしまいます。
それに対して數(shù)十萬(wàn)円で買えるような、パーソナルな汎用型のロボットは、汎用型であるがために使い方を私たちが考えないといけません。
このパーソナルロボットにはロボット間のコミュニケーションもできますが、ロボットを介して、その先にいる岡田さんとのやり取りもできます。その機(jī)能を生かすことで、物流の中だけではなく介護(hù)施設(shè)やいろいろなところで使えるアプリケーション層を作り込もうと思っています。人工知能の話と同じで、要素を作っていって、組み合わせたのがソリューションです。最初は、現(xiàn)場(chǎng)がある物流施設(shè)の中でできることからやらせようと思っています。當(dāng)たり前ですが、家庭用のロボットなので、3?4キロしか重いものが持てません。物流施設(shè)の中だったら10?20キロ持てないとだめだろう、という意見(jiàn)もあります。しかし、10?20キロを持つのだったら、産業(yè)用のロボットを作りますよね。産業(yè)用は何百萬(wàn)もしますが、このパーソナルロボットは30萬(wàn)円です。20キロ持つためには、7臺(tái)あればいいわけですから、7臺(tái)で210萬(wàn)円です。余っているときには、他のことをやらせてもいいわけです。「フォローミー」というとついてきますからかわいさもあります。

岡田：今、日本は物流クライシスだといわれていますが、逆にいうと、ポテンシャルが大きいマーケットですし、社會(huì)課題に直結(jié)しています。「ゆたかな世界を、実裝する」ために、そうした社會(huì)課題を著実に解決していきたいと思っています。今後、少子高齢化で労働人口が減っていくのは間違いない一方で、ECの普及などにより、物流における輸送量は右肩上がりに増えています。町の許容量等の指標(biāo)を踏まえて人工知能が人をある程度サポートをしない限り、対応可能な範(fàn)囲を超えた作業(yè)が発生してしまう狀態(tài)に陥るのも、時(shí)間の問(wèn)題かもしれません。そこも含めて、物流をうまく生かすため、人工知能に著目し、物流に紐づくECのような他の業(yè)界も踏まえて、業(yè)界を跨いだ全體のグランドデザインを秋葉さんと一緒に描いていきたいと思っています。

秋葉：これからは少し世界観を変えることも必要かもしれません。より広い視野の中で、テクノロジーの活用を考えていきたいと思います。期待にお応えできるように頑張ります。