ラストワンマイルの二つの課題：働き手不足と再配達(dá)

河合：ラストワンマイルの課題は明確に大きく二つあり、一つが働き手不足です。物の量が急増しているのに屆ける人がいない。これが根本的な問(wèn)題です。國(guó)土交通省が8月6日に公表した令和2年度宅配便取扱実績(jī)によると、宅配便の取扱個(gè)數(shù)は前年度比11.9％増の48億3647萬(wàn)個(gè)となり、6年連続で過(guò)去最多を更新しました。さらに、約48億個(gè)ある荷物のうち、ヨドバシカメラさんのように獨(dú)自配送されているところは取扱個(gè)數(shù)に入っておらず、アマゾンさんも運(yùn)送會(huì)社の取扱分しか入っていません。大手の運(yùn)送會(huì)社の合計(jì)數(shù)字ですから、生協(xié)さんのようなところも入れるともっと増えると思われます。この取扱個(gè)數(shù)が80億個(gè)になったら、ドライバーは確実に不足するでしょう。
もう一つの問(wèn)題が不在の再配達(dá)です。配達(dá)が平均2回とすると、取扱個(gè)數(shù)が50億個(gè)でも実は100億個(gè)配達(dá)しているのと同じですから、さらにドライバー不足になります。
これをなんとかしようとすると、屆けるという機(jī)能の分母を増やさなければなりません。その一つがドローンを使った配送です。ドローンは無(wú)人で、1人が100機(jī)操縦すれば100人分働けて、かつ労務(wù)管理の必要がありません。事故リスクも低いドローン配送は一つのポイントです。ただし、ドローン配送がすべてではありません。ギグワーカー（単発で仕事を行う人たち）や女性の活躍についても考えなければなりません。そこで今始めているのが、新聞配達(dá)店の方々やポスティングをしている方々を?qū)盲堡毪趣いC(jī)能に変えていく試みです。それによって分母が増えます。大手運(yùn)送會(huì)社も、この先劇的にドライバーを増やすことはまず不可能です。たとえ、年率103％、105％とドライバー數(shù)を増やしたとしても、間違いなく荷物の物量が増えるほうが早いのです。これをどうするのか。我々1社では対応できないので、業(yè)界全體として働き手を増やすことを考えないと、受けきれなくなるのは間違いありません。

秋葉：フィジカルインターネットという言葉がいいかどうかは分かりませんが、あるエリアまでは計(jì)畫(huà)的に物を動(dòng)かすことができると思っています。例えば、該當(dāng)エリアの中で、一定の人數(shù)が生活していれば、そのエリアの中でどういうものがどれくらい消費(fèi)されるのか、かなりの精度で分かります。しかし現(xiàn)実は、売る側(cè)の理屈で消費(fèi)物を送り込んでしまっている側(cè)面もまだまだ殘っています。消費(fèi)量と送り込まれている物のバランスさえ取れれば、おそらくムダも減るでしょう。
ただし、ラストワンマイルのところでは、屆けるのか、受け取りに來(lái)てもらうのか、あるいはもう少し小単位である基點(diǎn)に送り込んでそこでばらまいてもらうのか、いくつかの方法を組み合わせて考えなければなりません。今までのような宅配一辺倒の話(huà)ではなく、いろいろな方法を、組み合わせ、最適な方法を探っていくという時(shí)代になっていく気がします。

河合：山梨県小菅村では、近隣の町から荷物を運(yùn)び込むのに、今は約40分かけて、それぞれの運(yùn)送會(huì)社がそれぞれのトラックで配送しています。その狀況をバスを使って解決しようと考えています。各地の貨客混載を調(diào)べてみると、面白いことに運(yùn)送會(huì)社Aと○○バス、運(yùn)送會(huì)社Bと△△鉄道というように、1対1の関係はあるのですが、複數(shù)社での混載はあまりありません。運(yùn)送會(huì)社Aが荷物をバスに乗せて、運(yùn)送會(huì)社Bはトラックで運(yùn)んでいたりしているわけです。このようなムダをやめたいのです。
村民の大切な足であるバスを存続させるためにも、荷物をバスに乗せるのが一番です。後部座席は荷物のスペースにして運(yùn)び込み、村に入ったら、例えば、月曜はセイノー、火曜は別の運(yùn)送會(huì)社というように、當(dāng)番制にしても面白いのではないかと話(huà)しているところです。
あるいは700人の村であれば、最終的には村の人がお仕事として運(yùn)んだり、場(chǎng)合によっては郵便局が受け持ってもいいですよね。そこでできる人がやればいい。そうすれば、町から村へ運(yùn)ぶとき1社に荷物がまとまるわけですから、當(dāng)然効率が良くなって、トラックの臺(tái)數(shù)は何分の1かに減るでしょう。村に入ってきた後も1臺(tái)、2臺(tái)で済みます。環(huán)境負(fù)荷の面においても、車(chē)をEVにするよりよほど効果的です。村の人にとってもありがたい話(huà)だと思います。バスは維持されるし、雇用は生まれるし、物は普通に屆くわけですから。そうなるといいなと思っています。

秋葉：やり方の話(huà)をしているだけで、技術(shù)的な進(jìn)歩を待たなくていいですしね。

河合：ただ、これは都心部の真ん中ではできません。小菅村や北海道上士幌町では皆さん積極的に話(huà)をしていただけるし、実現(xiàn)しやすいので、ここからスタートして徐々に広げていきたいと思っています。そのとき、物流業(yè)界で協(xié)業(yè)する際にキャッチボールのネックになっているのは、そもそも皆が投げている玉が違うということです。バトミントンをやっている人、野球をやっている人、サッカーをやっている人がいて、同じ宅配便なのに使っている道具が違うのです。分かっていたことですがこの違いがすごく大きいですね。原票番號(hào)が違う、ハードウエアが違う、プリンターが違う。過(guò)去に物流業(yè)界で統(tǒng)一原票をつくろうとしたことがありましたが、これを統(tǒng)一すること自體が無(wú)理だと思います。

秋葉：仮に皆が統(tǒng)一しようと言ったとしても、數(shù)年の時(shí)間軸では無(wú)理ですね。

河合：荷主さんに原票を渡している、原票枠を買(mǎi)ってしまっている、設(shè)備投資をしているなど、言い出したら10年以上かかりますね。そこで考え方を大きく変えて、そこの部分は完全にスタートアップの皆さんのお力添えで検討していただいています。例えば、どのEC事業(yè)者の原票でも読み込むことができるようなスマホアプリがあれば、配達(dá)する人は、原票番號(hào)を読み込み、普通に配達(dá)して、終わる。極端に言えば、どの運(yùn)送會(huì)社で発送された荷物であっても、原票番號(hào)さえついていれば、配達(dá)したい人がそのアプリを入れて原票番號(hào)を読み込めば終わりです。今までのように、20萬(wàn)円の端末を?qū)毪贰ⅳ长欷撕悉Ε抓辚螗咯`はこれで、といったことをやらなくていいのです。物流の歴史を見(jiàn)てきた者からすると、こんな未來(lái)は想像できません。「運(yùn)送會(huì)社Aの原票は読めないな……、だったら原票を切り替えてもらってうちの荷物にする必要がある」という発想になってしまうのです。
そういったことも、フィールドがあって、実際に物が動(dòng)いて、受け取る人がいるというところでやってみてから、橫展開(kāi)をします。まさしく水たまりの中でいろいろなことをやって、少しずつ水たまりを広げていくわけです。やればやるほどいろいろ見(jiàn)えてきます。バスの貨客混載の話(huà)も、「早く言ってほしかった」といった反応でした。それまで1人か2人しか乗っていないバスの後ろを宅配のトラックがついてきていたのですから。かなり以前から大きな課題だったはずですが、バス會(huì)社の立場(chǎng)からするとバスの乗客をどう増やすかということだけを考えていたわけです。

秋葉：自分のフィールドの中で物事を考えてしまう。

河合：ところが、皆の目線(xiàn)が村全體の効率化や環(huán)境といった上位概念に上がると、空いているバスに荷物を乗せればいいという発想が生まれます。そういったきっかけがあると動(dòng)きは非常に速いです。本當(dāng)にありがたいことですが、それほど課題になっていたのだと思いました。

幹線(xiàn)を生かすラストワンマイル

秋葉：私も河合さんも物流とその周辺のことを24時(shí)間考えています。私たちの周りはそういう人が多いので、普通に物流をいかに効率化するかという會(huì)話(huà)をします。しかし、多くの人にとっては、物流はすでにあるインフラなのだと思います。ですから、全體を考えた上での本質(zhì)的な効率化ということまではなかなか進(jìn)まないのでしょう。

河合：セイノーHDも9割はBtoBの物流網(wǎng)のインフラを擔(dān)っていて、中小事業(yè)者のBtoB貨物が圧倒的多數(shù)です。私も東大阪ではトラックに乗って荷物を運(yùn)んでいたのでよく分かりますが、ちゃんと屆くことが當(dāng)たり前なので、100％やって當(dāng)然で、べつに130％を求められているわけでもありません。誤差なくきちんとやることが重要なのです。これはこれでやらなければいけないことで、社會(huì)的な責(zé)任もあります。ドローン配送は話(huà)題性があるので皆が面白がってくれるのですが、実態(tài)としては、これから主軸になるまでまだまだ時(shí)間がかかりますから、やはり本業(yè)が重要です。本業(yè)の人たちからするとおもちゃなわけです。「あいつ、おもちゃで遊んでテレビに出たり、楽しそうだな」と言う人もいます。ですから、彼らがやっている強(qiáng)固な事業(yè)體の上に乗っているということを、配慮を持って説明しなければなりません。
私が社內(nèi)で説明するときには、「幹線(xiàn)を生かしたラストワンマイル」と言っています。例えば、このコロナ禍で自転車(chē)がたくさん売れているようですが、自宅まで持ってきてくれる宅配業(yè)者はいません。営業(yè)所止めになってしまって、受け取る人が取りに行かなければならないのです。しかも、セイノーの営業(yè)所は高速道路からは近いけど、家からは遠(yuǎn)いことが多い。ただ、何度か利用している人は慣れているので、「セイノーさんの営業(yè)所は1回目に行ったときは少し怖かったけど、2回目以降になると、皆さん職人ぽくていいですよね」と言ってくれます。
ですから、その機(jī)能をうまく使いながら、ラストワンマイル側(cè)は著店から先を切り離して、得意な會(huì)社に任せようと思っています。例えば幹線(xiàn)では宅配便を100個(gè)まとめて運(yùn)ぶことで、1個(gè)100円で運(yùn)ぶことができると仮定します。そこから先は得意な會(huì)社に任せます。それはもしかしたらピザを運(yùn)んでいる人かもしれないし、フードデリバリーサービスのようなギグワーカーかもしれないし、新聞配達(dá)の方々かもしれません。それをやると幹線(xiàn)が生きます。幹線(xiàn)が100円で、そこから先が200円だとして、少し利益を乗せたとしても、350円で宅配便が運(yùn)べてしまうわけです。
このように、今は幹線(xiàn)を生かすことにフォーカスしています。長(zhǎng)距離、中距離をまとめて持ってきて、バラして、ラストワンマイルはそれぞれの得意分野に任せていく。 今、社長(zhǎng)である田口が「オープン?パブリック?プラットフォーム」と言っていますが、それがこのような考え方です。トップが言うとどうしても話(huà)が大きくなりすぎてしまいがちなので、一つずつ「こういう考え方でいいのか」とアイデアを出していきます。そうすると、インフラを守っているチームも、幹線(xiàn)が生きているのかが分かります。そのためにもC向けの、直接意見(jiàn)が聞けるルートを幹線(xiàn)と接続しておきたいのです。BtoBでは、見(jiàn)えているものはほとんどセイノーが運(yùn)んでいるのですが、直接手に渡るときのタイミングにまったくアプローチできていないので、世の中の動(dòng)きと少し縁遠(yuǎn)いところがあります。ここにもう少し近づくべきだという思いがあります。

物流発社會(huì)課題の解決へ

秋葉：ンビニ配送も、物流という入口からの社會(huì)課題の解決です。河合さんがやっていることの中で、物流発の社會(huì)課題解決は他にもありますか。

河合：もともと物流は飛腳で、誰(shuí)かの代わりに物を運(yùn)ぶというお手伝いをしてきました。縁の下の力持ち的なところがあって、これが業(yè)界全體のDNAである気がします。だから、社會(huì)課題解決に資する動(dòng)きだということが分かると、燃える人が多いです。これは大きいですね。

秋葉：今、SDGsという言葉があって、持続可能社會(huì)について學(xué)校でも教えられています。學(xué)生もその意識(shí)が非常に高くて、私が教える學(xué)生も、「それに適合する商品を購(gòu)入したいと思いますか」という質(zhì)問(wèn)に対して、70～80％の人が「そう思う」と答えています。さらに、そういう取り組みをしている企業(yè)に入りたいという學(xué)生も増えてきています。ニーズがあり、そこに関わりたい人たちも増えてきていると思うのです。

河合：2011年に私がココネットを創(chuàng)業(yè)したのは、買(mǎi)い物弱者対策に取り組むことが目的の一つでした。自分の経験もあり、おじいちゃんやおばあちゃんの買(mǎi)い物を手伝おうと始めたのですが、やり始めると、障がいがある方々の大変さや、小さなお子さんを抱えている人たちの大変さも見(jiàn)えてきました。しかし、擔(dān)當(dāng)してくれているスタッフに「社會(huì)課題解決」と言ってしまうと、大上段に構(gòu)えていると受け取られてしまう恐れがあります。 私が日頃スタッフに言っていることなのですが、大根1本、スーパーから家の冷蔵庫(kù)に持ってきてくれるだけでも、社會(huì)課題解決を通り越して、その人の課題を見(jiàn)事に解決しているわけです。「今日は大根が食べたいと思っているおじいちゃん、おばあちゃんがいて、だけど買(mǎi)いに行けなくてお腹が空いている。それを持ってきてくれただけで、あなたは十分社會(huì)の役に立っているから」と。1つ1つの細(xì)かな動(dòng)きが、十分社會(huì)課題の解決になっている。これは物流も一緒です。A地點(diǎn)からB地點(diǎn)に運(yùn)ぶこと自體すごく重要で、十分社會(huì)課題の解決になっています。
それを明確に分かってもらいたくて、買(mǎi)い物弱者対策や過(guò)疎地域の流通の解決を考えたり、人口減少をどうするかといったことに取り組んだりしています。日本では一人親家庭の貧困狀態(tài)がかなり進(jìn)行してしまっており、そういったご家庭に対してもこども宅食などで食を提供しています。また、全國(guó)から寄付物品が屆くのですが、これを誰(shuí)が仕分けて、誰(shuí)が在庫(kù)管理をして、誰(shuí)が屆けるのか、という問(wèn)題も出てきます。そこに我々の持っているノウハウを生かして、実際に仕分けをして屆けるまでの物流設(shè)計(jì)をしています。
こうした貧困家庭対策や醫(yī)療従事者向けの食品提供、寄付系の物流などに取り組んできました。NPOや一般社団の方々は熱い想いはあっても、物流のことは分かりません。だから仕分けを1日中やってしまったりしている。でも、當(dāng)社がローラーコンベアーを持っていけば、1時(shí)間で終わります。物流自體が社會(huì)課題解決につながる動(dòng)きができることを?qū)g踐で見(jiàn)せていく。こういうところに物流が生きているんだよと言わないといけません。縁の下の力持ちの人は靜かに耐えていて、縁の上のことはあまり分からないのです。

秋葉：世の中多くの人が、「誰(shuí)かに頼んだら屆けてくれる」という意識(shí)をもっていると思います。では、誰(shuí)かとは誰(shuí)なのか、その人にどういうことをどう頼めばいいのか、という視點(diǎn)が欠けていると思います。河合さんの活動(dòng)もそうですし、私ら大和ハウスグループの活動(dòng)もそうですが、少しずつでもわかってもらいたい。わかってもらった上で、興味を持った學(xué)生さんや若い人たちが、直接的か間接的か、また新しい技術(shù)を入れたりして、サイクルが回り出したらいいなと思います。

河合：物流業(yè)界に20年もいると、當(dāng)然ながら皆物流のことを知っているだろうと勝手に思ってしまいますが、いくつかの大學(xué)で授業(yè)をやらせていただく機(jī)會(huì)があり、學(xué)生たちと會(huì)話(huà)すると、「物流？　ラストワンマイル？　オープンイノベーション？　はたまたセイノー？　何それ？」という感じです（笑）。
私の授業(yè)を聞いてラストワンマイルを初めて知った人がいて、その人が去年入社してくれました。これは業(yè)界全體でやっていかなければならないことですが、経済活動(dòng)で物流がどのような役割を擔(dān)っているか、ただのコストセンターではないということ、社會(huì)課題解決につながっているということ、持続可能な社會(huì)を目指すために、どのように物流を組み合わせるかを伝えていくことが必要です。これからは當(dāng)然ながら環(huán)境の話(huà)も出てきます。物流は排気ガスを出している人たちと捉えられがちですが、いかに皆で共用して環(huán)境負(fù)荷を下げていくか、サプライチェーン全體から見(jiàn)て、どのように効率化するのかという議論をしていかなければなりません。もちろん物流事業(yè)者として効率化を図っていかなければならないのですが、分け隔てなく、サプライチェーン上でどうあるべきかという議論が必要です。
今までは在庫(kù)をあちこちに移動(dòng)してくれるほうが運(yùn)賃をいただける分、利益は出ましたが、今は「運(yùn)ばない物流」という考え方が必要だと思います。運(yùn)んでコストを払うよりも、運(yùn)ばない物流を?qū)g現(xiàn)してくれた人にインセンティブを渡したほうが、よほど効率的で、安くて、環(huán)境負(fù)荷も低いはずです。それをやることによっていかに効率的に他の収益を得るか、ということだと思います。運(yùn)ぶことについては、同業(yè)他社とオープンに組み合わせていくことが大事だと思います。ラストワンマイルだけではなく、そういう方向感でやりたいですね。